1001 イスラエルの家よ。【主】があなたがたに語られたことばを聞け。
1002 【主】はこう仰せられる。「異邦人の道を見習うな。天のしるしにおののくな。異邦人がそれらにおののいていても。
1003 国々の民のならわしはむなしいからだ。それは、林から切り出された木、木工が、なたで造った物にすぎない。
1004 それは銀と金で飾られ、釘や、槌で、動かないように打ちつけられる。
1005 それは、きゅうり畑のかかしのようで、ものも言えず、歩けないので、いちいち運んでやらなければならない。そんな物を恐れるな。わざわいも幸いも下せないからだ。」
1006 【主】よ。あなたに並ぶ者はありません。あなたは大いなる方。あなたの御名は、力ある大いなるものです。
1007 諸国の民の王よ。だれかあなたを恐れない者がありましょうか。それは、あなたに対して当然なことです。諸国の民のすべての知恵ある者たちの中にも、そのすべての王国の中にも、あなたと並ぶような者はいないからです。
1008 彼らはみなまぬけ者で愚かなことをする。むなしい神々の戒め──それは木にすぎない。
1009 銀箔はタルシシュから、金はウファズから運ばれる。偶像は木工と金細工人の手の作。その衣は青色と紫色、これらはみな、名匠の作。
1010 しかし、【主】はまことの神、生ける神、とこしえの王。その怒りに地は震え、その憤りに国々は耐えられない。
1011 あなたがたは、彼らにこう言え。「天と地を造らなかった神々は、地からも、これらの天の下からも滅びる」と。
1012 主は、御力をもって地を造り、知恵をもって世界を堅く建て、英知をもって天を張られた。
1013 主が声を出すと、水のざわめきが天に起こる。主は地の果てから雲を上らせ、雨のためにいなずまを造り、その倉から風を出される。
1014 すべての人間は愚かで無知だ。すべての金細工人は、偶像のために恥を見る。その鋳た像は偽りで、その中に息がないからだ。
1015 それは、むなしいもの、物笑いの種だ。刑罰の時に、それらは滅びる。
1016 ヤコブの分け前はこんなものではない。主は万物を造る方。イスラエルは主ご自身の部族。その御名は万軍の【主】である。
1017 包囲されている女よ。あなたの荷物を地から取り集めよ。
1018 まことに【主】はこう仰せられる。「見よ。わたしはこの国の住民を、今度こそ放り出し、彼らを悩ます。彼らに思い知らせてやるためだ。」
1019 ああ、私は悲しい。この傷のために。この打ち傷はいやしがたい。そこで、私は言った。「まことに、これこそ私が、負わなければならない病だ。」
1020 私の天幕は荒らされ、すべての綱は断ち切られ、私の子らも私から去って、もういない。再び私の天幕を張る者はなく、私の幕屋を建てる者もいない。
1021 牧者たちは愚かで、【主】を求めなかった。それで彼らは栄えず、彼らの飼うものはみな散らされる。
1022 聞け、うわさを。見よ。大いなる騒ぎが北の地からやって来る。ユダの町々を荒れ果てた地とし、ジャッカルの住みかとするために。
1023 【主】よ。私は知っています。人間の道は、その人によるのでなく、歩くことも、その歩みを確かにすることも、人によるのではないことを。
1024 【主】よ。御怒りによらず、ただ公義によって、私を懲らしてください。そうでないと、私は無に帰してしまうでしょう。
1025 あなたを知らない諸国の民の上に、あなたの御名を呼ばない諸氏族の上に、あなたの憤りを注いでください。彼らはヤコブを食らい、これを食らって、これを絶滅させ、その住まいを荒らしたからです。
1101 【主】からエレミヤにあったみことばは、こうである。
1102 「この契約のことばを聞け。これをユダの人とエルサレムの住民に語って、
1103 彼らに言え。イスラエルの神、【主】は、こう仰せられる。この契約のことばを聞かない者は、のろわれよ。
1104 これは、わたしがあなたがたの先祖をエジプトの国、鉄の炉から連れ出した日に、『わたしの声に聞き従い、すべてわたしがあなたがたに命ずるように、それを行え。そうすれば、あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる』と言って、彼らに命じたものだ。
1105 それは、わたしがあなたがたの先祖に対して、乳と蜜の流れる地を彼らに与えると誓った誓いを、今日あるとおり成就するためであった。」そこで、私は答えて言った。「【主】よ。アーメン。」
1106 すると【主】は私に仰せられた。「これらのことばのすべてを、ユダの町々と、エルサレムのちまたで叫んで、こう言え。『この契約のことばを聞いて、これを行え。』
1107 わたしは、あなたがたの先祖をエジプトの国から導き出した日に、彼らをはっきり戒め、また今日まで、『わたしの声を聞け』と言って、しきりに戒めてきた。
1108 しかし彼らは聞かず、耳を傾けず、おのおの悪いかたくなな心のままに歩んだ。それで、わたしはこの契約のことばをみな、彼らに実現させた。わたしが行うように命じたのに、彼らが行わなかったからである。」
1109 ついで、【主】は私に仰せられた。「ユダの人、エルサレムの住民の間に、謀反がある。
1110 彼らは、わたしのことばを聞こうとしなかった彼らの先祖たちの咎をくり返し、彼ら自身も、ほかの神々に従って、これに仕えた。イスラエルの家とユダの家は、わたしが彼らの先祖たちと結んだわたしの契約を破った。」
1111 それゆえ、【主】はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らにわざわいを下す。彼らはそれからのがれることはできない。彼らはわたしに叫ぶだろうが、わたしは彼らに聞かない。
1112 そこで、ユダの町々とエルサレムの住民は、彼らが香をたいた神々のもとに行って叫ぶだろうが、これらは、彼らのわざわいの時に、彼らを決して救うことはできない。
1113 なぜなら、ユダよ、あなたの神々は、あなたの町の数ほどもあり、あなたがたは、恥ずべきもののための祭壇、バアルのためにいけにえを焼く祭壇を、エルサレムの通りの数ほども設けたからである。
1114 あなたは、この民のために祈ってはならない。彼らのために叫んだり祈りをささげたりしてはならない。彼らがわざわいに会ってわたしを呼ぶときにも、わたしは聞かないからだ。
1115 わたしの愛する者は、わたしの家で、何をしているのか。何をたくらんでいるのか。誓願のささげ物や、いけにえの肉が、わざわいをあなたから過ぎ去らせるのか。その時には、こおどりして喜ぶがよい。
1116 【主】はかつてあなたの名を、『良い実をみのらせる美しい緑のオリーブの木』と呼ばれたが、大きな騒ぎの声が起こると、主はこれに火をつけ、その枝を焼かれる。
1117 あなたを植えた万軍の【主】が、あなたにわざわいを言い渡す。これはイスラエルの家とユダの家が、悪を行い、バアルにいけにえをささげて、わたしの怒りを引き起こしたからである。」
1118 【主】が私に知らせてくださったので、私はそれを知りました。今、あなたは、彼らのわざを、私に見せてくださいました。
1119 私は、ほふり場に引かれて行くおとなしい子羊のようでした。彼らが私に敵対して、「木を実とともに滅ぼそう。彼を生ける者の地から断って、その名が二度と思い出されないようにしよう」と計画していたことを、私は知りませんでした。
1120 しかし、正しいさばきをし、思いと心をためされる万軍の【主】よ。あなたが彼らに復讐するのを私は見ることでしょう。私が、あなたに私の訴えを打ち明けたからです。
1121 それゆえ、【主】はアナトテの人々について、こう仰せられた。「彼らはあなたのいのちをねらい、『【主】の名によって預言するな。われわれの手にかかってあなたが死なないように』と言っている。」
1122 それで、万軍の【主】はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らを罰する。若い男は剣で殺され、彼らの息子、娘は飢えて死に、
1123 彼らには残る者がいなくなる。わたしがアナトテの人々にわざわいを下し、刑罰の年をもたらすからだ。」
1201 【主】よ。私があなたと論じても、あなたのほうが正しいのです。それでも、さばきについて、一つのことを私はあなたにお聞きしたいのです。なぜ、悪者の道は栄え、裏切りを働く者が、みな安らかなのですか。
1202 あなたは彼らを植え、彼らは根を張り、伸びて、実を結びました。あなたは、彼らの口には近いのですが、彼らの思いからは遠く離れておられます。
1203 【主】よ。あなたは私を知り、私を見ておられ、あなたへの私の心をためされます。どうか彼らを、ほふられる羊のように引きずり出して、虐殺の日のために取り分けてください。
1204 いつまで、この地は喪に服し、すべての畑の青草は枯れているのでしょうか。そこに住む者たちの悪のために、家畜も鳥も取り去られています。人々は、「彼は私たちの最期を見ない」と言っているのです。
1205 あなたは徒歩の人たちと走っても疲れるのに、どうして騎馬の人と競走できよう。あなたは平穏な地で安心して過ごしているのに、どうしてヨルダンの密林で過ごせよう。
1206 あなたの兄弟や、父の家の者さえ、彼らさえ、あなたを裏切り、彼らさえ、あなたのあとから大声で呼ばわるのだから、彼らがあなたに親切そうに語りかけても、彼らを信じてはならない。
1207 私は、私の家を捨て、私の相続地を見放し、私の心の愛するものを、敵の手中に渡した。
1208 私の相続地は、私にとって、林の中の獅子のようだ。これは私に向かって、うなり声をあげる。それで、私はこの地を憎む。
1209 私の相続地は、私にとって、まだらの猛禽なのか。猛禽がそれを取り巻いているではないか。さあ、すべての野の獣を集めよ。連れて来て、食べさせよ。
1210 多くの牧者が、私のぶどう畑を荒らし、私の地所を踏みつけ、私の慕う地所を、恐怖の荒野にした。
1211 それは恐怖と化し、荒れ果てて、私に向かって嘆いている。全地は荒らされてしまった。だれも心に留める者がいないのだ。
1212 荒野にあるすべての裸の丘の上に、荒らす者が来た。【主】の剣が、地の果てから地の果てに至るまで食い尽くすので、すべての者には平安がない。
1213 小麦を蒔いても、いばらを刈り取り、労苦してもむだになる。あなたがたは、自分たちの収穫で恥を見よう。【主】の燃える怒りによって。
1214 「【主】はこう仰せられる。わたしが、わたしの民イスラエルに継がせた相続地を侵す悪い隣国の民について。見よ、わたしは彼らをその土地から引き抜き、ユダの家も彼らの中から引き抜く。
1215 しかし、彼らを引き抜いて後、わたしは再び彼らをあわれみ、彼らをそれぞれ、彼らの相続地、彼らの国に帰らせよう。
1216 彼らが、かつて、わたしの民にバアルによって誓うことを教えたように、もし彼らがわたしの民の道をよく学び、わたしの名によって、『【主】は生きておられる』と誓うなら、彼らは、わたしの民のうちに建てられよう。
1217 しかし、彼らが聞かなければ、わたしはその国を根こぎにして滅ぼしてしまう。──【主】の御告げ──」