民数記
1301 【主】はモーセに告げて仰せられた。
1302 「人々を遣わして、わたしがイスラエル人に与えようとしているカナンの地を探らせよ。父祖の部族ごとにひとりずつ、みな、その族長を遣わさなければならない。」
1303 モーセは【主】の命によって、パランの荒野から彼らを遣わした。彼らはみな、イスラエル人のかしらであった。
1304 彼らの名は次のとおりであった。ルベン部族からはザクルの子シャムア。
1305 シメオン部族からはホリの子シャファテ。
1306 ユダ部族からはエフネの子カレブ。
1307 イッサカル部族からはヨセフの子イグアル。
1308 エフライム部族からはヌンの子ホセア。
1309 ベニヤミン部族からはラフの子パルティ。
1310 ゼブルン部族からはソディの子ガディエル。
1311 ヨセフ部族、すなわちマナセ部族からはスシの子ガディ。
1312 ダン部族からはゲマリの子アミエル。
1313 アシェル部族からはミカエルの子セトル。
1314 ナフタリ部族からはボフシの子ナフビ。
1315 ガド部族からはマキの子ゲウエル。
1316 以上は、モーセがその地を探らせるために遣わした者の名であった。そのときモーセはヌンの子ホセアをヨシュアと名づけた。
1317 モーセは彼らを、カナンの地を探りにやったときに、言った。「あちらに上って行ってネゲブに入り、山地に行って、
1318 その地がどんなであるか、そこに住んでいる民が強いか弱いか、あるいは少ないか多いかを調べなさい。
1319 また彼らが住んでいる土地はどうか、それが良いか悪いか。彼らが住んでいる町々はどうか、それらは宿営かそれとも城壁の町か。
1320 土地はどうか、それは肥えているか、やせているか。そこには木があるか、ないかを調べなさい。あなたがたは勇気を出し、その地のくだものを取って来なさい。」その季節は初ぶどうの熟すころであった。
1321 そこで、彼らは上って行き、ツィンの荒野からレボ・ハマテのレホブまで、その地を探った。
1322 彼らは上って行ってネゲブに入り、ヘブロンまで行った。そこにはアナクの子孫であるアヒマンと、シェシャイと、タルマイが住んでいた。ヘブロンはエジプトのツォアンより七年前に建てられた。
1323 彼らはエシュコルの谷まで来て、そこでぶどうが一ふさついた枝を切り取り、それをふたりが棒でかついだ。また、いくらかのざくろやいちじくも切り取った。
1324 イスラエル人がそこで切り取ったぶどうのふさのことから、その場所はエシュコルの谷と呼ばれた。
1325 四十日がたって、彼らはその地の偵察から帰って来た。
1326 そして、ただちにパランの荒野のカデシュにいるモーセとアロンおよびイスラエルの全会衆のところに行き、ふたりと全会衆に報告をして、彼らにその地のくだものを見せた。
1327 彼らはモーセに告げて言った。「私たちは、あなたがお遣わしになった地に行きました。そこにはまことに乳と蜜が流れています。そしてこれがそこのくだものです。
1328 しかし、その地に住む民は力強く、その町々は城壁を持ち、非常に大きく、そのうえ、私たちはそこでアナクの子孫を見ました。
1329 ネゲブの地方にはアマレク人が住み、山地にはヘテ人、エブス人、エモリ人が住んでおり、海岸とヨルダンの川岸にはカナン人が住んでいます。」
1330 そのとき、カレブがモーセの前で、民を静めて言った。「私たちはぜひとも、上って行って、そこを占領しよう。必ずそれができるから。」
1331 しかし、彼といっしょに上って行った者たちは言った。「私たちはあの民のところに攻め上れない。あの民は私たちより強いから。」
1332 彼らは探って来た地について、イスラエル人に悪く言いふらして言った。「私たちが行き巡って探った地は、その住民を食い尽くす地だ。私たちがそこで見た民はみな、背の高い者たちだ。
1333 そこで、私たちはネフィリム人、ネフィリム人のアナク人を見た。私たちには自分がいなごのように見えたし、彼らにもそう見えたことだろう。」
1401 全会衆は大声をあげて叫び、民はその夜、泣き明かした。
1402 イスラエル人はみな、モーセとアロンにつぶやき、全会衆は彼らに言った。「私たちはエジプトの地で死んでいたらよかったのに。できれば、この荒野で死んだほうがましだ。
1403 なぜ【主】は、私たちをこの地に導いて来て、剣で倒そうとされるのか。私たちの妻子は、さらわれてしまうのに。エジプトに帰ったほうが、私たちにとって良くはないか。」
1404 そして互いに言った。「さあ、私たちは、ひとりのかしらを立ててエジプトに帰ろう。」
1405 そこで、モーセとアロンは、イスラエル人の会衆の全集会の集まっている前でひれ伏した。
1406 すると、その地を探って来た者のうち、ヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブとは自分たちの着物を引き裂いて、
1407 イスラエル人の全会衆に向かって次のように言った。「私たちが巡り歩いて探った地は、すばらしく良い地だった。
1408 もし、私たちが【主】の御心にかなえば、私たちをあの地に導き入れ、それを私たちに下さるだろう。あの地には、乳と蜜とが流れている。
1409 ただ、【主】にそむいてはならない。その地の人々を恐れてはならない。彼らは私たちのえじきとなるからだ。彼らの守りは、彼らから取り去られている。しかし【主】が私たちとともにおられるのだ。彼らを恐れてはならない。」
1410 しかし全会衆は、彼らを石で打ち殺そうと言い出した。そのとき、【主】の栄光が会見の天幕からすべてのイスラエル人に現れた。
1411 【主】はモーセに仰せられた。「この民はいつまでわたしを侮るのか。わたしがこの民の間で行ったすべてのしるしにもかかわらず、いつまでわたしを信じないのか。
1412 わたしは疫病で彼らを打って滅ぼしてしまい、あなたを彼らよりも大いなる強い国民にしよう。」
1413 モーセは【主】に申し上げた。「エジプトは、あなたが御力によって、彼らのうちからこの民を導き出されたことを聞いて、
1414 この地の住民に告げましょう。事実、彼らは、あなた、【主】がこの民のうちにおられ、あなた、【主】がまのあたりに現れて、あなたの雲が彼らの上に立ち、あなたが昼は雲の柱、夜は火の柱のうちにあって、彼らの前を歩んでおられるのを聞いているのです。
1415 そこでもし、あなたがこの民をひとり残らず殺すなら、あなたのうわさを聞いた異邦の民は次のように言うでしょう。
1416 『【主】はこの民を、彼らに誓った地に導き入れることができなかったので、彼らを荒野で殺したのだ。』
1417 どうか今、わが主の大きな力を現してください。あなたは次のように約束されました。
1418 『【主】は怒るのにおそく、恵み豊かである。咎とそむきを赦すが、罰すべき者は必ず罰して、父の咎を子に報い、三代、四代に及ぼす』と。
1419 あなたがこの民をエジプトから今に至るまで赦してくださったように、どうかこの民の咎をあなたの大きな恵みによって赦してください。」
1420 【主】は仰せられた。「わたしはあなたのことばどおりに赦そう。
1421 しかしながら、わたしが生きており、【主】の栄光が全地に満ちている以上、
1422 エジプトとこの荒野で、わたしの栄光とわたしの行ったしるしを見ながら、このように十度もわたしを試みて、わたしの声に聞き従わなかった者たちは、みな、
1423 わたしが彼らの先祖たちに誓った地を見ることがない。わたしを侮った者も、みなそれを見ることがない。
1424 ただし、わたしのしもべカレブは、ほかの者と違った心を持っていて、わたしに従い通したので、わたしは彼が行って来た地に彼を導き入れる。彼の子孫はその地を所有するようになる。
1425 低地にはアマレク人とカナン人が住んでいるので、あなたがたは、あす、向きを変えて葦の海の道を通り、荒野へ出発せよ。」
1426 【主】はモーセとアロンに告げて仰せられた。
1427 「いつまでこの悪い会衆は、わたしにつぶやいているのか。わたしはイスラエル人が、わたしにつぶやいているつぶやきを、もう聞いている。
1428 あなたは彼らに言え。これは【主】の御告げである。わたしは生きている。わたしは必ずあなたがたに、わたしの耳に告げたそのとおりをしよう。
1429 この荒野であなたがたは死体となって倒れる。わたしにつぶやいた者で、二十歳以上の登録され数えられた者たちはみな倒れて死ぬ。
1430 ただエフネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアのほかは、あなたがたを住まわせるとわたしが誓った地に、だれも決して入ることはできない。
1431 さらわれてしまうと、あなたがたが言ったあなたがたの子どもたちを、わたしは導き入れよう。彼らはあなたがたが拒んだ地を知るようになる。
1432 しかし、あなたがたは死体となってこの荒野に倒れなければならない。
1433 あなたがたの子どもたちは、この荒野で四十年の間羊を飼う者となり、あなたがたが死体となってこの荒野で倒れてしまうまで、あなたがたの背信の罪を負わなければならない。
1434 あなたがたが、かの地を探った日数は四十日であった。その一日を一年と数えて、四十年の間あなたがたは自分の咎を負わなければならない。こうしてわたしへの反抗が何かを思い知ろう。
1435 【主】であるわたしが言う。一つになってわたしに逆らったこの悪い会衆のすべてに対して、わたしは必ず次のことを行う。この荒野で彼らはひとり残らず死ななければならない。
1436 モーセがかの地を探らせるために遣わした者で、帰って来て、その地について悪く言いふらし、全会衆をモーセにつぶやかせた者たちも。」
1437 こうして、その地をひどく悪く言いふらした者たちは、【主】の前に、疫病で死んだ。
1438 しかし、かの地を探りに行った者のうち、ヌンの子ヨシュアと、エフネの子カレブは生き残った。
1439 モーセがこれらのことばを、すべてのイスラエル人に告げたとき、民はひどく悲しんだ。
1440 翌朝早く、彼らは山地の峰のほうに上って行こうとして言った。「私たちは罪を犯したのだから、とにかく【主】が言われた所へ上って行ってみよう。」
1441 するとモーセは言った。「あなたがたはなぜ、【主】の命令にそむこうとしているのか。それは成功しない。
1442 上って行ってはならない。【主】はあなたがたのうちにおられないのだ。あなたがたが敵に打ち負かされないように。
1443 そこにはアマレク人とカナン人とがあなたがたの前にいるから、あなたがたは剣で打ち倒されよう。あなたがたが【主】にそむいて従わなかったのだから、【主】はあなたがたとともにはおられない。」
1444 それでも、彼らはかまわずに山地の峰のほうに登って行った。しかし、【主】の契約の箱とモーセとは、宿営の中から動かなかった。
1445 山地に住んでいたアマレク人とカナン人は、下って来て、彼らを打ち、ホルマまで彼らを追い散らした。
1501 【主】はモーセに告げて仰せられた。
1502 「イスラエル人に告げて言え。わたしがあなたがたに与えて住ませる地にあなたがたが入り、
1503 特別な誓願を果たすために、または進んでささげるささげ物として、あるいは例祭のときに、【主】へのなだめのかおりをささげるために、牛か羊の群れから全焼のいけにえでも、ほかのいけにえでも、火によるささげ物を【主】にささげるときは、
1504 そのささげ物をささげる者は、穀物のささげ物として、油四分の一ヒンを混ぜた小麦粉十分の一エパを【主】にささげなければならない。
1505 また全焼のいけにえ、またはほかのいけにえに添えて、子羊一頭のための注ぎのささげ物としては四分の一ヒンのぶどう酒をささげなければならない。
1506 雄羊の場合には、穀物のささげ物として、油三分の一ヒンを混ぜた小麦粉十分の二エパをささげ、
1507 さらに、注ぎのささげ物としてぶどう酒三分の一ヒンを【主】へのなだめのかおりとして、ささげなければならない。
1508 また、あなたが特別な誓願を果たすため、あるいは、和解のいけにえとして、若い牛を全焼のいけにえ、または、ほかのいけにえとして【主】にささげるときは、
1509 その若い牛に添えて、油二分の一ヒンを混ぜた小麦粉十分の三エパの穀物のささげ物をささげ、
1510 また注ぎのささげ物としてぶどう酒二分の一ヒンをささげなければならない。これは【主】へのなだめのかおりの、火によるささげ物である。
1511 牛一頭、あるいは雄羊一頭、あるいはどんな羊、やぎについても、このようにしなければならない。
1512 あなたがたがささげる数に応じ、その数にしたがって一頭ごとにこのようにしなければならない。
1513 すべてこの国に生まれた者が、【主】へのなだめのかおりの、火によるささげ物をささげるには、このようにこれらのことを行わなければならない。
1514 また、あなたがたのところにいる在留異国人、あるいはあなたがたのうちに代々住んでいる者が、【主】へのなだめのかおりの、火によるささげ物をささげる場合には、あなたがたがするようにその者もしなければならない。
1515 一つの集会として、定めはあなたがたにも、在留異国人にも、同一であり、代々にわたる永遠の定めである。【主】の前には、あなたがたも在留異国人も同じである。
1516 あなたがたにも、あなたがたのところにいる在留異国人にも、同一のおしえ、同一のさばきでなければならない。」
1517 【主】はまたモーセに告げて仰せられた。
1518 「イスラエル人に告げて言え。わたしがあなたがたを導いて行く地にあなたがたが入り、
1519 その地のパンを食べるとき、あなたがたは【主】に奉納物を供えなければならない。
1520 初物の麦粉で作った輪型のパンを奉納物として供え、打ち場からの奉納物として供えなければならない。
1521 初物の麦粉のうちから、あなたがたは代々にわたり、【主】に奉納物を供えなければならない。
1522 あなたがたが、もしあやまって罪を犯し、【主】がモーセに告げられたこれらの命令のどれでも、
1523 【主】が命じられた日以来、代々にわたって【主】がモーセを通してあなたがたに命じられたことの一つでも行わないときは、
1524 もし会衆が気づかず、あやまってしたのなら、全会衆は、【主】へのなだめのかおりのための全焼のいけにえとして、若い雄牛一頭、また、定めにかなう穀物のささげ物と注ぎのささげ物、さらに雄やぎ一頭を罪のためのいけにえとして、ささげなければならない。
1525 祭司がイスラエル人の全会衆の贖いをするなら、彼らは赦される。それが過失であって、彼らは自分たちの過失のために、ささげ物、【主】への火によるささげ物、罪のためのいけにえを【主】の前に持って来たからである。
1526 イスラエル人の全会衆も、あなたがたのうちの在留異国人も赦される。それは民全体の過失だからである。
1527 もし個人があやまって罪を犯したなら、一歳の雌やぎ一頭を罪のためのいけにえとしてささげなければならない。
1528 祭司は、あやまって罪を犯した者のために、【主】の前で贖いをしなければならない。彼はあやまって罪を犯したのであるから、彼の贖いをすれば、その者は赦される。
1529 イスラエル人のうちの、この国に生まれた者にも、あなたがたのうちにいる在留異国人にも、あやまって罪を犯す者には、あなたがたと同一のおしえがなければならない。
1530 国に生まれた者でも、在留異国人でも、故意に罪を犯す者は、【主】を冒涜する者であって、その者は民の間から断たれなければならない。
1531 【主】のことばを侮り、その命令を破ったなら、必ず断ち切られ、その咎を負う。」
1532 イスラエル人が荒野にいたとき、安息日に、たきぎを集めている男を見つけた。
1533 たきぎを集めているのを見つけた者たちは、その者をモーセとアロンおよび全会衆のところに連れて来た。
1534 しかし彼をどうすべきか、はっきりと示されていなかったので、その者を監禁しておいた。
1535 すると、【主】はモーセに言われた。「この者は必ず殺されなければならない。全会衆は宿営の外で、彼を石で打ち殺さなければならない。」
1536 そこで、【主】がモーセに命じられたように、全会衆はその者を宿営の外に連れ出し、彼を石で打ち殺した。
1537 【主】はモーセに告げて仰せられた。
1538 「イスラエル人に告げて、彼らが代々にわたり、着物のすその四隅にふさを作り、その隅のふさに青いひもをつけるように言え。
1539 そのふさはあなたがたのためであって、あなたがたがそれを見て、【主】のすべての命令を思い起こし、それを行うため、みだらなことをしてきた自分の心と目に従って歩まないようにするため、
1540 こうしてあなたがたが、わたしのすべての命令を思い起こして、これを行い、あなたがたの神の聖なるものとなるためである。
1541 わたしはあなたがたの神、【主】であって、わたしがあなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの地から連れ出したのである。わたしは、あなたがたの神、【主】である。」