0701 ソロモンが祈り終えると、火が天から下って来て、全焼のいけにえと、数々のいけにえとを焼き尽くした。そして、【主】の栄光がこの宮に満ちた。
0702 祭司たちは【主】の宮に入ることができなかった。【主】の栄光が【主】の宮に満ちたからである。
0703 イスラエル人はみな、火が下り、【主】の栄光がこの宮の上に現れたのを見て、ひざをかがめて顔を地面の敷石につけ、伏し拝んで、「主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで」と【主】をほめたたえた。
0704 それから、王と民はみな、【主】の前にいけにえをささげた。
0705 ソロモン王は牛二万二千頭と羊十二万頭のいけにえをささげた。こうして、王とすべての民は、神の宮を奉献した。
0706 祭司たちは、その務めに従って立ち、レビ人も、【主】の楽を奏する楽器を手にして立っていた。これは、ダビデ王が作ったものであり、ダビデが彼らの奏楽によって賛美したとき、「主の恵みはとこしえまで」と【主】をほめたたえるための楽器であった。また、祭司たちは、彼らの前でラッパを吹き鳴らしており、全イスラエルは起立していた。
0707 ソロモンは、【主】の神殿の前の庭の中央部を聖別し、そこで、全焼のいけにえと、和解のいけにえの脂肪とをささげた。ソロモンが作った青銅の祭壇では、全焼のいけにえと、穀物のささげ物と、脂肪とを受け入れることができなかったからである。
0708 ソロモンは、このとき、彼とともにいた全イスラエル、すなわち、レボ・ハマテからエジプト川に至るまでの大集団といっしょに、七日間の祭りを行った。
0709 彼らは 八日目にきよめの集会を開いた。七日間、祭壇の奉献を行い、七日間、祭りを行ったからである。
0710 七の月の二十三日に、彼は民をおのおのの天幕に帰した。彼らは【主】がダビデと、ソロモンと、その民イスラエルに下さった恵みを喜び、心楽しく帰って行った。
0711 こうしてソロモンは、【主】の宮と、王宮とを建て終え、【主】の宮と自分の宮殿に対して実施しようとソロモンが思っていたすべてのことをみごとに実現した。
0712 すると、【主】が夜ソロモンに現れ、彼に仰せられた。「わたしはあなたの祈りを聞いた。また、わたしのために、この所をいけにえをささげる宮として選んだ。
0713 もし、わたしが天を閉ざしたため雨が降らなくなった場合、また、いなごに命じてこの地を食い尽くさせた場合、また、もし、わたしの民に対して疫病を送った場合、
0714 わたしの名を呼び求めているわたしの民がみずからへりくだり、祈りをささげ、わたしの顔を慕い求め、その悪い道から立ち返るなら、わたしが親しく天から聞いて、彼らの罪を赦し、彼らの地をいやそう。
0715 今や、わたしはこの所でささげられる祈りに目を留め、耳を傾けよう。
0716 今、わたしは、とこしえまでもそこにわたしの名を置くためにこの宮を選んで聖別した。わたしの目とわたしの心は、いつもそこにある。
0717 あなたが、あなたの父ダビデが歩んだように、わたしの前に歩み、わたしがあなたに命じたことをすべてそのまま実行し、わたしのおきてと定めとを守るなら、
0718 わたしが、あなたの父ダビデに、『あなたには、イスラエルを支配する者となる人が絶えることはない』と言って契約を結んだとおり、あなたの王座を確立しよう。
0719 しかし、もし、あなたがたがそむいて、あなたがたに授けたわたしのおきてとわたしの命令とを捨て去り、行ってほかの神々に仕え、これを拝むなら、
0720 わたしが彼らに与えた地から、彼らを根こぎにし、わたしがわたしの名のために聖別したこの宮をわたしの前から投げ捨て、これをすべての国々の民の間で、物笑いとし、なぶりものとする。
0721 かつては並びもなく高かったこの宮も、そのときには、そのそばを通り過ぎる者がみな、驚いて、『どういうわけで、【主】はこの地とこの宮とに、このような仕打ちをされたのだろう』と言うであろう。
0722 すると人々は、『あの人たちは、エジプトの地から連れ出した彼らの父祖の神、【主】を捨てて、ほかの神々にたより、これを拝み、これに仕えた。そのために、主はこのすべてのわざわいをこの人たちに下されたのだ』と言うようになる。」
0801 ソロモンが【主】の宮と自分の宮殿を二十年かかって建て終わったとき、
0802 ソロモンは、フラムがソロモンに返した町々を建て直し、そこにイスラエル人を住ませた。
0803 ソロモンはハマテ・ツォバに出て行き、これに打ち勝った。
0804 ついで、彼は荒野にタデモルを建て、倉庫の町々はすべて、これをハマテに建てた。
0805 さらに、彼は上ベテ・ホロンと下ベテ・ホロンを建てた。これは、城壁と門とかんぬきのある防備の町々であった。
0806 バアラテ、およびソロモンの所有のすべての倉庫の町々、戦車のためのすべての町々、騎兵のための町々、ソロモンがエルサレムや、レバノンや、すべての領地に建てたいと切に願っていたものすべてを彼は建設した。
0807 イスラエルの出でないヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の生き残りの民全員、
0808 すなわち、イスラエル人が滅ぼし尽くさなかった人々の跡を継いでこの地に生き残った彼らの子孫に当たる人々を、ソロモンは苦役に徴用した。今日もそうである。
0809 しかし、ソロモンはイスラエル人を自分の仕事をさせる奴隷にはしなかった。彼らは戦士であり、彼の補佐官の長であり、戦車隊と騎兵隊の長であったからである。
0810 また、ソロモン王に属する者で、監督をする者の長は二百五十人であって、民を指揮していた。
0811 ソロモンはパロの娘を、ダビデの町から彼女のために建てた家に連れて上った。「私の妻はイスラエルの王ダビデの家に住んではならない。【主】の箱を迎え入れた所は聖なる所だからである」と彼が言ったからである。
0812 それから、ソロモンは、彼が玄関の前に建てた【主】の祭壇の上に、【主】のために全焼のいけにえをささげた。
0813 すなわち、モーセの命令どおりに、毎日の日課により、これをささげ、安息日ごとに、新月の祭りごとに、年三回の例祭、すなわち、種を入れないパンの祭り、七週の祭り、仮庵の祭りごとに、これをささげた。
0814 彼はその父ダビデの定めに従い、祭司たちの組分けを定めてその務めにつかせ、レビ人もその任務につかせ、毎日の日課として、祭司たちの前で賛美と奉仕をさせた。門衛たちも、その組分けに従って、おのおのの門に立たせた。神の人ダビデの命令がこうだったからである。
0815 彼らは、王がすべてのことにつき、また宝物倉のことについて、祭司たちとレビ人たちに命じたことにそむかなかった。
0816 このように、ソロモンの工事は、【主】の宮の礎を据える日まで、また、その完成まで、すべてが整えられていた。【主】の宮は完全であった。
0817 それから、ソロモンはエドムの地の海岸にあるエツヨン・ゲベルとエラテへ行った。
0818 フラムはそのしもべたちを通して、何隻かの船と海に詳しいしもべたちを彼のもとに送り届けた。彼らはソロモンのしもべたちといっしょにオフィルへ行き、そこから、金四百五十タラントを取って、これをソロモン王のもとに持って来た。
0901 ときに、シェバの女王が、ソロモンの名声を伝え聞き、難問をもってソロモンをためそうとして、非常に大ぜいの有力者たちを率い、らくだにバルサム油と、多くの金および宝石を載せて、エルサレムにやって来た。彼女は、ソロモンのところに来ると、心にあるすべてのことを彼に質問した。
0902 ソロモンは、彼女のすべての質問を説き明かした。ソロモンがわからなくて、彼女に説き明かせなかったことは何一つなかった。
0903 シェバの女王は、ソロモンの知恵と、彼が建てた宮殿と、
0904 その食卓の料理、列席の家来たち従者たちが仕えている態度とその服装、彼の献酌官たちとその服装、【主】の宮に上る階段を見て、息も止まるばかりであった。
0905 彼女は王に言った。「私が国であなたの事績とあなたの知恵とについて聞き及んでおりましたことはほんとうでした。
0906 実は、私は、自分で来て、自分の目で見るまでは、彼らの言うことを信じなかったのですが、驚いたことに、私にはあなたの知恵の半分も知らされていなかったのです。あなたは、私の聞いていたうわさを上回る方でした。
0907 なんとしあわせなことでしょう。あなたにつく人たちは。なんとしあわせなことでしょう。いつもあなたの前に立って、あなたの知恵を聞くことのできるこの、あなたの家来たちは。
0908 あなたを喜ばれ、その王座にあなたを着かせて、あなたの神、【主】のために王とされたあなたの神、【主】はほむべきかな。あなたの神はイスラエルを愛して、これをとこしえにゆるがぬものとされたので、彼らの上にあなたを王として与え、公正と正義とを行わせられるのです。」
0909 彼女は百二十タラントの金と、非常に多量のバルサム油と宝石とを王に贈った。シェバの女王がソロモン王に贈ったこのバルサム油のようなものはなかった。
0910 オフィルから金を運んで来たフラムのしもべたちと、ソロモンのしもべたちも、びゃくだんの木材と宝石とを運んで来た。
0911 王はこのびゃくだんの木材で、【主】の宮と王宮への大路を造り、歌うたいたちのために、立琴と十弦の琴を作った。このようなものは、これまで、ユダの地でだれも見たことがなかった。
0912 ソロモン王は、シェバの女王に、彼女が王のもとに携えて来た品物以外のもので、彼女が求めた物は何でもその望みのままに与えた。彼女は、家来たちを連れて、自分の国へ戻って行った。
0913 一年間にソロモンのところに入って来た金の重さは、金の目方で六百六十六タラントであった。
0914 このほかに、交易商人や仕入れ商人たちが携えて来たものがあり、また、アラビヤのすべての王たち、およびその地の総督たちも、ソロモンのもとに金銀を携えて来た。
0915 ソロモン王は、延べ金で大盾二百を作り、その大盾一個に六百シェケルの延べ金を使った。
0916 また、延べ金で盾三百を作り、その盾一個に三百シェケルの金を使った。王はそれらを、レバノンの森の宮殿に置いた。
0917 王は大きな象牙の王座を作り、これに純金をかぶせた。
0918 その王座には六つの段があり、その王座には金の足台が取りつけられており、座席の両側にはひじかけがあり、そのひじかけのわきには二頭の雄獅子が立っていた。
0919 また、十二頭の雄獅子が、六つの段の両側に立っていた。このような物は、どこの王国でも作られたためしがなかった。
0920 ソロモン王が飲み物に用いる器はみな金であった。レバノンの森の宮殿にあった器物もすべて純金であった。銀はソロモンの時代には、価値あるものとはみなされていなかった。
0921 王は、フラムのしもべたちを乗せてタルシシュへ行く船を持っており、三年に一度、タルシシュの船が金、銀、象牙、さる、くじゃくを運んで来たからである。
0922 ソロモン王は、富と知恵とにおいて、地上のどの王よりもまさっていた。
0923 地上のすべての王は、神が彼の心に授けられた知恵を聞こうとして、ソロモンに謁見を求めた。
0924 彼らはおのおの贈り物として、銀の器、金の器、衣服、武器、バルサム油、馬、騾馬などを、毎年きまって携えて来た。
0925 ソロモンは四千の馬屋と戦車、および騎兵一万二千を持っていた。彼はこれらを戦車の町々に配置し、またエルサレムの王のもとにも置いた。
0926 彼は大河からペリシテ人の地、さらには、エジプトの国境に至るすべての王を支配していた。
0927 王は銀をエルサレムで石のように用い、杉の木を低地のいちじく桑の木のように大量に用いた。
0928 人々は馬をエジプトや諸国からソロモンのもとに運んで来た。
0929 そのほか、ソロモンの業績、それは最初から最後まで、預言者ナタンの言行録、シロ人アヒヤの預言、および、先見者イドが見たネバテの子ヤロブアムについての幻の記録にしるされているではないか。
0930 ソロモンはエルサレムで、四十年の間、全イスラエルの王であった。
0931 ソロモンは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をその父ダビデの町に葬った。彼の子レハブアムが代わって王となった。