民数記

3101 【主】はモーセに告げて仰せられた。
3102 「ミデヤン人にイスラエル人の仇を報いよ。その後あなたは、あなたの民に加えられる。」
3103 そこでモーセは民に告げて言った。「あなたがたのうち、男たちは、いくさのために武装しなさい。ミデヤン人を襲って、ミデヤン人に【主】の復讐をするためである。
3104 イスラエルのすべての部族から、一部族ごとに千人ずつをいくさに送らなければならない。」
3105 それで、イスラエルの分団から部族ごとに千人が割り当てられ、一万二千人がいくさのために武装された。
3106 モーセは部族ごとに千人ずつをいくさに送った。祭司エルアザルの子ピネハスを、聖具と吹き鳴らすラッパをその手に持たせて、彼らとともにいくさに送った。
3107 彼らは【主】がモーセに命じられたとおりに、ミデヤン人と戦って、その男子をすべて殺した。
3108 彼らはその殺した者たちのほかに、ミデヤンの王たち、エビ、レケム、ツル、フル、レバの五人のミデヤンの王たちを殺した。彼らはベオルの子バラムを剣で殺した。
3109 イスラエル人はミデヤン人の女、子どもをとりこにし、またその獣や、家畜や、その財産をことごとく奪い取り、
3110 彼らの住んでいた町々や陣営を全部火で焼いた。
3111 そして人も獣も、略奪したものや分捕ったものをすべて取り、
3112 捕虜や分捕ったもの、略奪したものを携えて、エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原の宿営にいるモーセと祭司エルアザルとイスラエル人の会衆のところに来た。
3113 モーセと祭司エルアザルおよびすべての会衆の上に立つ者たちは出て行って宿営の外で彼らを迎えた。
3114 モーセは軍勢の指揮官たち、すなわち戦いの任務から帰って来た千人の長や百人の長たちに対して怒った。
3115 モーセは彼らに言った。「あなたがたは、女たちをみな、生かしておいたのか。
3116 ああ、この女たちはバラムの事件のおり、ペオルの事件に関連してイスラエル人をそそのかして、【主】に対する不実を行わせた。それで神罰が【主】の会衆の上に下ったのだ。
3117 今、子どものうち男の子をみな殺せ。男と寝て、男を知っている女もみな殺せ。
3118 男と寝ることを知らない若い娘たちはみな、あなたがたのために生かしておけ。
3119 あなたがたは七日間、宿営の外にとどまれ。あなたがたでも、あなたがたの捕虜でも、人を殺した者、あるいは刺し殺された者に触れた者はだれでも、三日目と七日目に罪の身をきよめなければならない。
3120 衣服、皮製品、やぎの毛で作ったもの、木製品はすべてきよめなければならない。」
3121 祭司エルアザルは戦いに行った軍人たちに言った。「【主】がモーセに命じられたおしえのおきては次のとおりである。
3122 金、銀、青銅、鉄、すず、鉛、
3123 すべて火に耐えるものは、火の中を通し、きよくしなければならない。しかし、それは汚れをきよめる水できよめられなければならない。火に耐えないものはみな、水の中を通さなければならない。
3124 あなたがたは七日目に自分の衣服を洗うなら、きよくなる。その後、宿営に入ることができる。」
3125 【主】はモーセに次のように言われた。
3126 「あなたと、祭司エルアザルおよび会衆の氏族のかしらたちは、人と家畜で捕虜として分捕ったものの数を調べ、
3127 その分捕ったものをいくさに出て取って来た戦士たちと、全会衆との間に二分せよ。
3128 いくさに出た戦士たちからは、人や牛やろばや羊を、それぞれ五百に対して一つ、【主】のためにみつぎとして徴収せよ。
3129 彼らが受ける分のうちからこれを取って、【主】への奉納物として祭司エルアザルに渡さなければならない。
3130 イスラエル人が受ける分のうちから、人や牛やろばや羊、これらすべての家畜を、それぞれ五十に対して一つ、取り出しておき、それらを【主】の幕屋の任務を果たすレビ人に与えなければならない。」
3131 そこでモーセと祭司エルアザルは、【主】がモーセに命じられたとおりに行った。
3132 従軍した民が奪った戦利品以外の分捕りものは、羊六十七万五千頭、
3133 牛七万二千頭、
3134 ろば六万一千頭、
3135 人間は男と寝ることを知らない女がみなで三万二千人であった。
3136 この半分がいくさに出た人々への分け前で、羊の数は三十三万七千五百頭。
3137 その羊のうちから【主】へのみつぎは六百七十五頭。
3138 牛は三万六千頭で、そのうちから【主】へのみつぎは七十二頭。
3139 ろばは三万五百頭で、そのうちから【主】へのみつぎは六十一頭。
3140 人間は一万六千人で、そのうちから【主】へのみつぎは三十二人であった。
3141 モーセは、【主】がモーセに命じられたとおりに、そのみつぎ、すなわち、【主】への奉納物を祭司エルアザルに渡した。
3142 モーセがいくさに出た者たちに折半して与えた残り、すなわち、イスラエル人のものである半分、
3143 つまり会衆のものである半分は、羊三十三万七千五百頭、
3144 牛三万六千頭、
3145 ろば三万五百頭、
3146 人間は一万六千人であった。
3147 モーセは、このイスラエル人のものである半分から、人間も家畜も、それぞれ五十ごとに一つを取り出し、それらを【主】がモーセに命じられたとおりに、【主】の幕屋の任務を果たすレビ人に与えた。
3148 すると、軍団の指揮官たち、すなわち千人の長、百人の長たちがモーセのもとに進み出て、
3149 モーセに言った。「しもべどもは、部下の戦士たちの人員点呼をしました。私たちのうちひとりも欠けておりません。
3150 それで、私たちは、おのおのが手に入れた金の飾り物、すなわち腕飾り、腕輪、指輪、耳輪、首飾りなどを【主】へのささげ物として持って来て、【主】の前での私たち自身の贖いとしたいのです。」
3151 モーセと祭司エルアザルは、彼らから金を受け取った。それはあらゆる種類の細工を施した物であった。
3152 千人の長や百人の長たちが、【主】に供えた奉納物の金は全部で、一万六千七百五十シェケルであった。
3153 従軍した人たちは、戦利品をめいめい自分のものとした。
3154 モーセと祭司エルアザルは、千人の長や百人の長たちから金を受け取り、それを会見の天幕に持って行き、【主】の前に、イスラエル人のための記念とした。
3201 ルベン族とガド族は、非常に多くの家畜を持っていた。彼らがヤゼルの地とギルアデの地を見ると、その場所はほんとうに家畜に適した場所であったので、
3202 ガド族とルベン族は、モーセと祭司エルアザルおよび会衆の上に立つ者たちのところに来て、次のように言った。
3203 「アタロテ、ディボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシュボン、エルアレ、セバム、ネボ、ベオン。
3204 これら【主】がイスラエルの会衆のために打ち滅ぼされた地は、家畜に適した地です。そして、あなたのしもべどもは家畜を持っているのです。」
3205 また彼らは言った。「もし、私たちの願いがかないますなら、どうかこの地をあなたのしもべどもに所有地として与えてください。私たちにヨルダンを渡らせないでください。」
3206 モーセはガド族とルベン族に答えた。「あなたがたの兄弟たちは戦いに行くのに、あなたがたは、ここにとどまろうとするのか。
3207 どうしてあなたがたは、イスラエル人の意気をくじいて、【主】が彼らに与えた地へ渡らせないようにするのか。
3208 私がカデシュ・バルネアからその地を調べるためにあなたがたの父たちを遣わしたときにも、彼らはこのようにふるまった。
3209 彼らはエシュコルの谷まで上って行き、その地を見て、【主】が彼らに与えられた地に入って行かないようにイスラエル人の意気をくじいた。
3210 その日、【主】の怒りが燃え上がり、誓って言われた。
3211 『エジプトから上って来た者たちで二十歳以上の者はだれも、わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓った地を見ることはできない。彼らはわたしに従い通さなかった。
3212 ただ、ケナズ人エフネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアは別である。彼らは【主】に従い通したからである。』
3213 【主】の怒りはイスラエルに向かって燃え上がったのだ。それで【主】の目の前に悪を行ったその世代の者がみな死に絶えてしまうまで彼らを四十年の間、荒野にさまよわされた。
3214 そして今、あなたがた罪人の子らは、あなたがたの父たちに代わって立ち上がり、イスラエルに対する【主】の燃える怒りをさらに増し加えようとしている。
3215 あなたがたが、もしそむいて主に従わなければ、主はまたこの民をこの荒野に見捨てられる。そしてあなたがたはこの民すべてに滅びをもたらすことになる。」
3216 彼らはモーセに近づいて言った。「私たちはここに家畜のために羊の囲い場を作り、子どもたちのために町々を建てます。
3217 しかし、私たちは、イスラエル人をその場所に導き入れるまで、武装して彼らの先頭に立って急ぎます。私たちの子どもたちは、この地の住民の前で城壁のある町々に住みます。
3218 私たちは、イスラエル人がおのおのその相続地を受け継ぐまで、私たちの家に帰りません。
3219 私たちは、ヨルダンを越えた向こうでは、彼らとともに相続地を持ちはしません。私たちの相続地は、ヨルダンのこちらの側、東のほうになっているからです。」
3220 モーセは彼らに言った。「もしあなたがたがそのようにし、もし【主】の前に戦いのため武装をし、
3221 あなたがたのうちの武装した者がみな、【主】の前でヨルダンを渡り、ついに主がその敵を御前から追い払い、
3222 その地が【主】の前に征服され、その後あなたがたが帰って来るのであれば、あなたがたは【主】に対しても、イスラエルに対しても責任が解除される。そして、この地は【主】の前であなたがたの所有地となる。
3223 しかし、もしそのようにしないなら、今や、あなたがたは【主】に対して罪を犯したのだ。あなたがたの罪の罰があることを思い知りなさい。
3224 あなたがたの子どもたちのために町々を建て、その羊のために囲い場を作りなさい。あなたがたの口から出たことは実行しなければならない。」
3225 ガド族とルベン族はモーセに答えて言った。「あなたのしもべどもは、あなたの命じるとおりにします。
3226 私たちの子どもたちや妻たち、家畜とすべての獣は、そこのギルアデの町々にとどまります。
3227 しかし、あなたのしもべたち、いくさのために武装した者はみな、あなたが命じられたとおり、渡って行って、【主】の前に戦います。」
3228 そこで、モーセは彼らについて、祭司エルアザル、ヌンの子ヨシュア、イスラエル人の部族の一族のかしらたちに命令を下した。
3229 モーセは彼らに言った。「もし、ガド族とルベン族の戦いのために武装した者がみな、あなたがたとともにヨルダンを渡り、【主】の前に戦い、その地があなたがたの前に征服されたなら、あなたがたはギルアデの地を所有地として彼らに与えなさい。
3230 もし彼らが武装し、あなたがたとともに渡って行かなければ、彼らはカナンの地であなたがたの間に所有地を得なければならない。」
3231 ガド族とルベン族は答えて言った。「【主】があなたのしもべたちについて言われたとおりに、私たちはいたします。
3232 私たちは武装して【主】の前にカナンの地に渡って行きます。それで私たちの相続の所有地はヨルダンのこちら側にありますように。」
3233 そこでモーセは、ガド族と、ルベン族と、ヨセフの子マナセの半部族とに、エモリ人の王シホンの王国と、バシャンの王オグの王国、すなわちその町々のある国と、周辺の地の町々のある領土とを与えた。
3234 そこでガド族は、ディボン、アタロテ、アロエル、
3235 アテロテ・ショファン、ヤゼル、ヨグボハ、
3236 ベテ・ニムラ、ベテ・ハランを城壁のある町々として、または羊の囲い場として建て直した。
3237 また、ルベン族は、ヘシュボン、エルアレ、キルヤタイム、
3238 ネボ、バアル・メオン──ある名は改められる──またシブマを建て直した。彼らは、建て直した町々に新しい名をつけた。
3239 マナセの子マキルの子らはギルアデに行ってそこを攻め取り、そこにいたエモリ人を追い出した。
3240 それでモーセは、ギルアデをマナセの子マキルに与えたので、彼はそこに住みついた。
3241 マナセの子ヤイルは行って、彼らの村々を攻め取り、それらをハボテ・ヤイルと名づけた。
3242 ノバフは行って、ケナテとそれに属する村落を攻め取り、自分の名にちなんで、それをノバフと名づけた。
3301 モーセとアロンの指導のもとに、その軍団ごとに、エジプトの地から出て来たイスラエル人の旅程は次のとおりである。
3302 モーセは【主】の命により、彼らの旅程の出発地点を書きしるした。その旅程は、出発地点によると次のとおりである。
3303 彼らは 一月、その月の十五日に、ラメセスから旅立った。すなわち過越のいけにえの翌日、イスラエル人は、全エジプトが見ている前を臆することなく出て行った。
3304 エジプトは、彼らの間で【主】が打ち殺されたすべての初子を埋葬していた。【主】は彼らの神々にさばきを下された。
3305 イスラエル人はラメセスから旅立ってスコテに宿営し、
3306 スコテから旅立って荒野の端にあるエタムに宿営した。
3307 エタムから旅立ってバアル・ツェフォンの手前にあるピ・ハヒロテのほうに向きを変え、ミグドルの前で宿営した。
3308 ピ・ハヒロテから旅立って海の真ん中を通って荒野に向かい、エタムの荒野を三日路ほど行ってマラに宿営した。
3309 彼らはマラから旅立ってエリムに行った。エリムには十二の泉と、七十本のなつめやしの木があり、そこに宿営した。
3310 ついでエリムから旅立って葦の海のほとりに宿営し、
3311 葦の海から旅立ってシンの荒野に宿営した。
3312 シンの荒野から旅立ってドフカに宿営し、
3313 ドフカから旅立ってアルシュに宿営し、
3314 アルシュから旅立ってレフィディムに宿営した。そこには民の飲む水がなかった。
3315 ついで彼らはレフィディムから旅立ってシナイの荒野に宿営し、
3316 シナイの荒野から旅立ってキブロテ・ハタアワに宿営した。
3317 キブロテ・ハタアワから旅立ってハツェロテに宿営し、
3318 ハツェロテから旅立ってリテマに宿営した。
3319 リテマから旅立ってリモン・ペレツに宿営し、
3320 リモン・ペレツから旅立ってリブナに宿営した。
3321 リブナから旅立ってリサに宿営し、
3322 リサから旅立ってケヘラタに宿営し、
3323 ケヘラタから旅立ってシェフェル山に宿営した。
3324 シェフェル山から旅立ってハラダに宿営し、
3325 ハラダから旅立ってマクヘロテに宿営した。
3326 マクヘロテから旅立ってタハテに宿営し、
3327 タハテから旅立ってテラに宿営し、
3328 テラから旅立ってミテカに宿営した。
3329 ミテカから旅立ってハシュモナに宿営し、
3330 ハシュモナから旅立ってモセロテに宿営した。
3331 モセロテから旅立ってベネ・ヤアカンに宿営し、
3332 ベネ・ヤアカンから旅立ってホル・ハギデガデに宿営した。
3333 ホル・ハギデガデから旅立ってヨテバタに宿営し、
3334 ヨテバタから旅立ってアブロナに宿営し、
3335 アブロナから旅立ってエツヨン・ゲベルに宿営した。
3336 エツヨン・ゲベルから旅立ってツィンの荒野、すなわちカデシュに宿営し、
3337 カデシュから旅立ってエドムの国の端にあるホル山に宿営した。
3338 祭司アロンは【主】の命令によってホル山に登り、そこで死んだ。それはイスラエル人がエジプトの国を出てから四十年目の 五月の一日であった。
3339 アロンはホル山で死んだとき、百二十三歳であった。
3340 カナンの地のネゲブに住んでいたカナン人、アラデの王は、イスラエル人がやって来るのを聞いた。
3341 さて彼らはホル山から旅立ってツァルモナに宿営し、
3342 ツァルモナから旅立ってプノンに宿営し、
3343 プノンから旅立ってオボテに宿営し、
3344 オボテから旅立ってモアブの領土のイエ・ハアバリムに宿営した。
3345 イイムから旅立ってディボン・ガドに宿営し、
3346 ディボン・ガドから旅立ってアルモン・ディブラタイムに宿営した。
3347 アルモン・ディブラタイムから旅立ってネボの手前にあるアバリムの山々に宿営し、
3348 アバリムの山々から旅立ってエリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原に宿営した。
3349 ヨルダンのほとり、ベテ・ハエシモテからアベル・ハシティムに至るまでのモアブの草原に彼らは宿営した。
3350 エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原で、【主】はモーセに告げて仰せられた。
3351 「イスラエル人に告げて彼らに言え。あなたがたがヨルダンを渡ってカナンの地に入るときには、
3352 その地の住民をことごとくあなたがたの前から追い払い、彼らの石像をすべて粉砕し、彼らの鋳像をすべて粉砕し、彼らの高き所をみな、こぼたなければならない。
3353 あなたがたはその地を自分の所有とし、そこに住みなさい。あなたがたが所有するように、わたしがそれを与えたからである。
3354 あなたがたは、氏族ごとに、くじを引いて、その地を相続地としなさい。大きい部族には、その相続地を多くし、小さい部族には、その相続地を少なくしなければならない。くじが当たったその場所が、その部族のものとなる。あなたがたは、自分の父祖の部族ごとに相続地を受けなければならない。
3355 もしその地の住民をあなたがたの前から追い払わなければ、あなたがたが残しておく者たちは、あなたがたの目のとげとなり、わき腹のいばらとなり、彼らはあなたがたの住むその土地であなたがたを悩ますようになる。
3356 そしてわたしは、彼らに対してしようと計ったとおりをあなたがたにしよう。」




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