0101 ソロモンの雅歌
0102 あの方が私に口づけしてくださったらよいのに。あなたの愛はぶどう酒よりも快く、
0103 あなたの香油のかおりはかぐわしく、あなたの名はそそがれる香油のよう。それで、おとめらはあなたを愛しています。
0104 私を引き寄せてください。私たちはあなたのあとから急いでまいります。王は私を奥の間に連れて行かれました。私たちはあなたによって楽しみ喜び、あなたの愛をぶどう酒にまさってほめたたえ、真心からあなたを愛しています。
0105 エルサレムの娘たち。私はケダルの天幕のように、ソロモンの幕のように、黒いけれども美しい。
0106 私をご覧にならないでください。私は日に焼けて、黒いのです。私の母の子らが私に向かっていきりたち、私をぶどう畑の見張りに立てたのです。しかし、私は自分のぶどう畑は見張りませんでした。
0107 私の愛している人。どうか教えてください。どこで羊を飼い、昼の間は、どこでそれを休ませるのですか。あなたの仲間の群れのかたわらで、私はなぜ、顔おおいをつけた女のようにしていなければならないのでしょう。
0108 女のなかで最も美しい人よ。あなたがこれを知らないのなら、羊の群れの足跡について行き、羊飼いの住まいのかたわらで、あなたの子やぎを飼いなさい。
0109 わが愛する者よ。私はあなたをパロの戦車の雌馬になぞらえよう。
0110 あなたの頬には飾り輪がつき、首には宝石をちりばめた首飾りがつけてあって、美しい。
0111 私たちは銀をちりばめた金の飾り輪をあなたのために作ろう。
0112 王がうたげの座に着いておられる間、私のナルドはかおりを放ちました。
0113 私の愛する方は、私にとっては、この乳房の間に宿る没薬の袋のようです。
0114 私の愛する方は、私にとっては、エン・ゲディのぶどう畑にあるヘンナ樹の花ぶさのようです。
0115 ああ、わが愛する者。あなたはなんと美しいことよ。なんと美しいことよ。あなたの目は鳩のようだ。
0116 私の愛する方。あなたはなんと美しく、慕わしい方でしょう。私たちの長いいすは青々としています。
0117 私たちの家の梁は杉の木、そのたるきは糸杉です。
0201 私はシャロンのサフラン、谷のゆりの花。
0202 わが愛する者が娘たちの間にいるのは、いばらの中のゆりの花のようだ。
0203 私の愛する方が若者たちの間におられるのは、林の木の中のりんごの木のようです。私はその陰にすわりたいと切に望みました。その実は私の口に甘いのです。
0204 あの方は私を酒宴の席に伴われました。私の上に翻るあの方の旗じるしは愛でした。
0205 干しぶどうの菓子で私を力づけ、りんごで私を元気づけてください。私は愛に病んでいるのです。
0206 ああ、あの方の左の腕が私の頭の下にあり、右の手が私を抱いてくださるとよいのに。
0207 エルサレムの娘たち。私は、かもしかや野の雌鹿をさして、あなたがたに誓っていただきます。揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛が目ざめたいと思うときまでは。
0208 愛する方の声。ご覧、あの方が来られます。山々をとび越え、丘々の上をはねて。
0209 私の愛する方は、かもしかや若い鹿のようです。ご覧、あの方は私たちの壁のうしろにじっと立ち、窓からのぞき、格子越しにうかがっています。
0210 私の愛する方は、私に語りかけて言われます。「わが愛する者、美しいひとよ。さあ、立って、出ておいで。
0211 ほら、冬は過ぎ去り、大雨も通り過ぎて行った。
0212 地には花が咲き乱れ、歌の季節がやって来た。山鳩の声が、私たちの国に聞こえる。
0213 いちじくの木は実をならせ、ぶどうの木は、花をつけてかおりを放つ。わが愛する者、美しいひとよ。さあ、立って、出ておいで。
0214 岩の裂け目、がけの隠れ場にいる私の鳩よ。私に、顔を見せておくれ。あなたの声を聞かせておくれ。あなたの声は愛らしく、あなたの顔は美しい。
0215 『私たちのために、ぶどう畑を荒らす狐や小狐を捕らえておくれ。』私たちのぶどう畑は花盛りだから。」
0216 私の愛する方は私のもの。私はあの方のもの。あの方はゆりの花の間で群れを飼っています。
0217 私の愛する方よ。そよ風が吹き始め、影が消え去るころまでに、あなたは帰って来て、険しい山々の上のかもしかや、若い鹿のようになってください。
0301 私は、夜、床についても、私の愛している人を捜していました。私が捜しても、あの方は見あたりませんでした。
0302 「さあ、起きて町を行き巡り、通りや広場で、私の愛している人を捜して来よう。」私が捜しても、あの方は見あたりませんでした。
0303 町を行き巡る夜回りたちが私を見つけました。「私の愛している人を、あなたがたはお見かけになりませんでしたか。」
0304 彼らのところを通り過ぎると間もなく、私の愛している人を私は見つけました。この方をしっかりつかまえて、放さず、とうとう、私の母の家に、私をみごもった人の奥の間に、お連れしました。
0305 エルサレムの娘たち。私は、かもしかや野の雌鹿をさして、あなたがたに誓っていただきます。揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛が目ざめたいと思うときまでは。
0306 没薬や乳香、貿易商人のあらゆる香料の粉末をくゆらして、煙の柱のように荒野から上って来るひとはだれ。
0307 見なさい。あれはソロモンの乗るみこし。その回りには、イスラエルの勇士、六十人の勇士がいる。
0308 彼らはみな剣を帯びている練達の戦士たち。夜襲に備えて、おのおの腰に剣を帯びている。
0309 ソロモン王は、レバノンの木で自分のためにみこしを作った。
0310 その支柱は銀、背は金、その座席は紫色の布で作った。その内側はエルサレムの娘たちによって美しく切りばめ細工がされている。
0311 シオンの娘たち。ソロモン王を見に出かけなさい。ご自分の婚礼の日、心の喜びの日のために、母上からかぶらせてもらった冠をかぶっている。