エゼキエル書

1301 次のような【主】のことばが私にあった。
1302 「人の子よ。預言をしているイスラエルの預言者どもに対して預言せよ。自分の心のままに預言する者どもに向かって、【主】のことばを聞けと言え。
1303 神である主はこう仰せられる。自分で何も見ないのに、自分の霊に従う愚かな預言者どもにわざわいが来る。
1304 イスラエルよ。あなたの預言者どもは、廃墟にいる狐のようだ。
1305 あなたがたは、【主】の日に、戦いに耐えるために、破れ口を修理もせず、イスラエルの家の石垣も築かなかった。
1306 彼らはむなしい幻を見、まやかしの占いをして、『【主】の御告げ』と言っている。【主】が彼らを遣わされないのに。しかも、彼らはそのことが成就するのを待ち望んでいる。
1307 あなたがたはむなしい幻を見、まやかしの占いをしていたではないか。わたしが語りもしないのに『【主】の御告げ』と言っている。
1308 それゆえ、神である主はこう仰せられる。あなたがたは、むなしいことを語り、まやかしの幻を見ている。それゆえ今、わたしはあなたがたに立ち向かう。──神である主の御告げ──
1309 わたしは、むなしい幻を見、まやかしの占いをしている預言者どもに手を下す。彼らはわたしの民の交わりに加えられず、イスラエルの家の籍にも入れられない。イスラエルの地にも入ることができない。このとき、あなたがたは、わたしが神、主であることを知ろう。
1310 実に、彼らは、平安がないのに『平安』と言って、わたしの民を惑わし、壁を建てると、すぐ、それをしっくいで上塗りしてしまう。
1311 しっくいで上塗りする者どもに言え。『それは、すぐはげ落ちる。』大雨が降り注ぎ、わたしが雹を降らせ、激しい風を吹きつける。
1312 すると、壁が倒れ落ちる。人々はあなたがたに向かって、『上塗りしたしっくいはどこにあるのか』と言わないだろうか。
1313 それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしは、憤って激しい風を吹きつけ、怒って大雨を降り注がせ、憤って雹を降らせて、こわしてしまう。
1314 あなたがたがしっくいで上塗りした壁を、わたしが打ちこわし、地に倒してしまうので、その土台までもあばかれてしまう。それが倒れ落ちて、あなたがたがその中で滅びるとき、あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。
1315 わたしは、その壁と、それをしっくいで上塗りした者どもへのわたしの憤りを全うして、あなたがたに言う。壁もなくなり、それにしっくいを塗った者どもも、いなくなった。
1316 エルサレムについて預言し、平安がないのに平安の幻を見ていたイスラエルの預言者どもよ。──神である主の御告げ──
1317 人の子よ。自分の心のままに預言するあなたの民の娘たちに、あなたの顔を向け、彼らに預言して、
1318 言え。神である主はこう仰せられる。みなの手首に呪法のひもを縫い合わせ、あらゆる高さの頭に合うようにベールを作って、人々をわなにかける女たちにわざわいが来る。あなたがたは、わたしの民である人々をわなにかけて、自分たちのために人々を生かしているのだ。
1319 あなたがたは、ひとつかみの大麦のため、少しばかりのパンのために、まやかしに聞き従うわたしの民にまやかしを行い、死んではならない者たちを死なせ、生きてはならない者たちを生かして、わたしの民のうちでわたしを汚した。
1320 それゆえ、神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、あなたがたが、人々を鳥を取るようにわなにかけたのろいのひもに立ち向かう。それらをあなたがたの腕からもぎ取り、あなたがたが鳥を取るようにわなにかけた人々を、わたしが放す。
1321 わたしは、あなたがたのベールをはがし、わたしの民をあなたがたの手から救い出す。わなにかかった者たちは、もうあなたがたの手のうちにいなくなる。このとき、あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。
1322 あなたがたは、わたしが悲しませなかったのに、正しい人の心を偽りで悲しませ、悪者を力づけ、彼が悪の道から立ち返って生きるようにしなかった。
1323 それゆえ、あなたがたは、もう、むなしい幻も見ることができず、占いもできなくなる。わたしは、わたしの民をあなたがたの手から救い出す。このとき、あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。」
1401 イスラエルの長老たちの幾人かが来て、私の前にすわった。
1402 そのとき、私に次のような【主】のことばがあった。
1403 「人の子よ。これらの者たちは、自分たちの偶像を心の中に秘め、自分たちを不義に引き込むものを、顔の前に置いている。わたしは、どうして彼らの願いを聞いてやれようか。
1404 それゆえ、彼らに告げよ。神である主はこう仰せられると言え。心の中に偶像を秘め、不義に引き込むものを自分の顔の前に置きながら、預言者のところに来るすべてのイスラエルの家の者には、【主】であるわたしが、その多くの偶像に応じて答えよう。
1405 偶像のために、みなわたしから離されてしまったイスラエルの家の心をわたしがとらえるためである。
1406 それゆえ、イスラエルの家に言え。神である主はこう仰せられる。悔い改めよ。偶像を捨て去り、すべての忌みきらうべきものをあなたがたの前から遠ざけよ。
1407 イスラエルの家の者でも、イスラエルにいる在留異国人でも、だれでもわたしから離れ、心の中に偶像を秘め、不義に引き込むものを顔の前に置きながら、わたしに尋ね求めようと、預言者のところに来る者には、【主】であるわたしが答えよう。
1408 わたしがそのような者から顔をそむけ、彼をしるしとし、語りぐさとして、わたしの民のうちから彼を断ち滅ぼすとき、あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。
1409 もし預言者が惑わされて、ことばを語るなら、──主であるわたしがその預言者を惑わしたのである──わたしは彼に手を伸ばして、わたしの民イスラエルのうちから彼を根絶やしにする。
1410 こういう者たちは、自分たちの咎を負う。この預言者の咎は、尋ね求めた者の咎と同じである。
1411 それは、イスラエルの家が、二度とわたしから迷い出ず、重ねて自分たちのそむきの罪によって自分自身を汚さないためであり、彼らがわたしの民となり、わたしも彼らの神となるためである。──神である主の御告げ──」
1412 次のような【主】のことばが私にあった。
1413 「人の子よ。国が、不信に不信を重ねてわたしに罪を犯し、そのためわたしがその国に手を伸ばし、そこのパンのたくわえをなくし、その国にききんを送り、人間や獣をそこから断ち滅ぼすなら、
1414 たとい、そこに、ノアとダニエルとヨブの、これら三人の者がいても、彼らは自分たちの義によって自分たちのいのちを救い出すだけだ。──神である主の御告げ──
1415 もし、その地にわたしが悪い獣を行き巡らせ、その地を不毛にし、荒れ果てさせ、獣のために通り過ぎる者もなくなるとき、
1416 たとい、その地にこれら三人の者がいても、──わたしは生きている。神である主の御告げ──彼らは決して自分の息子も娘も救い出すことができない。ただ彼ら自身だけが救い出され、その地は荒れ果てる。
1417 あるいは、わたしがその地に剣を送り、『剣よ。この地を行き巡れ』と言って、人間や獣をそこから断ち滅ぼすとき、
1418 たとい、その地にこれら三人の者がいても、──わたしは生きている。神である主の御告げ──彼らは決して自分の息子も娘も救い出すことができない。ただ彼ら自身だけが救い出される。
1419 あるいは、わたしがその地に疫病を送って、人間や獣をそこから断ち滅ぼすために、血を流してわたしの憤りをその地に注ぐとき、
1420 たとい、そこに、ノアとダニエルとヨブがいても、──わたしは生きている。神である主の御告げ──彼らは決して息子も娘も救い出すことができない。彼らは自分たちの義によって自分たちのいのちを救い出すだけだ。
1421 まことに、神である主はこう仰せられる。人間や獣を断ち滅ぼすために、わたしが剣とききんと悪い獣と疫病との四つのひどい刑罰をエルサレムに送るとき、
1422 見よ、そこに、のがれた者が残っていて、息子や娘たちを連れ出し、あなたがたのところにやって来よう。あなたがたは彼らの行いとわざとを見るとき、わたしがエルサレムにもたらしたわざわいと、わたしがそこにもたらしたすべての事について、慰められよう。
1423 あなたがたは、彼らの行いとわざとを見て慰められる。このとき、あなたがたは、わたしがそこでしたすべての事はゆえもなくしたのではないことを知ろう。──神である主の御告げ──」
1501 次のような【主】のことばが私にあった。
1502 人の子よ。ぶどうの木は、森の木立ちの間にあって、その枝が、ほかの木よりどれだけすぐれているのか。
1503 その木を使って何かを作るためにその木は切り出されるだろうか。それとも、あらゆる器具を掛けるためにこれを使って木かぎを作るだろうか。
1504 見よ。それは、たきぎとして火に投げ入れられ、火がその両端を焼き尽くす。その中ほども焦げてしまえば、それは何の役に立つだろうか。
1505 見よ。それが完全なときでも、何も作れないのに、まして、火がそれを燃やして、焦がせば、もう、それで何が作れよう。
1506 それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしはエルサレムの住民を、わたしがたきぎとして火に投げ入れた、森の木立ちの間のぶどうの木のように、火に投げ入れてしまう。
1507 わたしは彼らから顔をそむける。彼らが火からのがれても、火は彼らを焼き尽くしてしまう。わたしが彼らから顔をそむけるそのとき、あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。
1508 彼らがわたしに不信に不信を重ねたので、わたしはこの地を荒れ果てさせる。──神である主の御告げ──

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