4601 諸国の民について、預言者エレミヤにあった【主】のことば。
4602 エジプトについて、すなわちユーフラテス河畔のカルケミシュにいたエジプトの王パロ・ネコの軍勢について。ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの 四年に、バビロンの王ネブカデレザルはこれを打ち破った。
4603 「盾と大盾を整えて、戦いに向かえ。
4604 騎兵よ。馬に鞍をつけて乗れ。かぶとを着けて部署につけ。槍をみがき、よろいを着よ。
4605 何ということか、この有様。彼らはおののき、うしろに退く。勇士たちは打たれ、うしろも振り向かずに逃げ去った。恐れが回りにある。──【主】の御告げ──
4606 足の速い者も逃げることができない。勇士たちものがれることができない。北のほう、ユーフラテス川のほとりで、彼らはつまずき倒れた。
4607 ナイル川のようにわき上がり、川々のように寄せては返すこの者はだれか。
4608 エジプトだ。──ナイル川のようにわき上がり、川々のように寄せては返す。彼は言った。『わき上がって地をおおい、町も住民も滅ぼしてしまおう。』
4609 馬よ、上れ。戦車よ、走れ。勇士たちよ、出陣だ。盾を取るクシュ人、プテ人、弓を引き張るルデ人よ。
4610 その日は、万軍の神、主の日、仇に復讐する復讐の日。剣は食らって飽き、彼らの血に酔う。北の地、ユーフラテス川のほとりでは、万軍の神、主に、いけにえがささげられる。
4611 おとめエジプトの娘よ。ギルアデに上って乳香を取れ。多くの薬を使ってもむなしい。あなたはいやされない。
4612 国々は、あなたの恥を聞いた。あなたの哀れな叫び声は地に満ちた。勇士は勇士につまずき、共に倒れたからだ。」
4613 バビロンの王ネブカデレザルが来て、エジプトの国を打つことについて、【主】が預言者エレミヤに語られたみことば。
4614 エジプトで告げ、ミグドルで聞かせ、ノフとタフパヌヘスで聞かせて言え。「立ち上がって備えをせよ。剣があなたの回りを食い尽くしたからだ。
4615 なぜ、あなたの雄牛は押し流されたのか。立たなかったのか。【主】が彼を追い払われたからだ。
4616 多くの者がつまずき、倒れた。彼らは互いに言った。『さあ、私たちの民のところ、生まれ故郷に帰ろう。あのしいたげる者の剣を避けて。』
4617 彼らは、そこで叫んだ。エジプトの王パロは、時期を逸して騒ぐ者。
4618 わたしは生きている。──その名を万軍の【主】という王の御告げ──彼は山々の中のタボルのように、海のほとりのカルメルのように、必ず来る。
4619 エジプトに住む娘よ。捕虜になる身支度をせよ。ノフは荒れ果て、廃墟となって住む人もなくなるからだ。
4620 エジプトはかわいい雌の子牛。北からあぶが襲って来る。
4621 その中にいた傭兵も、肥えた子牛のようだった。彼らもまた、背を向けて共に逃げ、立ち止まろうともしなかった。彼らの滅びの日、刑罰の時が、彼らの上に来たからだ。
4622 彼女の声は蛇のように消え去る。彼らは軍勢を率いて来る。きこりのように、斧を持って入って来る。
4623 彼らはその森を切り倒す。──【主】の御告げ──それは測り知られず、いなごより多くて数えることができないからだ。
4624 娘エジプトは、はずかしめられ、北の民の手に渡された。」
4625 イスラエルの神、万軍の【主】は、仰せられる。「見よ。わたしは、ノのアモンと、パロとエジプト、その神々と王たち、パロと彼に拠り頼む者たちとを罰する。
4626 わたしは彼らを、そのいのちをねらっている者たちの手、すなわちバビロンの王ネブカデレザルの手とその家来たちの手に渡す。その後、エジプトは、昔の日のように人が住むようになる。──【主】の御告げ──
4627 わたしのしもべヤコブよ。恐れるな。イスラエルよ。おののくな。見よ。わたしが、あなたを遠くから、あなたの子孫を捕囚の地から、救うからだ。ヤコブは帰って来て、平穏に安らかに生き、おびえさせる者はだれもいない。
4628 わたしのしもべヤコブよ。恐れるな。──【主】の御告げ──わたしがあなたとともにいるからだ。わたしは、あなたを追いやった先のすべての国々を滅ぼし尽くすからだ。わたしはあなたを滅ぼし尽くさない。公義によって、あなたを懲らしめ、あなたを罰せずにおくことは決してないが。」
4701 パロがまだガザを打たないうちに、ペリシテ人について、預言者エレミヤにあった【主】のことば。
4702 【主】はこう仰せられる。「見よ。北から水が上って来て、あふれる流れとなり、地と、それに満ちるもの、町とその住民とにあふれかかる。人々は泣き叫び、地の住民はみな泣きわめく。
4703 荒馬のひづめの音、戦車の響き、車輪の騒音のため、父たちは気力を失って、子らを顧みない。
4704 すべてのペリシテ人を破滅させる日が来たからだ。その日には、ツロとシドンを、生き残って助ける者もみな、断ち滅ぼされる。【主】が、カフトルの島に残っているペリシテ人も破滅させるからだ。
4705 ガザは頭をそられ、アシュケロンは滅びうせた。アナク人の残りの者よ。いつまで、あなたは身を傷つけるのか。」
4706 「ああ。【主】の剣よ。いつまで、おまえは休まないのか。さやに納まり、静かに休め。」
4707 どうして、おまえは休めよう。【主】が剣に命じられたのだ。アシュケロンとその海岸──そこに剣を向けられたのだ。
4801 モアブについて。イスラエルの神、万軍の【主】は、こう仰せられる。「ああ、悲しいかな、ネボ。これは荒らされた。キルヤタイムもはずかしめられ、攻め取られた。そのとりでは、はずかしめられて打ちのめされた。
4802 もはやモアブの栄誉はない。ヘシュボンでは、これに悪事をたくらんでいる。『行って、あの国民を断ち滅ぼして無き者にしよう。』マデメンよ。おまえも黙る。剣がおまえのあとを追っている。」
4803 聞け。ホロナイムからの悲鳴。「破壊だ。大破滅だ」と。
4804 モアブは打ち破られた。その叫びはツォアルまで聞こえた。
4805 ルヒテの坂を泣きながら嘆きが上る。敵はホロナイムの下り坂では、いたいたしい破滅の叫びを聞いた。
4806 逃げて、おまえたちのいのちを救え。荒野の中の野ろばのようになれ。
4807 おまえは自分の作った物や財宝に拠り頼んだので、おまえまで捕らえられ、ケモシュはその祭司や首長たちとともに、捕囚となって出て行く。
4808 荒らす者がすべての町に入って来る。一つの町ものがれることができない。谷は滅びうせ、平地は根絶やしにされる。【主】が仰せられるからだ。
4809 モアブに翼を与えて、飛び去らせよ。その町々は住む者もなくて荒れ果てる。
4810 【主】のみわざをおろそかにする者は、のろわれよ。その剣をとどめて血を流さないようにする者は、のろわれよ。
4811 モアブは若い時から安らかであった。彼はぶどう酒のかすの上にじっとたまっていて、器から器へあけられたこともなく、捕囚として連れて行かれたこともなかった。それゆえ、その味はそのまま残り、かおりも変わらなかった。
4812 「それゆえ、見よ、その日が来る。──【主】の御告げ──その日、わたしは、彼に酒蔵の番人を送る。彼らはそれを器から移し、その器をあけ、そのつぼを砕く。
4813 モアブは、ケモシュのために恥を見る。イスラエルの家が、彼らの拠り頼むベテルのために恥を見たように。」
4814 どうして、あなたがたは「われわれは勇士、戦いの豪の者」と言えようか。
4815 モアブは荒らされ、その町々は襲われて、えり抜きの若者たちも、ほふり場に下って行く。──その名を万軍の【主】という王の御告げ──
4816 モアブの災難は近づいた。そのわざわいは、すみやかに来る。
4817 その回りの者、その名を知る者はみな、これのために嘆け。「どうして力ある杖、美しい笏が砕かれたのか」と言え。
4818 ディボンに住む娘よ。栄光の座からおりて、潤いのない地にすわれ。モアブを荒らす者が、あなたを襲い、あなたの要塞を滅ぼしたからだ。
4819 アロエルに住む女よ。道のかたわらに立って見張れ。逃げて来る男、のがれて来る女に尋ねて、「何が起こったのか」と言え。
4820 モアブは打ちのめされて、はずかしめられた。泣きわめき、叫べ。アルノンで、「モアブは荒らされた」と告げよ。
4821 さばきは次の平地に来た。ホロン、ヤハツ、メファアテ、
4822 ディボン、ネボ、ベテ・ディブラタイム、
4823 キルヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、
4824 ケリヨテ、ボツラ、モアブの国の遠近のすべての町々に。
4825 「モアブの角は切り落とされ、その腕は砕かれた。──【主】の御告げ──」
4826 彼を酔わせよ。【主】に対して高ぶったからだ。モアブは、へどを吐き散らし、彼もまた物笑いとなる。
4827 イスラエルは、あなたの物笑いではなかったのか。それとも、あなたが彼のことを語るたびごとに彼に向かって頭を振っていたのは、彼が見つけられた盗人のひとりであったためか。
4828 モアブの住民よ。町を見捨てて岩間に住め。穴の入口のそばに巣を作る鳩のようになれ。
4829 私たちはモアブの高ぶりを聞いた。実に高慢だ。その高慢、その高ぶり、その誇り、その心の高ぶりを。
4830 「わたしは、彼の高ぶりを知っている。──【主】の御告げ──その自慢話は正しくない。その行いも正しくない。」
4831 それゆえ、モアブのために私は泣きわめき、モアブ全体のために私は叫ぶ。キル・ヘレスの人々のために嘆く。
4832 シブマのぶどうの木よ。ヤゼルの涙にまさって、私はおまえのために泣く。おまえのつるは伸びて海を越えた。ヤゼルの海に達した。おまえの夏のくだものとぶどうの取り入れを、荒らす者が襲った。
4833 「モアブの果樹園とその国から、喜びと楽しみは取り去られ、私は酒ぶねから酒を絶やした。喜びの声をあげてぶどうを踏む者もなく、ぶどう踏みの喜びの声は、もう喜びの声ではない。」
4834 ヘシュボンが叫んだため、その声はエルアレとヤハツまで、ツォアルからホロナイムやエグラテ・シェリシヤまで届いた。ニムリムの水さえ、荒廃した地となるからだ。
4835 「またわたしは、モアブの、──【主】の御告げ──高き所でいけにえをささげ、その神々に香をたく者を取り除く。」
4836 それゆえ、私の心はモアブのために笛のように鳴り、私の心はキル・ヘレスの人々のために笛のように鳴る。彼らの得た富も消えうせたからだ。
4837 彼らは頭の毛をみなそり、ひげもみな切り取り、手にもみな傷をつけ、腰に荒布を着けているからだ。
4838 モアブのすべての屋根の上や、広場には、ただ嘆きだけがある。「わたしがモアブを、だれにも喜ばれない器のように、砕いたからだ。──【主】の御告げ──」
4839 どうしてこうも打ちのめされて、泣きわめくのか。どうして、モアブは恥を見、背を見せたのか。モアブは、その回りのすべての者の物笑いとなり、恐れとなってしまった。
4840 まことに、【主】はこう仰せられる。「見よ。彼は鷲のように飛びかかり、モアブに向かって翼を広げる。
4841 町々は攻め取られ、要害は取られる。その日、モアブの勇士の心も、産みの苦しみをする女の心のようになる。
4842 モアブは滅ぼされて、民でなくなった。【主】に対して高ぶったからだ。
4843 モアブの住民よ。恐れと穴とわなとが、あなたを襲う。──【主】の御告げ──
4844 その恐れから逃げた者は、穴に落ち、穴から上る者は、わなに捕らえられる。わたしがモアブに、彼らの刑罰の年を来させるからだ。──【主】の御告げ──
4845 ヘシュボンの陰には、のがれる者たちが力尽きて立ち止まる。火がヘシュボンから、炎がシホンのうちから出て、モアブのこめかみと、騒がしい子らの頭の頂を焼いた。
4846 ああ。モアブ。ケモシュの民は滅びた。あなたの息子はとりこにされ、娘は捕虜になって連れ去られた。
4847 しかし終わりの日に、わたしはモアブの繁栄を元どおりにする。──【主】の御告げ──」ここまではモアブへのさばきである。