3701 これによって私の心はおののき、その所からとびのく。
3702 しかと聞け。その御声の荒れ狂うのを。その御口から出るとどろきを。
3703 神はそのいなずまを全天の下、まっすぐに進ませる。それを地の果て果てまでも。
3704 そのあとでかみなりが鳴りとどろく。神はそのいかめしい声で雷鳴をとどろかせ、その声の聞こえるときも、いなずまを引き止めない。
3705 神は、御声で驚くほどに雷鳴をとどろかせ、私たちの知りえない大きな事をされる。
3706 神は雪に向かって、地に降れ、と命じ、夕立に、激しい大雨に命じる。
3707 神はすべての人の手を封じ込める。神の造った人間が知るために。
3708 獣は巣にもぐり、ほら穴にうずくまる。
3709 つむじ風は天の室から吹き、寒さは北から来る。
3710 神の息によって氷が張り、広い水が凍りつく。
3711 神は濃い雲に水気を負わせ、雲が、そのいなずまをまき散らす。
3712 これは神の指図によって巡り回り、命じられるままに世界の地の面で事を行う。
3713 神がこれを起こさせるのは、懲らしめのため、あるいは、ご自身の地のため、あるいは、恵みを施すためである。
3714 これに耳を傾けよ。ヨブ。神の奇しいみわざを、じっと考えよ。
3715 あなたは知っているか。神がどのようにこれらに命じ、その雲にいなずまをひらめかせるかを。
3716 あなたは濃い雲のつり合いを知っているか。完全な知識を持つ方の不思議なみわざを。
3717 また、南風で地がもだすとき、あなたの着物がいかに熱くなるかを。
3718 あなたは、鋳た鏡のように堅い大空を神とともに張り延ばすことができるのか。
3719 神に何と言うべきかを私たちに教えよ。やみのために、私たちはことばを並べることができない。
3720 私が語りたいと、神にどうして伝えられようか。人が尋ねるなら、必ず彼は滅ぼされる。
3721 今、雨雲の中に輝いている光を見ることはできない。しかし、風が吹き去るとこれをきよめる。
3722 北から黄金の輝きが現れ、神の回りには恐るべき尊厳がある。
3723 私たちが見つけることのできない全能者は、力とさばきにすぐれた方。義に富み、苦しめることをしない。
3724 だから、人々は神を恐れなければならない。神は心のこざかしい者を決して顧みない。
3801 【主】はあらしの中からヨブに答えて仰せられた。
3802 知識もなく言い分を述べて、摂理を暗くするこの者はだれか。
3803 さあ、あなたは勇士のように腰に帯を締めよ。わたしはあなたに尋ねる。わたしに示せ。
3804 わたしが地の基を定めたとき、あなたはどこにいたのか。あなたに悟ることができるなら、告げてみよ。
3805 あなたは知っているか。だれがその大きさを定め、だれが測りなわをその上に張ったかを。
3806 その台座は何の上にはめ込まれたか。その隅の石はだれが据えたか。
3807 そのとき、明けの星々が共に喜び歌い、神の子たちはみな喜び叫んだ。
3808 海がふき出て、胎内から流れ出たとき、だれが戸でこれを閉じ込めたか。
3809 そのとき、わたしは雲をその着物とし、黒雲をそのむつきとした。
3810 わたしは、これをくぎって境を定め、かんぬきと戸を設けて、
3811 言った。「ここまでは来てもよい。しかし、これ以上はいけない。あなたの高ぶる波はここでとどまれ」と。
3812 あなたが生まれてこのかた、朝に対して命令を下し、暁に対してその所をさし示し、
3813 これに地の果て果てをつかまえさせ、悪者をそこから振り落とさせたことがあるか。
3814 地は刻印を押された粘土のように変わり、衣服のように色づけられる。
3815 悪者からはその光が退けられ、振りかざす腕は折られる。
3816 あなたは海の源まで行ったことがあるのか。深い淵の奥底を歩き回ったことがあるのか。
3817 死の門があなたに現れたことがあるのか。あなたは死の陰の門を見たことがあるのか。
3818 あなたは地の広さを見きわめたことがあるのか。そのすべてを知っているなら、告げてみよ。
3819 光の住む所に至る道はどこか。やみのあるその場所はどこか。
3820 あなたはわたしをその国まで連れて行くというのか。また、その家に至る通り道を見分けるというのか。
3821 あなたが知っている……そのとき、あなたが生まれ、あなたの日数が多い、といって。
3822 あなたは雪の倉に入ったことがあるか。雹の倉を見たことがあるか。
3823 これらは苦難の時のために、いくさと戦いの日のために、わたしが押さえているのだ。
3824 光が分かれる道はどこか。東風が地の上で散り広がる道はどこか。
3825 だれが、大水のために水路を通し、いなびかりのために道を開き、
3826 人のいない地にも、人間のいない荒野にも、雨を降らせ、
3827 荒れ果てた廃墟の地を満ち足らせ、それに若草を生やすのか。
3828 雨に父があるか。露のしずくはだれが生んだか。
3829 氷はだれの胎から生まれ出たか。空の白い霜はだれが生んだか。
3830 水は姿を変えて石のようになり、深い淵の面は凍る。
3831 あなたはすばる座の鎖を結びつけることができるか。オリオン座の綱を解くことができるか。
3832 あなたは十二宮をその時々にしたがって引き出すことができるか。牡牛座をその子の星とともに導くことができるか。
3833 あなたは天の法令を知っているか。地にその法則を立てることができるか。
3834 あなたの声を雲にまであげ、みなぎる水にあなたをおおわせることができるか。
3835 あなたはいなずまを向こうに行かせ、「私たちはここです」とあなたに言わせることができるか。
3836 だれが心のうちに知恵を置いたか。だれが心の奥に悟りを与えたか。
3837 だれが知恵をもって雨雲を数えることができるか。だれが天のかめを傾けることができるか。
3838 ちりが溶け合ってかたまりとなり、土くれが堅く固まるとき。
3839 あなたは雌獅子のために獲物を狩り、若い獅子の食欲を満たすことができるか。
3840 それらがほら穴に伏し、茂みの中で待ち伏せしているときに。
3841 烏の子が神に向かって鳴き叫び、食物がなくてさまようとき、烏にえさを備えるのはだれか。
3901 あなたは岩間の野やぎが子を産む時を知っているか。雌鹿が子を産むのを見守ったことがあるか。
3902 あなたはこれらがはらんでいる月を数えることができるか。それらが子を産む時を知っているか。
3903 それらは身をかがめて子を産み落とし、その胎児を放り出す。
3904 その子らは強くなり、野原で大きくなると、出て行って、もとの所には帰らない。
3905 だれが野ろばを解き放ったのか。だれが野生のろばの綱をほどいたのか。
3906 わたしは荒れた地をそれの家とし、不毛の地をその住みかとした。
3907 それは町の騒ぎをあざ笑い、追い立てる者の叫び声を聞かない。
3908 山岳地帯はその牧場、それは青い物を何でも捜す。
3909 野牛は喜んであなたに仕え、あなたの飼葉おけのそばで夜を過ごすだろうか。
3910 あなたはあぜみぞで野牛に手綱をかけることができるか。それが、あなたに従って谷間を耕すだろうか。
3911 その力が強いからといって、あなたはそれに拠り頼むだろうか。また、あなたの働きをこれに任せるだろうか。
3912 あなたはそれがあなたの穀物を持ち帰り、あなたの打ち場で、これを集めるとでも信じているのか。
3913 だちょうの翼は誇らしげにはばたく。しかし、それらはこうのとりの羽と羽毛であろうか。
3914 だちょうは卵を土に置き去りにし、これを砂で暖めさせ、
3915 足がそれをつぶすことも、野の獣がこれを踏みつけることも忘れている。
3916 だちょうは自分の子を自分のものでないかのように荒く扱い、その産みの苦しみがむだになることも気にしない。
3917 神がこれに知恵を忘れさせ、悟りをこれに授けなかったからだ。
3918 それが高くとびはねるとき、馬とその乗り手をあざ笑う。
3919 あなたが馬に力を与えるのか。その首にたてがみをつけるのか。
3920 あなたは、これをいなごのように、とびはねさせることができるか。そのいかめしいいななきは恐ろしい。
3921 馬は谷で前掻きをし、力を喜び、武器に立ち向かって出て行く。
3922 それは恐れをあざ笑って、ひるまず、剣の前から退かない。
3923 矢筒はその上でうなり、槍と投げ槍はきらめく。
3924 それはいきりたって、地を駆け回り、角笛の音を聞いても信じない。
3925 角笛が鳴るごとに、ヒヒーンといななき、遠くから戦いをかぎつけ、隊長の怒号と、ときの声を聞きつける。
3926 あなたの悟りによってか。たかが舞い上がり、南にその翼を広げるのは。
3927 あなたの命令によってか。鷲が高く上がり、その巣を高い所に作るのは。
3928 それは岩に宿って住み、近寄りがたい切り立つ岩の上にいる。
3929 そこから獲物をうかがい、その目は遠くまで見通す。
3930 そのひなは血を吸い、殺されたものがある所に、それはいる。