民数記
1601 レビの子ケハテの子であるイツハルの子コラは、ルベンの子孫であるエリアブの子ダタンとアビラム、およびペレテの子オンと共謀して、
1602 会衆の上に立つ人たちで、会合で選び出された名のある者たち二百五十人のイスラエル人とともに、モーセに立ち向かった。
1603 彼らは集まって、モーセとアロンとに逆らい、彼らに言った。「あなたがたは分を越えている。全会衆残らず聖なるものであって、【主】がそのうちにおられるのに、なぜ、あなたがたは、【主】の集会の上に立つのか。」
1604 モーセはこれを聞いてひれ伏した。
1605 それから、コラとそのすべての仲間とに告げて言った。「あしたの朝、【主】は、だれがご自分のものか、だれが聖なるものかをお示しになり、その者をご自分に近づけられる。主は、ご自分が選ぶ者をご自分に近づけられるのだ。
1606 こうしなさい。コラとその仲間のすべてよ。あなたがたは火皿を取り、
1607 あす、【主】の前でその中に火を入れ、その上に香を盛りなさい。【主】がお選びになるその人が聖なるものである。レビの子たちよ。あなたがたが分を越えているのだ。」
1608 モーセはさらにコラに言った。「レビの子たちよ。よく聞きなさい。
1609 イスラエルの神が、あなたがたを、イスラエルの会衆から分けて、【主】の幕屋の奉仕をするために、また会衆の前に立って彼らに仕えるために、みもとに近づけてくださったのだ。あなたがたには、これに不足があるのか。
1610 こうしてあなたとあなたの同族であるレビ族全部を、あなたといっしょに近づけてくださったのだ。それなのに、あなたがたは祭司の職まで要求するのか。
1611 それだから、あなたとあなたの仲間のすべては、一つになって【主】に逆らっているのだ。アロンが何だからといって、彼に対して不平を言うのか。」
1612 モーセは使いをやって、エリアブの子のダタンとアビラムとを呼び寄せようとしたが、彼らは言った。「私たちは行かない。
1613 あなたが私たちを乳と蜜の流れる地から上らせて、荒野で私たちを死なせようとし、そのうえ、あなたは私たちを支配しようとして君臨している。それでも不足があるのか。
1614 しかも、あなたは、乳と蜜の流れる地に私たちを連れても行かず、畑とぶどう畑を受け継ぐべき財産として私たちに与えてもいない。あなたは、この人たちの目をくらまそうとするのか。私たちは行かない。」
1615 モーセは激しく怒った。そして【主】に申し上げた。「どうか、彼らのささげ物を顧みないでください。私は彼らから、ろば一頭も取ったことはなく、彼らのうちのだれをも傷つけたこともありません。」
1616 それから、モーセはコラに言った。「あなたとあなたの仲間のすべて、あなたと彼らとそれにアロンとは、あす、【主】の前に出なさい。
1617 あなたがたは、おのおの自分の火皿を取り、その上に香を盛り、おのおの【主】の前にそれを持って来なさい。すなわち二百五十の火皿、それにまたあなたも、アロンも、おのおの火皿を持って来なさい。」
1618 彼らはおのおの、その火皿を取り、それに火を入れて、その上に香を盛った。そしてモーセとアロンはいっしょに会見の天幕の入口に立った。
1619 コラは全会衆を会見の天幕の入口に集めて、ふたりに逆らわせようとした。そのとき、【主】の栄光が全会衆に現れた。
1620 【主】はモーセとアロンに告げて仰せられた。
1621 「あなたがたはこの会衆から離れよ。わたしはこの者どもをたちどころに絶滅してしまうから。」
1622 ふたりはひれ伏して言った。「神。すべての肉なるもののいのちの神よ。ひとりの者が罪を犯せば、全会衆をお怒りになるのですか。」
1623 【主】はモーセに告げて仰せられた。
1624 「この会衆に告げて、コラとダタンとアビラムの住まいの付近から離れ去るように言え。」
1625 モーセは立ち上がり、イスラエルの長老たちを従えて、ダタンとアビラムのところへ行き、
1626 そして会衆に告げて言った。「さあ、この悪者どもの天幕から離れ、彼らのものには何にもさわるな。彼らのすべての罪のために、あなたがたが滅ぼし尽くされるといけないから。」
1627 それでみなは、コラとダタンとアビラムの住まいの付近から離れ去った。ダタンとアビラムは、その妻子、幼子たちといっしょに出て来て、自分たちの天幕の入口に立った。
1628 モーセは言った。「私を遣わして、これらのしわざをさせたのは【主】であって、私自身の考えからではないことが、次のことによってあなたがたにわかるであろう。
1629 もしこの者たちが、すべての人が死ぬように死に、すべての人の会う運命に彼らも会えば、私を遣わされたのは【主】ではない。
1630 しかし、もし【主】がこれまでにないことを行われて、地がその口を開き、彼らと彼らに属する者たちとを、ことごとくのみこみ、彼らが生きながらよみに下るなら、あなたがたは、これらの者たちが【主】を侮ったことを知らなければならない。」
1631 モーセがこれらのことばをみな言い終わるや、彼らの下の地面が割れた。
1632 地はその口をあけて、彼らとその家族、またコラに属するすべての者と、すべての持ち物とをのみこんだ。
1633 彼らとすべて彼らに属する者は、生きながら、よみに下り、地は彼らを包んでしまい、彼らは集会の中から滅び去った。
1634 このとき、彼らの回りにいたイスラエル人はみな、彼らの叫び声を聞いて逃げた。「地が私たちをも、のみこんでしまうかもしれない」と思ったからである。
1635 また、【主】のところから火が出て、香をささげていた二百五十人を焼き尽くした。
1636 【主】はモーセに告げて仰せられた。
1637 「あなたは、祭司アロンの子エルアザルに命じて、炎の中から火皿を取り出させよ。火を遠くにまき散らさせよ。それらは聖なるものとなっているから。
1638 罪を犯していのちを失ったこれらの者たちの火皿を取り、それらを打ちたたいて延べ板とし、祭壇のための被金とせよ。それらは、彼らが【主】の前にささげたので、聖なるものとなっているからである。こうして、これらをイスラエル人に対するしるしとさせよ。」
1639 そこで祭司エルアザルは、焼き殺された者たちがささげた青銅の火皿を取って、それを打ち延ばし、祭壇のための被金とし、
1640 イスラエル人のための記念とした。これは、アロンの子孫でないほかの者が、【主】の前に近づいて煙を立ち上らせることがないため、その者が、コラやその仲間のようなめに会わないためである。──【主】がモーセを通してエルアザルに言われたとおりである。
1641 その翌日、イスラエル人の全会衆は、モーセとアロンに向かってつぶやいて言った。「あなたがたは【主】の民を殺した。」
1642 会衆が集まってモーセとアロンに逆らったとき、ふたりが会見の天幕のほうを振り向くと、見よ、雲がそれをおおい、【主】の栄光が現れた。
1643 モーセとアロンが会見の天幕の前に行くと、
1644 【主】はモーセに告げて仰せられた。
1645 「あなたがたはこの会衆から立ち去れ。わたしがこの者どもをたちどころに絶ち滅ぼすことができるように。」ふたりはひれ伏した。
1646 モーセはアロンに言った。「火皿を取り、祭壇から火を取ってそれに入れ、その上に香を盛りなさい。そして急いで会衆のところへ持って行き、彼らの贖いをしなさい。【主】の前から激しい怒りが出て来て、神罰がもう始まったから。」
1647 アロンは、モーセが命じたように、火皿を取って集会の真ん中に走って行ったが、見よ、神罰はすでに民のうちに始まっていた。そこで彼は香をたいて、民の贖いをした。
1648 彼が死んだ者たちと生きている者たちとの間に立ったとき、神罰はやんだ。
1649 コラの事件で死んだ者とは別に、この神罰で死んだ者は、一万四千七百人になった。
1650 こうして、アロンは会見の天幕の入口のモーセのところへ帰った。神罰はやんだ。
1701 【主】はモーセに告げて仰せられた。
1702 「イスラエル人に告げて、彼らから、杖を、父の家ごとに一本ずつ、彼らの父祖の家のすべての族長から十二本の杖を、取れ。その杖におのおのの名を書きしるさなければならない。
1703 レビの杖にはアロンの名を書かなければならない。彼らの父祖の家のかしらにそれぞれ一本の杖とするから。
1704 あなたはそれらを、会見の天幕の中のわたしがそこであなたがたに会うあかしの箱の前に置け。
1705 わたしが選ぶ人の杖は芽を出す。こうしてイスラエル人があなたがたに向かってつぶやく不平をわたし自身が静めよう。」
1706 モーセがイスラエル人にこのように告げたので、彼らの族長たちはみな、父祖の家ごとに、族長ひとりに一本ずつの杖、十二本を彼に渡した。アロンの杖も彼らの杖の中にあった。
1707 モーセはそれらの杖を、あかしの天幕の中の【主】の前に置いた。
1708 その翌日、モーセはあかしの天幕に入って行った。すると見よ、レビの家のためのアロンの杖が芽をふき、つぼみを出し、花をつけ、アーモンドの実を結んでいた。
1709 モーセがその杖をみな、【主】の前から、すべてのイスラエル人のところに持って来たので、彼らは見分けて、おのおの自分の杖を取った。
1710 【主】はモーセに言われた。「アロンの杖をあかしの箱の前に戻して、逆らう者どもへの戒めのため、しるしとせよ。彼らのわたしに対する不平を全くなくして、彼らが死ぬことのないように。」
1711 モーセはそうした。【主】が命じられたとおりにした。
1712 しかし、イスラエル人はモーセに言った。「ああ、私たちは死んでしまう。私たちは滅びる。みな滅びる。
1713 【主】の幕屋にあえて近づく者はだれでも死ななければならないとは。ああ、私たちはみな、死に絶えなければならないのか。」
1801 そこで、【主】はアロンに言われた。「あなたと、あなたとともにいるあなたの子たちと、あなたの父の家の者たちは、聖所にかかわる咎を負わなければならない。そしてあなたと、あなたとともにいるあなたの子たちが、あなたがたの祭司職にかかわる咎を負わなければならない。
1802 しかし、あなたの父祖の部族であるレビ族のあなたの身内の者たちも、あなたに近づけよ。彼らがあなたに配属され、あかしの天幕の前で、あなたと、あなたとともにいるあなたの子たちに仕えるためである。
1803 彼らはあなたのための任務と、天幕全体の任務を果たすのである。しかし彼らは、聖所の器具と祭壇とに、近づいてはならない。彼らも、あなたがたも、死ぬことのないためである。
1804 彼らがあなたに配属され、天幕の奉仕のすべてにかかわる会見の天幕の任務を果たす。ほかの者があなたがたに近づいてはならない。
1805 あなたがたが聖所の任務と祭壇の任務を果たすなら、イスラエル人に再び激しい怒りが下ることはない。
1806 今ここに、わたしは、あなたがたの同族レビ人をイスラエル人の中から取り、会見の天幕の奉仕をするために、彼らを【主】にささげられたあなたがたへの贈り物とする。
1807 あなたと、あなたとともにいるあなたの子たちは、祭壇に関するすべてのことや、垂れ幕の内側のことについてのあなたがたの祭司職を守り、奉仕しなければならない。わたしはあなたがたの祭司職を賜物の奉仕として与える。ほかの者で近づく者は死ななければならない。」
1808 【主】はそれから、アロンに仰せられた。「今、わたしは、わたしへの奉納物にかかわる任務をあなたに与える。わたしはイスラエル人のすべての聖なるささげ物についてこれをあなたに、またあなたの子たちとに、受ける分として与え、永遠の分け前とする。
1809 最も聖なるもの、火によるささげ物のうちで、あなたの分となるものは次のとおりである。最も聖なるものとして、わたしに納めるすべてのささげ物、すなわち穀物のささげ物、罪のためのいけにえ、罪過のためのいけにえ、これらの全部は、あなたとあなたの子たちの分となる。
1810 あなたはそれを最も聖なるものとして食べなければならない。ただ男子だけが、それを食べることができる。それはあなたにとって聖なるものである。
1811 また次の物もあなたの分となる。イスラエル人の贈り物である奉納物、彼らのすべての奉献物、これをわたしはあなたとあなたの息子たち、それにあなたとともにいる娘たちに与えて、永遠の分け前とする。あなたの家にいるきよい者はみな、それを食べることができる。
1812 最良の新しい油、最良の新しいぶどう酒と穀物、これらの人々が【主】に供える初物全部をあなたに与える。
1813 彼らの国のすべてのものの初なりで、彼らが【主】に携えて来る物は、あなたのものになる。あなたの家にいるきよい者はだれでも、それを食べることができる。
1814 イスラエルのうちで、聖絶のものはみな、あなたのものになる。
1815 人でも、獣でも、すべての肉なるものの最初に生まれるもので【主】にささげられるものはみな、あなたのものとなる。ただし、人の初子は、必ず贖わなければならない。また、汚れた獣の初子も贖わなければならない。
1816 その贖いの代金として、生後一か月以上は聖所のシェケルの評価によって銀五シェケルで贖わなければならない。一シェケルは二十ゲラである。
1817 ただし、牛の初子、または羊の初子、あるいはやぎの初子は贖ってはならない。これらは聖なるものであるからである。あなたはそれらの血を祭壇に振りかけ、その脂肪を火によるささげ物、【主】へのなだめのかおりとして、焼いて煙にしなければならない。
1818 その肉はあなたのものとなる。それは奉献物の胸や右のもものようにあなたのものとなる。
1819 イスラエル人が【主】に供える聖なる奉納物をみな、わたしは、あなたとあなたの息子たちと、あなたとともにいるあなたの娘たちに与えて、永遠の分け前とする。それは、【主】の前にあって、あなたとあなたの子孫に対する永遠の塩の契約となる。」
1820 【主】はまたアロンに仰せられた。「あなたは彼らの国で相続地を持ってはならない。彼らのうちで何の割り当て地をも所有してはならない。イスラエル人の中にあって、わたしがあなたの割り当ての地であり、あなたの相続地である。
1821 さらに、わたしは今、レビ族には、彼らが会見の天幕の奉仕をするその奉仕に報いて、イスラエルのうちの十分の一をみな、相続財産として与える。
1822 これからはもう、イスラエル人は、会見の天幕に近づいてはならない。彼らが罪を得て死ぬことがないためである。
1823 レビ人だけが会見の天幕の奉仕をすることができる。ほかの者は咎を負う。これは代々にわたる永遠のおきてである。彼らはイスラエル人の中にあって相続地を持ってはならない。
1824 それは、イスラエル人が、奉納物として【主】に供える十分の一を、わたしは彼らの相続財産としてレビ人に与えるからである。それゆえわたしは彼らがイスラエル人の中で相続地を持ってはならないと、彼らに言ったのである。」
1825 【主】はモーセに告げて仰せられた。
1826 「あなたはレビ人に告げて言わなければならない。わたしがあなたがたに相続財産として与えた十分の一を、イスラエル人から受け取るとき、あなたがたはその十分の一の十分の一を、【主】への奉納物として供えなさい。
1827 これは、打ち場からの穀物や、酒ぶねからの豊かなぶどう酒と同じように、あなたがたの奉納物とみなされる。
1828 それで、あなたがたもまた、イスラエル人から受け取るすべての十分の一の中から、【主】への奉納物を供えなさい。その中から【主】への奉納物を祭司アロンに与えなさい。
1829 あなたがたへのすべての贈り物のうち、それぞれ最上の部分で聖別される分のうちから【主】へのすべての奉納物を供えなさい。
1830 またあなたは彼らに言え。あなたがたが、その最上の部分をその中から供えるとき、それはレビ人にとって打ち場からの収穫、酒ぶねからの収穫と同じようにみなされる。
1831 あなたがたもあなたがたの家族も、どこででもそれを食べてよい。これは会見の天幕でのあなたがたの奉仕に対する報酬だからである。
1832 あなたがたが、その最上の部分を供えるなら、そのことで罪を負うことはない。イスラエル人の聖なるささげ物を、あなたがたは汚してはならない。それは、あなたがたが死なないためである。」