0101 ニネベに対する宣告。エルコシュ人ナホムの幻の書。
0102 【主】はねたみ、復讐する神。【主】は復讐し、憤る方。【主】はその仇に復讐する方。敵に怒りを保つ方。
0103 【主】は怒るのにおそく、力強い。【主】は決して罰せずにおくことはしない方。主の道はつむじ風とあらしの中にある。雲はその足でかき立てられる砂ほこり。
0104 主は海をしかって、これをからし、すべての川を干上がらせる。バシャンとカルメルはしおれ、レバノンの花はしおれる。
0105 山々は主の前に揺れ動き、丘々は溶け去る。大地は御前でくつがえり、世界とこれに住むすべての者もくつがえる。
0106 だれがその憤りの前に立ちえよう。だれがその燃える怒りに耐えられよう。その憤りは火のように注がれ、岩も主によって打ち砕かれる。
0107 【主】はいつくしみ深く、苦難の日のとりでである。主に身を避ける者たちを主は知っておられる。
0108 しかし、主は、あふれみなぎる洪水で、その場所を滅ぼし尽くし、その敵をやみに追いやられる。
0109 あなたがたは【主】に対して何をたくらむのか。主はすべてを滅ぼし尽くす。仇は二度と立ち上がれない。
0110 彼らは、からみついたいばら。大酒を飲んだ酔っぱらいのようであっても、かわいた刈り株のように、全く焼き尽くされる。
0111 あなたのうちから、【主】に対して悪巧みをし、よこしまなことを計る者が出たからだ。
0112 【主】はこう仰せられる。「彼らは安らかで、数が多くても、刈り取られて消えうせる。わたしはあなたを苦しめたが、再び、あなたを苦しめない。
0113 今、わたしは彼のくびきをあなたからはずして打ち砕き、あなたをなわめから解き放す。」
0114 【主】はあなたについて命じられた。「あなたの子孫はもう散らされない。あなたの神々の宮から、わたしは彫像や鋳像を断ち滅ぼす。あなたはつまらない者であったが、わたしはあなたの墓を設けよう。」
0115 見よ。良い知らせを伝える者、平和を告げ知らせる者の足が山々の上にある。ユダよ。あなたの祭りを祝い、あなたの誓願を果たせ。よこしまな者は、もう二度と、あなたの間を通り過ぎない。彼らはみな、断ち滅ぼされた。
0201 散らす者が、あなたを攻めに上って来る。塁を守り、道を見張り、腰をからげ、大いに力を奮い立たせよ。
0202 【主】は、ヤコブの栄えを、イスラエルの栄えのように回復される。──かすめる者が彼らをかすめ、彼らのぶどうのつるをそこなったからだ。
0203 その勇士の盾は赤く、兵士は緋色の服をまとい、戦車は整えられて鉄の火のようだ。槍は揺れ、
0204 戦車は通りを狂い走り、広場を駆け巡る。その有様はたいまつのようで、いなずまのように走り回る。
0205 貴人たちは呼び出され、途上でつまずき倒れる。彼らはその城壁へ急ぎ、防柵を設ける。
0206 町々の門は開かれ、宮殿は消え去る。
0207 王妃は捕らえられて連れ去られ、そのはしためは鳩のような声で嘆き、胸を打って悲しむ。
0208 ニネベは水の流れ出る池のようだ。みな逃げ出して、「止まれ、立ち止まれ」と言っても、だれも振り返りもしない。
0209 銀を奪え。金も奪え。その財宝は限りない。あらゆる尊い品々が豊富だ。
0210 破壊、滅亡、荒廃。心はしなえ、ひざは震え、すべての腰はわななき、だれの顔も青ざめる。
0211 雄獅子の住みかはどこにあるのか。それは若い獅子のためのほら穴。雄獅子が出歩くとき、雌獅子と子獅子はそこにいるが、だれも脅かす者はない。
0212 雄獅子は子獅子のために、十分な獲物を引き裂き、雌獅子のためにかみ殺し、そのほら穴を、獲物で、その巣を、引き裂いた物で満たした。
0213 見よ。わたしはあなたに立ち向かう。──万軍の【主】の御告げ──わたしはあなたの戦車を燃やして煙とする。剣はあなたの若い獅子を食い尽くす。わたしはあなたの獲物を地から絶やす。あなたの使者たちの声はもう聞かれない。
0301 ああ。流血の町。虚偽に満ち、略奪を事とし、強奪をやめない。
0302 むちの音。車輪の響き。駆ける馬。飛び走る戦車。
0303 突進する騎兵。剣のきらめき。槍のひらめき。おびただしい戦死者。山なすしかばね。数えきれない死体。死体に人はつまずく。
0304 これは、すぐれて麗しい遊女、呪術を行う女の多くの淫行によるものだ。彼女はその淫行によって国々を、その魅力によって諸部族を売った。
0305 見よ。わたしはあなたに立ち向かう。──万軍の【主】の御告げ──わたしはあなたのすそを顔の上までまくり上げ、あなたの裸を諸国の民に見せ、あなたの恥を諸王国に見せる。
0306 わたしはあなたに汚物をかけ、あなたをはずかしめ、あなたを見せものとする。
0307 あなたを見る者はみな、あなたから逃げて言う。「ニネベは滅びた」と。だれが彼女を慰めよう。あなたのために悔やむ者を、どこにわたしは捜そうか。
0308 あなたは、ナイル川のほとりにあるノ・アモンよりもすぐれているか。水がこれを取り囲む。その塁は海、その城壁は水。
0309 クシュとエジプトはその力。それは限りがない。プテ人、ルブ人もその助け手。
0310 しかし、これもまた、捕囚となり、とりことなって行き、その幼子たちもあらゆる町かどで八つ裂きにされ、その高貴な人たちもくじ引きにされ、そのおもだった者たちもみな、鎖につながれた。
0311 あなたも酔いしれて身を隠し、敵から逃げてとりでを捜し求めよう。
0312 あなたのすべての要塞は、初なりのいちじくを持ついちじくの木。それをゆさぶると、食べる者の口に落ちる。
0313 見よ。あなたの兵士は、あなたの中にいる女だ。あなたの国のもろもろの門は、敵のために広くあけ放たれ、火はあなたのかんぬきを焼き尽くす。
0314 包囲の日のための水を汲み、要塞を強固にせよ。泥の中に入り、粘土を踏みつけ、れんがの型を取っておけ。
0315 その時、火はあなたを焼き尽くし、剣はあなたを切り倒し、火はばったのようにあなたを焼き尽くす。あなたは、ばったのように数を増し、いなごのようにふえよ。
0316 あなたの商人を天の星より多くしても、ばったがこれを襲って飛び去る。
0317 あなたの衛兵は、いなごのように、あなたの役人たちは、群がるいなごのように、寒い日には城壁の上でたむろし、日が出ると飛び去り、だれも、どこへ行くか行く先を知らない。
0318 アッシリヤの王よ。あなたの牧者たちは眠り、あなたの貴人たちは寝込んでいる。あなたの民は山々の上に散らされ、だれも集める者はいない。
0319 あなたの傷は、いやされない。あなたの打ち傷は、いやしがたい。あなたのうわさを聞く者はみな、あなたに向かって手をたたく。だれもかれも、あなたに絶えずいじめられていたからだ。