イザヤ書

1901 エジプトに対する宣告。見よ。【主】は速い雲に乗ってエジプトに来る。エジプトの偽りの神々はその前にわななき、エジプト人の心も真底からしなえる。
1902 わたしは、エジプト人を駆り立ててエジプト人にはむかわせる。兄弟は兄弟と、友人は友人と、町は町と、王国は王国と、相逆らって争う。
1903 エジプトの霊はその中で衰える。わたしがその計画をかき乱す。彼らは偽りの神々や死霊、霊媒や口寄せに伺いを立てる。
1904 わたしは、エジプト人をきびしい主人の手に引き渡す。力ある王が彼らを治める。──万軍の【主】、主の御告げ──
1905 海から水が干され、川は干上がり、かれる。
1906 多くの運河は臭くなり、エジプトの川々は、水かさが減って、干上がり、葦や蘆も枯れ果てる。
1907 ナイル川やその河口のほとりの水草も、その川の種床もみな枯れ、吹き飛ばされて何もない。
1908 漁夫たちは悲しみ、ナイル川で釣りをする者もみな嘆き、水の上に網を打つ者も打ちしおれる。
1909 亜麻をすく労務者や、白布を織る者は恥を見、
1910 この国の機織人たちは砕かれ、雇われて働く者はみな、心を痛める。
1911 ツォアンの首長たちは全く愚か者だ。パロの知恵ある議官たちも愚かなはかりごとをする。どうして、あなたがたはパロに向かって、「私は、知恵ある者の子、昔の王たちの子です」と言えようか。
1912 あなたの知恵ある者たちはいったいどこにいて、あなたに告げ知らせようというのか。万軍の【主】がエジプトに何を計られたかを。
1913 ツォアンの首長たちは愚か者、ノフの首長たちはごまかす者。その諸族のかしらたちは、エジプトを迷わせた。
1914 【主】が、彼らの中に、よろめく霊を吹き入れられたので、彼らは、あらゆることでエジプトを迷わせ、酔いどれがへどを吐き吐きよろめくようにした。
1915 それで、頭も尾も、なつめやしの葉も葦も、エジプト人のために、なすべきわざがない。
1916 その日、エジプト人は、女のようになり、万軍の【主】が自分たちに向かって振り上げる御手を見て、恐れおののく。
1917 ユダの地はエジプトにとっては恐れとなる。これを思い出す者はみな、万軍の【主】がエジプトに対して計るはかりごとのためにおののく。
1918 その日、エジプトの国には、カナン語を話し、万軍の【主】に誓いを立てる五つの町が起こり、その一つは、イル・ハヘレスと言われる。
1919 その日、エジプトの国の真ん中に、【主】のために、一つの祭壇が建てられ、その国境のそばには、【主】のために一つの石の柱が立てられ、
1920 それがエジプトの国で、万軍の【主】のしるしとなり、あかしとなる。彼らがしいたげられて【主】に叫ぶとき、主は、彼らのために戦って彼らを救い出す救い主を送られる。
1921 そのようにして【主】はエジプト人にご自身を示し、その日、エジプト人は【主】を知り、いけにえとささげ物をもって仕え、【主】に誓願を立ててこれを果たす。
1922 【主】はエジプト人を打ち、打って彼らをいやされる。彼らが【主】に立ち返れば、彼らの願いを聞き入れ、彼らをいやされる。
1923 その日、エジプトからアッシリヤへの大路ができ、アッシリヤ人はエジプトに、エジプト人はアッシリヤに行き、エジプト人はアッシリヤ人とともに主に仕える。
1924 その日、イスラエルはエジプトとアッシリヤと並んで、 三のものとなり、大地の真ん中で祝福を受ける。
1925 万軍の【主】は祝福して言われる。「わたしの民エジプト、わたしの手でつくったアッシリヤ、わたしのものである民イスラエルに祝福があるように。」
2001 アッシリヤの王サルゴンによって派遣されたタルタンがアシュドデに来て、アシュドデを攻め、これを取った年──
2002 そのとき、【主】はアモツの子イザヤによって、語られた。こうである。「行って、あなたの腰の荒布を解き、あなたの足のはきものを脱げ。」それで、彼はそのようにし、裸になり、はだしで歩いた。
2003 そのとき、【主】は仰せられた。「わたしのしもべイザヤが、三年間、エジプトとクシュに対するしるしとして、また前兆として、裸になり、はだしで歩いたように、
2004 アッシリヤの王は、エジプトのとりことクシュの捕囚の民を、若い者も年寄りも裸にし、はだしにし、尻をまくり、エジプトの隠しどころをむき出しにして連れて行く。
2005 人々は、クシュを頼みとし、エジプトを栄えとしていたので、おののき恥じる。
2006 その日、この海辺の住民は言う。『見よ。アッシリヤの王の手から救ってもらおうと、助けを求めて逃げて来た私たちの拠り所は、この始末だ。私たちはどうしてのがれることができようか。』」
2101 海の荒野に対する宣告。ネゲブに吹きまくるつむじ風のように、それは、荒野から、恐ろしい地からやって来る。
2102 きびしい幻が、私に示された。裏切る者は裏切り、荒らす者は荒らす。エラムよ、上れ。メディヤよ、囲め。すべての嘆きを、私は終わらせる。
2103 それゆえ、私の腰は苦痛で満ちた。女の産みの苦しみのような苦しみが私を捕らえた。私は、心乱れて聞くにたえない。恐ろしさのあまり、見るにたえない。
2104 私の心は迷い、恐怖が私を震え上がらせた。私が恋い慕っていたたそがれも、私にとっては恐れとなった。
2105 彼らは食卓を整え、座席を並べて、飲み食いしている。「立ち上がれ、首長たち。盾に油を塗れ。」
2106 主は私にこう仰せられた。「さあ、見張りを立たせ、見たことを告げさせよ。
2107 戦車や、二列に並んだ騎兵、ろばに乗った者や、らくだに乗った者を見たなら、よくよく注意を払わせよ。」
2108 すると獅子が叫んだ。「主よ。私は昼間はずっと物見の塔の上に立ち、夜はいつも私の見張り所についています。
2109 ああ、今、戦車や兵士、二列に並んだ騎兵がやって来ます。彼らは互いに言っています。『倒れた。バビロンは倒れた。その神々のすべての刻んだ像も地に打ち砕かれた』と。」
2110 踏みにじられた私の民、打ち場の私の子らよ。私はイスラエルの神、万軍の【主】から聞いた事を、あなたがたに告げたのだ。
2111 ドマに対する宣告。セイルから、私に叫ぶ者がある。「夜回りよ。今は夜の何時か。夜回りよ。今は夜の何時か。」
2112 夜回りは言った。「朝が来、また夜も来る。尋ねたければ尋ねよ。もう一度、来るがよい。」
2113 アラビヤに対する宣告。デダン人の隊商よ。アラビヤの林に宿れ。
2114 テマの地の住民よ。渇いている者に会って、水をやれ。のがれて来た者にパンを与えてやれ。
2115 彼らは、剣や、抜き身の剣から、張られた弓や激しい戦いからのがれて来たのだから。
2116 まことに主は私に、こう仰せられる。「雇い人の年季のように、もう一年のうちに、ケダルのすべての栄光は尽き果て、
2117 ケダル人の勇士たちで、残った射手たちの数は少なくなる。」イスラエルの神、【主】が告げられたのだ。

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