0101 ベニヤミンの地アナトテにいた祭司のひとり、ヒルキヤの子エレミヤのことば。
0102 アモンの子、ユダの王ヨシヤの時代、その治世の 十三年に、エレミヤに【主】のことばがあった。
0103 それはさらに、ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの時代にもあり、ヨシヤの子、ユダの王ゼデキヤの 十一年の終わりまで、すなわち、その年の 五の月、エルサレムの民の捕囚の時まであった。
0104 次のような【主】のことばが私にあった。
0105 「わたしは、あなたを胎内に形造る前から、あなたを知り、あなたが腹から出る前から、あなたを聖別し、あなたを国々への預言者と定めていた。」
0106 そこで、私は言った。「ああ、神、主よ。ご覧のとおり、私はまだ若くて、どう語っていいかわかりません。」
0107 すると、【主】は私に仰せられた。「まだ若い、と言うな。わたしがあなたを遣わすどんな所へでも行き、わたしがあなたに命じるすべての事を語れ。
0108 彼らの顔を恐れるな。わたしはあなたとともにいて、あなたを救い出すからだ。──【主】の御告げ──」
0109 そのとき、【主】は御手を伸ばして、私の口に触れ、【主】は私に仰せられた。「今、わたしのことばをあなたの口に授けた。
0110 見よ。わたしは、きょう、あなたを諸国の民と王国の上に任命し、あるいは引き抜き、あるいは引き倒し、あるいは滅ぼし、あるいはこわし、あるいは建て、また植えさせる。」
0111 次のような【主】のことばが私にあった。「エレミヤ。あなたは何を見ているのか。」そこで私は言った。「アーモンドの枝を見ています。」
0112 すると【主】は私に仰せられた。「よく見たものだ。わたしのことばを実現しようと、わたしは見張っているからだ。」
0113 再び、私に次のような【主】のことばがあった。「何を見ているのか。」そこで私は言った。「煮え立っているかまを見ています。それは北のほうからこちらに傾いています。」
0114 すると【主】は私に仰せられた。「わざわいが、北からこの地の全住民の上に、降りかかる。
0115 今、わたしは北のすべての王国の民に呼びかけているからだ。──【主】の御告げ──彼らは来て、エルサレムの門の入口と、周囲のすべての城壁と、ユダのすべての町に向かって、それぞれの王座を設ける。
0116 しかし、わたしは、彼らのすべての悪にさばきを下す。彼らはわたしを捨てて、ほかの神々にいけにえをささげ、自分の手で造った物を拝んだからだ。
0117 さあ、あなたは腰に帯を締め、立ち上がって、わたしがあなたに命じることをみな語れ。彼らの顔におびえるな。さもないと、わたしはあなたを彼らの面前で打ち砕く。
0118 見よ。わたしはきょう、あなたを、全国に、ユダの王たち、首長たち、祭司たち、この国の人々に対して、城壁のある町、鉄の柱、青銅の城壁とした。
0119 だから、彼らがあなたと戦っても、あなたには勝てない。わたしがあなたとともにいて、──【主】の御告げ──あなたを救い出すからだ。」
0201 ついで、私に次のような【主】のことばがあった。
0202 「さあ、行って、【主】はこう仰せられると言って、エルサレムの人々の耳に呼ばわれ。わたしは、あなたの若かったころの誠実、婚約時代の愛、荒野の種も蒔かれていない地でのわたしへの従順を覚えている。
0203 イスラエルは【主】の聖なるもの、その収穫の初穂であった。これを食らう者はだれでも罪に定められ、わざわいをこうむったものだ。──【主】の御告げ──」
0204 ヤコブの家と、イスラエルの家のすべてのやからよ。【主】のことばを聞け。
0205 【主】はこう仰せられる。「あなたがたの先祖は、わたしにどんな不正を見つけて、わたしから遠く離れ、むなしいものに従って行って、むなしいものとなったのか。
0206 彼らは尋ねもしなかった。『【主】はどこにおられるのか。私たちをエジプトの国から上らせた方、私たちに、荒野の荒れた穴だらけの地、砂漠の死の陰の地、人も通らず、だれも住まない地を行かせた方は』と。
0207 しかし、わたしはあなたがたを、実り豊かな地に連れて入り、その良い実を食べさせた。ところが、あなたがたは、入って来て、わたしの国を汚し、わたしのゆずりの地を忌みきらうべきものにした。
0208 祭司たちは、『【主】はどこにおられるのか』と言わず、律法を取り扱う者たちも、わたしを知らず、牧者たちもわたしにそむき、預言者たちはバアルによって預言して、無益なものに従って行った。
0209 そのため、わたしはなお、あなたがたと争う。──【主】の御告げ──また、あなたがたの子孫と争う。
0210 キティムの島々に渡ってよく見よ。ケダルに人を遣わして調べてみよ。このようなことがあったかどうか、よく見よ。
0211 かつて、神々を神々でないものに、取り替えた国民があっただろうか。ところが、わたしの民は、その栄光を無益なものに取り替えた。
0212 天よ。このことに色を失え。おぞ気立て。干上がれ。──【主】の御告げ──
0213 わたしの民は二つの悪を行った。湧き水の泉であるわたしを捨てて、多くの水ためを、水をためることのできない、こわれた水ためを、自分たちのために掘ったのだ。
0214 イスラエルは奴隷なのか。それとも家に生まれたしもべなのか。なぜ、獲物にされたのか。
0215 若獅子は、これに向かってほえたけり、叫び声をあげて、その地を荒れ果てさせ、その町々は焼かれて住む者もいなくなる。
0216 ノフとタフパヌヘスの子らも、あなたの頭の頂をそり上げる。
0217 あなたの神、【主】が、あなたを道に進ませたとき、あなたは主を捨てたので、このことがあなたに起こるのではないか。
0218 今、ナイル川の水を飲みにエジプトの道に向かうとは、いったいどうしたことか。ユーフラテス川の水を飲みにアッシリヤの道に向かうとは、いったいどうしたことか。
0219 あなたの悪が、あなたを懲らし、あなたの背信が、あなたを責める。だから、知り、見きわめよ。あなたが、あなたの神、【主】を捨てて、わたしを恐れないのは、どんなに悪く、苦々しいことかを。──万軍の神、主の御告げ──
0220 実に、あなたは昔から自分のくびきを砕き、自分のなわめを断ち切って、『私は逃げ出さない』と言いながら、すべての高い丘の上や、すべての青々とした木の下で、寝そべって淫行を行っている。
0221 わたしは、あなたをことごとく純良種の良いぶどうとして植えたのに、どうしてあなたは、わたしにとって、質の悪い雑種のぶどうに変わったのか。
0222 たとい、あなたがソーダで身を洗い、たくさんの灰汁を使っても、あなたの咎は、わたしの前では汚れている。──神である主の御告げ──
0223 どうしてあなたは、『私は汚れていない。バアルたちには従わなかった』と言えようか。谷の中でのあなたの道を省み、何をしたかを知れ。あなたは、道をあちこち走り回るすばやい雌のらくだ、
0224 また、荒野に慣れた野ろばだ。欲情に息はあえぐ。そのさかりのとき、だれがこれを静めえようか。これを捜す者は苦労しない。その発情期に、これを見つけることができる。
0225 はだしにならないよう、のどが渇かないようにせよ。しかし、あなたは言う。『あきらめられません。私は他国の男たちが好きです。それについて行きたいのです』と。
0226 盗人が、見つけられたときに、はずかしめられるように、イスラエルの家もはずかしめられる。彼らの王たち、首長たち、祭司たち、預言者たちがそうである。
0227 彼らは木に向かっては、『あなたは私の父』、石に向かっては、『あなたは私を生んだ』と言っている。実に、彼らはわたしに背を向けて、顔を向けなかった。それなのに、わざわいのときには、『立って、私たちを救ってください』と言う。
0228 では、あなたが造った神々はどこにいるのか。あなたのわざわいのときには、彼らが立って救えばよい。ユダよ。あなたの神々は、あなたの町の数ほどもいるからだ。
0229 なぜ、あなたがたは、わたしと争うのか。あなたがたはみな、わたしにそむいている。──【主】の御告げ──
0230 わたしはあなたがたの子らを打ったが、むだだった。その懲らしめは役に立たなかった。あなたがたの剣は、食い滅ぼす獅子のように、あなたがたの預言者たちを食い尽くした。
0231 あなたがた、この時代の人々よ。【主】のことばに心せよ。わたしはイスラエルにとって、荒野であったのか。あるいは暗黒の地であったのか。どうしてわたしの民は、『私たちはさまよい出て、もうあなたのところには帰りません』と言うのか。
0232 おとめが自分の飾り物を忘れ、花嫁が自分の飾り帯を忘れるだろうか。それなのに、わたしの民がわたしを忘れた日数は数えきれない。
0233 あなたが愛を求める方法は、なんと巧みなことか。それであなたは、悪い女にも、自分の方法を巧みに教えたのだ。
0234 あなたのすそには、罪のない貧しい人たちの、いのちの血が見える。彼らの押し入るのを、あなたが見つけたわけでもないのに。しかも、これらのことがあるにもかかわらず、
0235 あなたは『私には罪がない。確かに、御怒りは私から去った』と言っている。『私は罪を犯さなかった』と言うから、今、わたしはあなたをさばく。
0236 なんと、簡単に自分の道を変えることか。あなたはアッシリヤによってはずかしめられたと同様に、エジプトによってもはずかしめられる。
0237 そこからもあなたは、両手を頭にのせて出て来よう。【主】があなたの拠り頼む者を退けるので、あなたは彼らによって栄えることは決してない。
0301 もし、人が自分の妻を去らせ、彼女が彼のもとを去って、ほかの男のものになれば、この人は再び先の妻のもとに戻れるだろうか。この国も大いに汚れていないだろうか。あなたは、多くの愛人と淫行を行って、しかも、わたしのところに帰ると言っている。──【主】の御告げ──
0302 目を上げて裸の丘を見よ。どこに、あなたが共寝をしなかった所があろう。荒野のアラビヤ人がするように、道ばたで相手を待ってすわり込み、あなたの淫行と悪行によって、この地を汚した。
0303 それで夕立はとどめられ、後の雨はなかった。それでも、あなたは遊女の額をしていて、恥じようともしない。
0304 今でも、わたしに、こう呼びかけているではないか。『父よ。あなたは私の若いころの連れ合いです。
0305 いつまでも怒られるのですか。永久に怒り続けるのですか』と。なんと、あなたはこう言っていても、できるだけ多くの悪を行っている。」
0306 ヨシヤ王の時代に、【主】は私に仰せられた。「あなたは、背信の女イスラエルが行ったことを見たか。彼女はすべての高い山の上、すべての茂った木の下に行って、そこで淫行を行った。
0307 わたしは、彼女がすべてこれらのことをしたあとで、わたしに帰って来るだろうと思ったのに、帰らなかった。また裏切る女、妹のユダもこれを見た。
0308 背信の女イスラエルは、姦通したというその理由で、わたしが離婚状を渡してこれを追い出したのに、裏切る女、妹のユダは恐れもせず、自分も行って、淫行を行ったのをわたしは見た。
0309 彼女は、自分の淫行を軽く見て、国を汚し、石や木と姦通した。
0310 このようなことをしながら、裏切る女、妹のユダは、心を尽くしてわたしに帰らず、ただ偽っていたにすぎなかった。──【主】の御告げ──」
0311 【主】はまた、私に仰せられた。「背信の女イスラエルは、裏切る女ユダよりも正しかった。
0312 行って、次のことばを北のほうに呼ばわって言え。背信の女イスラエル。帰れ。──【主】の御告げ──わたしはあなたがたをしからない。わたしは恵み深いから。──【主】の御告げ──わたしは、いつまでも怒ってはいない。
0313 ただ、あなたは自分の咎を知れ。あなたは自分の神、【主】にそむいて、すべての茂った木の下で、他国の男とかってなまねをし、わたしの声を聞き入れなかった。──【主】の御告げ──
0314 背信の子らよ。帰れ。──【主】の御告げ──わたしが、あなたがたの夫になるからだ。わたしはあなたがたを、町からひとり、氏族からふたり選び取り、シオンに連れて行こう。
0315 また、あなたがたに、わたしの心にかなった牧者たちを与える。彼らは知識と分別をもってあなたがたを育てよう。
0316 その日、あなたがたが国中にふえて多くなるとき、──【主】の御告げ──彼らはもう、【主】の契約の箱について何も言わず、心にも留めず、思い出しもせず、調べもせず、再び作ろうともしない。
0317 そのとき、エルサレムは『【主】の御座』と呼ばれ、万国の民はこの御座、【主】の名のあるエルサレムに集められ、二度と彼らは悪いかたくなな心のままに歩むことはない。
0318 その日、ユダの家はイスラエルの家といっしょになり、彼らはともどもに、北の国から、わたしが彼らの先祖に継がせた国に帰って来る。」
0319 「わたしはどのようにして、あなたを息子たちの中に入れ、あなたに、慕わしい地、諸国のうちで最も麗しいゆずりの地を授けようかと思っていた。また、わたしは、あなたがわたしを父と呼び、わたしに従って、もう離れまい、と思っていた。
0320 ところが、なんと、妻が夫を裏切るように、あなたがたはわたしを裏切った。イスラエルの家よ。──【主】の御告げ──
0321 一つの声が裸の丘の上で聞こえる。イスラエルの子らの哀願の泣き声だ。彼らは自分たちの道を曲げ、自分たちの神、【主】を忘れたからだ。
0322 背信の子らよ。帰れ。わたしがあなたがたの背信をいやそう。」「今、私たちはあなたのもとにまいります。あなたこそ、私たちの神、【主】だからです。
0323 確かに、もろもろの丘も、山の騒ぎも、偽りでした。確かに、私たちの神、【主】に、イスラエルの救いがあります。
0324 しかし、私たちの若いころから、バアルが、私たちの先祖の勤労の実、彼らの羊の群れ、牛の群れ、息子、娘たちを食い尽くしました。
0325 私たちは恥の中に伏し、侮辱が私たちのおおいとなっています。私たちの神、【主】に対し、私たちも先祖たちも、私たちの若いころから今日まで罪を犯して、私たちの神、【主】の御声に聞き従わなかったからです。」