エゼキエル書

1001 私が見ていると、ケルビムの頭の上の大空に、サファイヤのような何か王座に似たものがあって、それが、ケルビムの上に現れた。
1002 主は亜麻布の衣を着た者に命じて言われた。「ケルブの下にある車輪の間に入り、ケルビムの間の炭火をあなたの両手に満たし、それを町の上にまき散らせ。」すると、この人は私の目の前でそこに入って行った。
1003 その人が入って行ったとき、ケルビムは神殿の右側に立っていて、雲がその内庭を満たしていた。
1004 【主】の栄光がケルブの上から上り、神殿の敷居に向かうと、神殿は雲で満たされ、また、庭は【主】の栄光の輝きで満たされた。
1005 そのとき、ケルビムの翼の音が、全能の神の語る声のように、外庭にまで聞こえた。
1006 主が亜麻布の衣を着た者に命じて、「車輪の間、すなわちケルビムの間から火を取れ」と仰せられたとき、この人は入って行って、一つの輪のそばに立った。
1007 すると、一つのケルブはケルビムの間から、ケルビムの間にある火のほうに手を伸ばして、その火を取り、亜麻布の衣を着た者の両手にそれを盛った。この人はそれを受け取ると、出て行った。
1008 さらに、ケルビムの翼の下から人の手の形のものが現れた。
1009 私が見ると、ケルビムのそばに四つの輪があり、一つの輪は一つのケルブのそばに、他の輪は他のケルブのそばにそれぞれあった。その輪は緑柱石の輝きのように見えた。
1010 それらの形は、四つともよく似ていて、ちょうど一つの輪が他の輪の中にあるようであった。
1011 それらが行くとき、それらは四方に向かって行き、行くときには、それらは向きを変えなかった。なぜなら、頭の向かう所に、他の輪も従い、それらが行くときには向きを変えなかったからである。
1012 それらのからだ全体と、その背、その手、その翼、さらに輪、すなわちその四つの輪には、その回りに目がいっぱいついていた。
1013 私はそれらの輪が「車輪」と呼ばれているのを聞いた。
1014 そのおのおのには四つの顔があり、 一の顔はケルブの顔、 二の顔は人間の顔、 三の顔は獅子の顔、 四の顔は鷲の顔であった。
1015 そのとき、ケルビムが飛び立ったが、それは、私がかつてケバル川のほとりで見た生きものであった。
1016 ケルビムが行くと、輪もそのそばを行き、ケルビムが翼を広げて地上から上るとき、輪もそのそばを離れず向きを変えなかった。
1017 ケルビムが立ち止まると、輪も立ち止まり、ケルビムが上ると、輪もいっしょに上った。それは、生きものの霊が輪の中にあったからである。
1018 【主】の栄光が神殿の敷居から出て行って、ケルビムの上にとどまった。
1019 すると、ケルビムが翼を広げて、私の前で、地上から上って行った。彼らが出て行くと、輪もそのそばについて行った。彼らが【主】の宮の東の門の入口で立ち止まると、イスラエルの神の栄光がその上をおおった。
1020 彼らは、かつて私がケバル川のほとりで、イスラエルの神の下に見た生きものであった。私は彼らがケルビムであることを知った。
1021 彼らはおのおの四つずつ顔を持ち、おのおの四つの翼を持っていた。その翼の下には、人間の手のようなものがあった。
1022 彼らの顔かたちは、私がかつてケバル川のほとりでその容貌としるしを見たとおりの顔であった。彼らはみな、前のほうへまっすぐ進んで行った。
1101 そのとき、霊が私を引き上げて、【主】の宮の東に面した東の門に連れて行った。ちょうど、その門の入口には二十五人の者がいて、その中に、私は、民の長であるアズルの子ヤアザヌヤと、ベナヤの子ペラテヤがいるのを見た。
1102 主は私に仰せられた。「人の子よ。この者たちは、この町で、邪悪な計画を立て、悪いはかりごとをめぐらし、
1103 『家を建てるにはまだ間がある。この町はなべであり、私たちはその肉だ』と言っている。
1104 だから、彼らに向かって預言せよ。人の子よ。預言せよ。」
1105 ついで【主】の霊が私に下り、私に仰せられた。「【主】はこう仰せられる、と言え。イスラエルの家よ。あなたがたはあのように言ったが、わたしは、あなたがたの心に浮かぶことどもをよく知っている。
1106 あなたがたはこの町に刺し殺された者をふやし、死体でその道ばたを満たした。
1107 それゆえ、神である主はこう仰せられる。あなたがたが町の中に置いた死体は肉であり、この町はなべである。しかしわたしは、あなたがたをその中から取り出そう。
1108 あなたがたは剣を恐れるが、わたしはあなたがたの上に剣をもたらす。──神である主の御告げ──
1109 わたしはあなたがたを町から連れ出して、他国人の手に渡し、あなたがたにさばきを下す。
1110 あなたがたが剣に倒れ、わたしがイスラエルの国境であなたがたをさばくとき、あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。
1111 この町はあなたがたにとってなべとはならず、あなたがたはその中の肉とはならない。わたしは、イスラエルの国境であなたがたをさばこう。
1112 あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。あなたがたが、わたしのおきてに従って歩まず、わたしの定めを守らず、あなたがたの回りにいる諸国の民のならわしに従ったからである。」
1113 こうして、私が預言しているとき、ベナヤの子ペラテヤが死んだ。そこで、私はひれ伏し、大声で叫んで言った。「ああ、神、主よ。あなたはイスラエルの残りの者たちを、ことごとく滅ぼされるのでしょうか。」
1114 そのとき、私に次のような【主】のことばがあった。
1115 「人の子よ。あなたの兄弟、あなたの同胞、あなたの身近な親類の者たち、またイスラエルの全家のすべての者に対して、エルサレムの住民は、『【主】から遠く離れよ。この地は私たちの所有として与えられているのだ』と言った。
1116 それゆえ言え。『神である主はこう仰せられる。わたしは彼らを遠く異邦の民の中へ移し、国々の中に散らした。しかし、わたしは彼らが行ったその国々で、しばらくの間、彼らの聖所となっていた。』
1117 それゆえ言え。『神である主はこう仰せられる。わたしはあなたがたを、国々の民のうちから集め、あなたがたが散らされていた国々からあなたがたを連れ戻し、イスラエルの地をあなたがたに与える。』
1118 彼らがそこに来るとき、すべての忌むべきもの、すべての忌みきらうべきものをそこから取り除こう。
1119 わたしは彼らに一つの心を与える。すなわち、わたしはあなたがたのうちに新しい霊を与える。わたしは彼らのからだから石の心を取り除き、彼らに肉の心を与える。
1120 それは、彼らがわたしのおきてに従って歩み、わたしの定めを守り行うためである。こうして、彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。
1121 しかし、彼らの忌むべきものや、忌みきらうべきものの心を、自分の心として歩む者には、彼らの頭上に彼らの行いを返そう。──神である主の御告げ──」
1122 ケルビムが翼を広げると、輪もそれといっしょに動き出し、イスラエルの神の栄光がその上のほうにあった。
1123 【主】の栄光はその町の真ん中から上って、町の東にある山の上にとどまった。
1124 また、霊が私を引き上げ、神の霊によって幻のうちに私をカルデヤの捕囚の民のところへ連れて行った。そして、私が見たその幻は、私から去って上って行った。
1125 そこで私は、【主】が私に示されたことをことごとく捕囚の民に告げた。
1201 ついで、私に次のような【主】のことばがあった。
1202 「人の子よ。あなたは反逆の家の中に住んでいる。彼らは反逆の家だから、見る目があるのに見ず、聞く耳があるのに聞こうとしない。
1203 人の子よ。あなたは捕囚のための荷物を整え、彼らの見ている前で、昼のうちに移れ。彼らの見ている前で、今いる所から他の所へ移れ。もしかしたら、彼らに自分たちが反逆の家であることがわかるかもしれない。
1204 あなたは、自分の荷物を昼のうちに彼らの見ている前で、捕囚のための荷物のようにして持ち出し、捕囚に行く人々のように、彼らの見ている前で、夕方、出て行け。
1205 彼らの見ている前で、あなたは壁に穴をあけ、そこから出て行け。
1206 彼らの見ている前で、あなたは荷物を肩に負い、暗いうちに出て行き、顔をおおって地を見るな。わたしがあなたをイスラエルの家のためにしるしとしたからだ。」
1207 そこで、私は命じられたとおりに、私の荷物を捕囚のための荷物のようにして昼のうちに持ち出し、夕方、自分の手で壁に穴をあけ、彼らの見ている前で、暗いうちに荷物を背負って出て行った。
1208 翌朝、私に次のような【主】のことばがあった。
1209 「人の子よ。反逆の家、イスラエルの家は、あなたに、『何をしているのか』と尋ねなかったか。
1210 彼らに言え。『神である主はこう仰せられる。この宣告は、エルサレムの君主、およびそこにいるイスラエルの全家にかかわるものである。』
1211 また言え。『私はあなたがたへのしるしである。私がしたようなことが彼らにもなされる。彼らはとりことなって引いて行かれる。
1212 彼らのうちにいる君主は、暗いうちに荷物を背負って出て行く。出て行けるように壁に穴があけられる。彼は顔をおおうであろう。彼は自分の目でその地をもう見ないからである。』
1213 わたしはまた、彼の上にわたしの網をかけ、彼はわたしのわなにかかる。わたしは彼をカルデヤ人の地のバビロンへ連れて行く。しかし、彼はその地を見ないで、そこで死のう。
1214 わたしはまた、彼の回りにいて彼を助ける者たちや、彼の軍隊をみな、四方に追い散らし、剣を抜いて彼らのあとを追う。
1215 わたしが彼らを諸国の民の中に散らし、国々に追い散らすとき、彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。
1216 彼らが行く先の諸国の民の中で、自分たちの、忌みきらうべきわざをことごとく知らせるために、わたしが彼らのうちのわずかな者を、剣やききんや疫病から免れさせるとき、彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。」
1217 ついで、私に次のような【主】のことばがあった。
1218 「人の子よ。震えながらあなたのパンを食べ、おののきながら、こわごわあなたの水を飲め。
1219 この地の人々に言え。『神である主は、イスラエルの地のエルサレムの住民について、こう仰せられる。彼らは自分たちのパンをこわごわ食べ、自分たちの水をおびえながら飲むようになる。その地が、そこに住むすべての者の暴虐のために、やせ衰えるからである。
1220 人の住んでいた町々が廃墟となり、その地が荒れ果てるそのとき、あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。』」
1221 さらに、私に次のような【主】のことばがあった。
1222 「人の子よ。あなたがたがイスラエルの地について、『日は延ばされ、すべての幻は消えうせる』と言っているあのことわざは、どういうことなのか。
1223 それゆえ、神である主はこう仰せられると言え。『わたしは、あのことわざをやめさせる。それで、彼らはイスラエルでは、もうくり返してそれを言わなくなる。かえって、その日は近づき、すべての幻は実現する』と彼らに告げよ。
1224 もう、むなしい幻も、へつらいの占いもことごとく、イスラエルの家からなくなるからだ。
1225 それは、【主】であるわたしが語り、わたしが語ったことを実現し、決して延ばさないからだ。反逆の家よ。あなたがたが生きているうちに、わたしは言ったことを成就する。──神である主の御告げ──」
1226 さらに、私に次のような【主】のことばがあった。
1227 「人の子よ。今、イスラエルの家は言っている。『彼が見ている幻はずっと後のことについてであり、はるか遠い将来について預言しているのだ。』
1228 それゆえ、彼らに言え。『神である主はこう仰せられる。わたしが言ったことはすべてもう延びることはなく、必ず成就する。』──神である主の御告げ──」

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