4001 「慰めよ。慰めよ。わたしの民を」とあなたがたの神は仰せられる。
4002 「エルサレムに優しく語りかけよ。これに呼びかけよ。その労苦は終わり、その咎は償われた。そのすべての罪に引き替え、二倍のものを【主】の手から受けたと。」
4003 荒野に呼ばわる者の声がする。「主の道を整えよ。荒地で、私たちの神のために、大路を平らにせよ。
4004 すべての谷は埋め立てられ、すべての山や丘は低くなる。盛り上がった地は平地に、険しい地は平野となる。
4005 このようにして、【主】の栄光が現されると、すべての者が共にこれを見る。【主】の御口が語られたからだ。」
4006 「呼ばわれ」と言う者の声がする。私は、「何と呼ばわりましょう」と答えた。「すべての人は草、その栄光は、みな野の花のようだ。
4007 【主】のいぶきがその上に吹くと、草は枯れ、花はしぼむ。まことに、民は草だ。
4008 草は枯れ、花はしぼむ。だが、私たちの神のことばは永遠に立つ。」
4009 シオンに良い知らせを伝える者よ。高い山に登れ。エルサレムに良い知らせを伝える者よ。力の限り声をあげよ。声をあげよ。恐れるな。ユダの町々に言え。「見よ。あなたがたの神を。」
4010 見よ。神である主は力をもって来られ、その御腕で統べ治める。見よ。その報いは主とともにあり、その報酬は主の前にある。
4011 主は羊飼いのように、その群れを飼い、御腕に子羊を引き寄せ、ふところに抱き、乳を飲ませる羊を優しく導く。
4012 だれが、手のひらで水を量り、手の幅で天を推し量り、地のちりを枡に盛り、山をてんびんで量り、丘をはかりで量ったのか。
4013 だれが【主】の霊を推し量り、主の顧問として教えたのか。
4014 主はだれと相談して悟りを得られたのか。だれが公正の道筋を主に教えて、知識を授け、英知の道を知らせたのか。
4015 見よ。国々は、手おけの一しずく、はかりの上のごみのようにみなされる。見よ。主は島々を細かいちりのように取り上げる。
4016 レバノンも、たきぎにするには、足りない、その獣も、全焼のいけにえにするには、足りない。
4017 すべての国々も主の前では無いに等しく、主にとってはむなしく形もないものとみなされる。
4018 あなたがたは、神をだれになぞらえ、神をどんな似姿に似せようとするのか。
4019 鋳物師は偶像を鋳て造り、金細工人はそれに金をかぶせ、銀の鎖を作る。
4020 貧しい者は、奉納物として、朽ちない木を選び、巧みな細工人を捜して、動かない偶像を据える。
4021 あなたがたは知らないのか。聞かないのか。初めから、告げられなかったのか。地の基がどうして置かれたかを悟らなかったのか。
4022 主は地をおおう天蓋の上に住まわれる。地の住民はいなごのようだ。主は天を薄絹のように延べ、これを天幕のように広げて住まわれる。
4023 君主たちを無に帰し、地のさばきつかさをむなしいものにされる。
4024 彼らが、やっと植えられ、やっと蒔かれ、やっと地に根を張ろうとするとき、主はそれに風を吹きつけ、彼らは枯れる。暴風がそれを、わらのように散らす。
4025 「それなのに、わたしを、だれになぞらえ、だれと比べようとするのか」と聖なる方は仰せられる。
4026 目を高く上げて、だれがこれらを創造したかを見よ。この方は、その万象を数えて呼び出し、一つ一つ、その名をもって、呼ばれる。この方は精力に満ち、その力は強い。一つももれるものはない。
4027 ヤコブよ。なぜ言うのか。イスラエルよ。なぜ言い張るのか。「私の道は【主】に隠れ、私の正しい訴えは、私の神に見過ごしにされている」と。
4028 あなたは知らないのか。聞いていないのか。【主】は永遠の神、地の果てまで創造された方。疲れることなく、たゆむことなく、その英知は測り知れない。
4029 疲れた者には力を与え、精力のない者には活気をつける。
4030 若者も疲れ、たゆみ、若い男もつまずき倒れる。
4031 しかし、【主】を待ち望む者は新しく力を得、鷲のように翼をかって上ることができる。走ってもたゆまず、歩いても疲れない。
4101 島々よ。わたしの前で静まれ。諸国の民よ。新しい力を得よ。近寄って、今、語れ。われわれは、こぞって、さばきの座に近づこう。
4102 だれが、ひとりの者を東から起こし、彼の行く先々で勝利を収めさせるのか。彼の前に国々を渡し、王たちを踏みにじらせ、その剣で彼らをちりのようにし、その弓でわらのように吹き払う。
4103 彼は彼らを追い、まだ歩いて行ったことのない道を安全に通って行く。
4104 だれが、これを成し遂げたのか。初めから代々の人々に呼びかけた者ではないか。わたし、【主】こそ初めであり、また終わりとともにある。わたしがそれだ。
4105 島々は見て恐れた。地の果ては震えながら近づいて来た。
4106 彼らは互いに助け合い、その兄弟に「強くあれ」と言う。
4107 鋳物師は金細工人を力づけ、金槌で打つ者は、鉄床をたたく者に、はんだづけについて「それで良い」と言い、釘で打ちつけて動かないようにする。
4108 しかし、わたしのしもべ、イスラエルよ。わたしが選んだヤコブ、わたしの友、アブラハムのすえよ。
4109 わたしは、あなたを地の果てから連れ出し、地のはるかな所からあなたを呼び出して言った。「あなたは、わたしのしもべ。わたしはあなたを選んで、捨てなかった。」
4110 恐れるな。わたしはあなたとともにいる。たじろぐな。わたしがあなたの神だから。わたしはあなたを強め、あなたを助け、わたしの義の右の手で、あなたを守る。
4111 見よ。あなたに向かっていきりたつ者はみな、恥を見、はずかしめを受け、あなたと争う者たちは、無いもののようになって滅びる。
4112 あなたと言い争いをする者を捜しても、あなたは見つけることはできず、あなたと戦う者たちは、全くなくなってしまう。
4113 あなたの神、【主】であるわたしが、あなたの右の手を堅く握り、「恐れるな。わたしがあなたを助ける」と言っているのだから。
4114 恐れるな。虫けらのヤコブ、イスラエルの人々。わたしはあなたを助ける。──【主】の御告げ──あなたを贖う者はイスラエルの聖なる者。
4115 見よ。わたしはあなたを鋭い、新しいもろ刃の打穀機とする。あなたは、山々を踏みつけて粉々に砕く。丘をもみがらのようにする。
4116 あなたがそれをあおぐと、風が運び去り、暴風がそれをまき散らす。あなたは【主】によって喜び、イスラエルの聖なる者によって誇る。
4117 悩んでいる者や貧しい者が水を求めても水はなく、その舌は渇きで干からびるが、わたし、【主】は、彼らに答え、イスラエルの神は、彼らを見捨てない。
4118 わたしは、裸の丘に川を開き、平地に泉をわかせる。荒野を水のある沢とし、砂漠の地を水の源とする。
4119 わたしは荒野の中に杉や、アカシヤ、ミルトス、オリーブの木を植え、荒地にもみの木、すずかけ、檜も共に植える。
4120 【主】の手がこのことをし、イスラエルの聖なる者がこれを創造したことを、彼らが見て知り、心に留めて、共に悟るためである。
4121 あなたがたの訴えを出せ、と【主】は仰せられる。あなたがたの証拠を持って来い、とヤコブの王は仰せられる。
4122 持って来て、後に起ころうとする事を告げよ。先にあった事は何であったのかを告げよ。そうすれば、われわれもそれに心を留め、また後の事どもを知ることができよう。または、来たるべき事をわたしたちに聞かせよ。
4123 後に起ころうとする事を告げよ。そうすれば、われわれは、あなたがたが神であることを知ろう。良いことでも、悪いことでもしてみよ。そうすれば、われわれは共に見て驚こう。
4124 見よ。あなたがたは無に等しい。あなたがたのわざはむなしい。あなたがたを選んだことは忌まわしい。
4125 わたしが北から人を起こすと、彼は来て、日の出る所から、わたしの名を呼ぶ。彼は長官たちをしっくいのように踏む。陶器師が粘土を踏みつけるように。
4126 だれか、初めから告げて、われわれにこのことを知るようにさせただろうか。だれか、あらかじめ、われわれに「それは正しい」と言うようにさせただろうか。告げた者はひとりもなく、聞かせた者もひとりもなく、あなたがたの言うことを聞いた者もだれひとり、いなかった。
4127 わたしが、最初にシオンに、「見よ。これを見よ」と言い、わたしが、エルサレムに、良い知らせを伝える者を与えよう。
4128 わたしが見回しても、だれもいない。彼らの中には、わたしが尋ねても返事のできる助言者もいない。
4129 見よ。彼らはみな、偽りを言い、彼らのなすことはむなしい。彼らの鋳た像は風のように形もない。
4201 見よ。わたしのささえるわたしのしもべ、わたしの心の喜ぶわたしが選んだ者。わたしは彼の上にわたしの霊を授け、彼は国々に公義をもたらす。
4202 彼は叫ばず、声をあげず、ちまたにその声を聞かせない。
4203 彼はいたんだ葦を折ることもなく、くすぶる燈心を消すこともなく、まことをもって公義をもたらす。
4204 彼は衰えず、くじけない。ついには、地に公義を打ち立てる。島々も、そのおしえを待ち望む。
4205 天を造り出し、これを引き延べ、地とその産物を押し広め、その上の民に息を与え、この上を歩む者に霊を授けた神なる【主】はこう仰せられる。
4206 「わたし、【主】は、義をもってあなたを召し、あなたの手を握り、あなたを見守り、あなたを民の契約とし、国々の光とする。
4207 こうして、見えない目を開き、囚人を牢獄から、やみの中に住む者を獄屋から連れ出す。
4208 わたしは【主】、これがわたしの名。わたしの栄光を他の者に、わたしの栄誉を刻んだ像どもに与えはしない。
4209 先の事は、見よ、すでに起こった。新しい事を、わたしは告げよう。それが起こる前に、あなたがたに聞かせよう。」
4210 【主】に向かって新しい歌を歌え、その栄誉を地の果てから。海に下る者、そこを渡るすべての者、島々とそこに住む者よ。
4211 荒野とその町々、ケダル人の住む村々よ。声をあげよ。セラに住む者は喜び歌え。山々の頂から声高らかに叫べ。
4212 【主】に栄光を帰し、島々にその栄誉を告げ知らせよ。
4213 【主】は勇士のようにいで立ち、戦士のように激しく奮い立ち、ときの声をあげて叫び、敵に向かって威力を現す。
4214 わたしは久しく黙っていた。静かに自分を押さえていた。今は、子を産む女のようにうめき、激しい息づかいであえぐ。
4215 わたしは山や丘を荒らし、そのすべての青草を枯らし、川をかわいた地とし、沢をからす。
4216 わたしは目の見えない者に、彼らの知らない道を歩ませ、彼らの知らない通り道を行かせる。彼らの前でやみを光に、でこぼこの地を平らにする。これらのことをわたしがして、彼らを見捨てない。
4217 彫像に拠り頼み、鋳像に、「あなたがたこそ、私たちの神々」と言う者は、退けられて、恥を見る。
4218 耳の聞こえない者たちよ、聞け。目の見えない者たちよ、目をこらして見よ。
4219 わたしのしもべほどの盲目の者が、だれかほかにいようか。わたしの送る使者のような耳の聞こえない者が、ほかにいようか。わたしに買い取られた者のような盲目の者、【主】のしもべのような盲目の者が、だれかほかにいようか。
4220 あなたは多くのことを見ながら、心に留めず、耳を開きながら、聞こうとしない。
4221 【主】は、ご自分の義のために、みおしえを広め、これを輝かすことを望まれた。
4222 これは、かすめ奪われ、略奪された民のことであって、若い男たちはみな、わなにかかり、獄屋に閉じ込められた。彼らはかすめ奪われたが、助け出す者もなく、奪い取られても、それを返せと言う者もいない。
4223 あなたがたのうち、だれが、これに耳を傾け、だれが、後々のために注意して聞くだろうか。
4224 だれが、ヤコブを、奪い取る者に渡し、イスラエルを、かすめ奪う者に渡したのか。それは【主】ではないか。この方に、私たちは罪を犯し、主の道に歩むことを望まず、そのおしえに聞き従わなかった。
4225 そこで主は、燃える怒りをこれに注ぎ、激しい戦いをこれに向けた。それがあたりを焼き尽くしても、彼は悟らず、自分に燃えついても、心に留めなかった。