3701 ヒゼキヤ王は、これを聞いて、自分の衣を裂き、荒布を身にまとって、【主】の宮に入った。
3702 彼は、宮内長官エルヤキム、書記シェブナ、年長の祭司たちに荒布をまとわせて、アモツの子、預言者イザヤのところに遣わした。
3703 彼らはイザヤに言った。「ヒゼキヤはこう言っておられます。『きょうは、苦難と、懲らしめと、侮辱の日です。子どもが生まれようとするのに、それを産み出す力がないのです。
3704 おそらく、あなたの神、【主】は、ラブ・シャケのことばを聞かれたことでしょう。彼の主君、アッシリヤの王が、生ける神をそしるために彼を遣わしたのです。あなたの神、【主】は、その聞かれたことばを責められますが、あなたはまだいる残りの者のため、祈りをささげてください。』」
3705 ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、
3706 イザヤは彼らに言った。「あなたがたの主君にこう言いなさい。【主】はこう仰せられる。『あなたが聞いたあのことば、アッシリヤの王の若い者たちがわたしを冒涜したあのことばを恐れるな。
3707 今、わたしは彼のうちに一つの霊を入れる。彼は、あるうわさを聞いて、自分の国に引き揚げる。わたしは、その国で彼を剣で倒す。』」
3708 ラブ・シャケは退いて、リブナを攻めていたアッシリヤの王と落ち合った。王がラキシュから移動したことを聞いたからである。
3709 王は、クシュの王ティルハカについて、「彼はあなたと戦うために出て来ている」と聞いた。彼はそれを聞くと、使者たちをヒゼキヤに送って言った。
3710 「ユダの王ヒゼキヤにこう伝えよ。『おまえの信頼するおまえの神にごまかされるな。おまえは、エルサレムはアッシリヤの王の手に渡されないと言っている。
3711 おまえは、アッシリヤの王たちがすべての国々にしたこと、それらを絶滅させたことを聞いている。それでも、おまえは救い出されるというのか。
3712 私の先祖たちはゴザン、ハラン、レツェフ、および、テラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々が彼らを救い出したのか。
3713 ハマテの王、アルパデの王、セファルワイムの町の王、また、ヘナやイワの王は、どこにいるか。』」
3714 ヒゼキヤは、使者の手からその手紙を受け取り、それを読み、【主】の宮に上って行って、それを【主】の前に広げた。
3715 ヒゼキヤは【主】に祈って言った。
3716 「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、万軍の【主】よ。ただ、あなただけが、地のすべての王国の神です。あなたが天と地を造られました。
3717 【主】よ。御耳を傾けて聞いてください。【主】よ。御目を開いてご覧ください。生ける神をそしるために言ってよこしたセナケリブのことばをみな聞いてください。
3718 【主】よ。アッシリヤの王たちが、すべての国々と、その国土とを廃墟としたのは事実です。
3719 彼らはその神々を火に投げ込みました。それらは神ではなく、人の手の細工、木や石にすぎなかったので、滅ぼすことができたのです。
3720 私たちの神、【主】よ。今、私たちを彼の手から救ってください。そうすれば、地のすべての王国は、あなただけが【主】であることを知りましょう。」
3721 アモツの子イザヤはヒゼキヤのところに人をやって言わせた。「イスラエルの神、【主】は、こう仰せられます。あなたがアッシリヤの王セナケリブについて、わたしに祈ったことを、わたしは聞いた。
3722 【主】が彼について語られたことばは次のとおりである。処女であるシオンの娘はあなたをさげすみ、あなたをあざける。エルサレムの娘は、あなたのうしろで、頭を振る。
3723 あなたはだれをそしり、ののしったのか。だれに向かって声をあげ、高慢な目を上げたのか。イスラエルの聖なる方に対してだ。
3724 あなたはしもべたちを使って、主をそしって言った。『多くの戦車を率いて、私は山々の頂に、レバノンの奥深く上って行った。そのそびえる杉の木と、美しいもみの木を切り倒し、私はその果ての高地、木の茂った園にまで入って行った。
3725 私は井戸を掘って水を飲み、足の裏でエジプトのすべての川を干上がらせた』と。
3726 あなたは聞かなかったのか。昔から、それをわたしがなし、大昔から、それをわたしが計画し、今、それを果たしたことを。それであなたは城壁のある町々を荒らして廃墟の石くれの山としたのだ。
3727 その住民は力うせ、おののいて、恥を見、野の草や青菜、育つ前に干からびる屋根の草のようになった。
3728 あなたがすわるのも、出て行くのも、入るのも、わたしは知っている。あなたがわたしに向かっていきりたつのも。
3729 あなたがわたしに向かっていきりたち、あなたの高ぶりが、わたしの耳に届いたので、あなたの鼻には鉤輪を、あなたの口にはくつわをはめ、あなたを、もと来た道に引き戻そう。
3730 あなたへのしるしは次のとおりである。ことしは、落ち穂から生えたものを食べ、二年目も、またそれから生えたものを食べ、三年目は、種を蒔いて刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。
3731 ユダの家ののがれて残った者は下に根を張り、上に実を結ぶ。
3732 エルサレムから、残りの者が出て来、シオンの山から、のがれた者が出て来るからである。万軍の【主】の熱心がこれをする。
3733 それゆえ、アッシリヤの王について、【主】はこう仰せられる。彼はこの町に侵入しない。また、ここに矢を放たず、これに盾をもって迫らず、塁を築いてこれを攻めることもない。
3734 彼はもと来た道から引き返し、この町には入らない。──【主】の御告げ──
3735 わたしはこの町を守って、これを救おう。わたしのために、わたしのしもべダビデのために。」
3736 【主】の使いが出て行って、アッシリヤの陣営で、十八万五千人を打ち殺した。人々が翌朝早く起きて見ると、なんと、彼らはみな、死体となっていた。
3737 アッシリヤの王セナケリブは立ち去り、帰ってニネベに住んだ。
3738 彼がその神ニスロクの宮で拝んでいたとき、その子のアデラメレクとサルエツェルは、剣で彼を打ち殺し、アララテの地へのがれた。それで彼の子エサル・ハドンが代わって王となった。
3801 そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。そこへ、アモツの子、預言者イザヤが来て、彼に言った。「【主】はこう仰せられます。『あなたの家を整理せよ。あなたは死ぬ。直らない。』」
3802 そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて、【主】に祈って、
3803 言った。「ああ、【主】よ。どうか思い出してください。私が、まことを尽くし、全き心をもって、あなたの御前に歩み、あなたがよいと見られることを行ってきたことを。」こうして、ヒゼキヤは大声で泣いた。
3804 そのとき、イザヤに次のような【主】のことばがあった。
3805 「行って、ヒゼキヤに告げよ。あなたの父ダビデの神、【主】は、こう仰せられます。『わたしはあなたの祈りを聞いた。あなたの涙も見た。見よ。わたしはあなたの寿命にもう十五年を加えよう。
3806 わたしはアッシリヤの王の手から、あなたとこの町を救い出し、この町を守る。』
3807 これがあなたへの【主】からのしるしです。【主】は約束されたこのことを成就されます。
3808 見よ。わたしは、アハズの日時計におりた時計の影を、十度あとに戻す。」すると、日時計におりた日が十度戻った。
3809 ユダの王ヒゼキヤが、病気になって、その病気から回復したときにしるしたもの。
3810 私は言った。私は生涯の半ばで、よみの門に入る。私は、私の残りの年を失ってしまった。
3811 私は言った。私は主を見ない。生ける者の地で主を見ない。死人の国の住人とともに、再び人を見ることがない。
3812 私の住みかは牧者の天幕のように引き抜かれ、私から取り去られた。私は、私のいのちを機織りのように巻いた。主は私を、機から断ち切る。あなたは昼も夜も、私を全く捨てておかれます。
3813 私は朝まで叫びました。主は、雄獅子のように私のすべての骨を砕かれます。あなたは昼も夜も、私を全く捨てておかれます。
3814 つばめや、つるのように、私は泣き、鳩のように、うめきました。私の目は、上を仰いで衰えました。主よ。私はしいたげられています。私の保証人となってください。
3815 何を私は語れましょう。主が私に語り、主みずから行われたのに。私は私のすべての年月、私のたましいの苦しみのために、静かに歩みます。
3816 主よ。これらによって、人は生きるのです。私の息のいのちも、すべてこれらに従っています。どうか、私を健やかにし、私を生かしてください。
3817 ああ、私の苦しんだ苦しみは平安のためでした。あなたは、滅びの穴から、私のたましいを引き戻されました。あなたは私のすべての罪を、あなたのうしろに投げやられました。
3818 よみはあなたをほめたたえず、死はあなたを賛美せず、穴に下る者たちは、あなたのまことを待ち望みません。
3819 生きている者、ただ生きている者だけが今日の私のように、あなたをほめたたえるのです。父は子らにあなたのまことについて知らせます。
3820 【主】は、私を救ってくださる。私たちの生きている日々の間、【主】の宮で琴をかなでよう。
3821 イザヤは言った。「ひとかたまりの干しいちじくを持って来させ、腫物の上に塗りつけなさい。そうすれば直ります。」
3822 ヒゼキヤは言った。「私が【主】の宮に上れるそのしるしは何ですか。」
3901 そのころ、バルアダンの子、バビロンの王メロダク・バルアダンは、使者を遣わし、手紙と贈り物をヒゼキヤに届けた。彼が病気だったが、元気になった、ということを聞いたからである。
3902 ヒゼキヤはそれらを喜び、宝庫、銀、金、香料、高価な油、いっさいの武器庫、彼の宝物倉にあるすべての物を彼らに見せた。ヒゼキヤがその家の中、および国中で、彼らに見せなかった物は一つもなかった。
3903 そこで預言者イザヤが、ヒゼキヤ王のところに来て、彼に尋ねた。「あの人々は何を言いましたか。どこから来たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「遠い国、バビロンから、私のところに来たのです。」
3904 イザヤはまた言った。「彼らは、あなたの家で何を見たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「私の家の中のすべての物を見ました。私の宝物倉の中で彼らに見せなかった物は一つもありません。」
3905 すると、イザヤはヒゼキヤに言った。「万軍の【主】のことばを聞きなさい。
3906 見よ。あなたの家にある物、あなたの先祖たちが今日まで、たくわえてきた物がすべて、バビロンへ運び去られる日が来ている。何一つ残されまい、と【主】は仰せられます。
3907 また、あなたの生む、あなた自身の息子たちのうち、捕らえられてバビロンの王の宮殿で宦官となる者があろう。」
3908 ヒゼキヤはイザヤに言った。「あなたが告げてくれた【主】のことばはありがたい。」彼は、自分が生きている間は、平和で安全だろう、と思ったからである。