歴代誌 第U

1001 レハブアムはシェケムへ行った。全イスラエルが彼を王とするため、シェケムに来ていたからである。
1002 ネバテの子ヤロブアムがそのことを聞くと、──彼はソロモン王の顔を避けて逃げて行き、エジプトにいたのである──ヤロブアムはエジプトから戻って来た。
1003 人々が使いをやって、彼を呼び寄せたので、ヤロブアムは全イスラエルとともにやって来て、レハブアムに言った。
1004 「あなたの父上は、私たちのくびきをかたくしました。今、父上が私たちに負わせた過酷な労働と重いくびきを軽くしてください。そうすれば、私たちはあなたに仕えましょう。」
1005 すると、彼はこの人々に、「もう三日したら、私のところに戻って来なさい」と言った。そこで、民は出て行った。
1006 レハブアム王は、父ソロモンが生きている間ソロモンに仕えていた長老たちに相談して、「この民にどう答えたらよいと思うか」と言った。
1007 彼らは王に答えて言った。「もし、あなたがこの民に優しくし、彼らに好意を示し、彼らに親切なことばをかけてやってくださるなら、彼らはいつまでもあなたのしもべとなるでしょう。」
1008 しかし、彼はこの長老たちの与えた助言を退け、彼とともに育ち、彼に仕えている若者たちに相談して、
1009 彼らに言った。「この民に何と返答したらよいと思うか。彼らは私に『あなたの父上が私たちに負わせたくびきを軽くしてください』と言って来たのだが。」
1010 彼とともに育った若者たちは彼に答えて言った。「『あなたの父上は私たちのくびきを重くした。だから、あなたは、それを私たちの肩から軽くしてください』と言ってあなたに申し出た民に、こう答えたらいいでしょう。あなたは彼らにこう言いなさい。『私の小指は父の腰よりも太い。
1011 私の父はおまえたちに重いくびきを負わせたが、私はおまえたちのくびきをもっと重くしよう。私の父はおまえたちをむちで懲らしめたが、私はさそりを使うつもりだ』と。」
1012 ヤロブアムと、すべての民は、三日目にレハブアムのところに来た。王が、「三日目に私のところに戻って来なさい」と言って命じたからである。
1013 王は彼らに荒々しく答えた。レハブアム王は長老たちの助言を退け、
1014 若者たちの助言どおり、彼らに答えてこう言った。「私はおまえたちのくびきを重くする。私はそれをもっと重くしよう。私の父はおまえたちをむちで懲らしめたが、私はさそりを使うつもりだ。」
1015 王は民の願いを聞き入れなかった。それは、かつてシロ人アヒヤを通してネバテの子ヤロブアムに告げられた約束を【主】が実現するために、神がそうしむけられたからである。
1016 全イスラエルは、王が自分たちに耳を貸さないのを見て取った。民は王に答えた。「ダビデには、われわれへのどんな割り当て地があろう。エッサイの子には、ゆずりの地がない。イスラエルよ。おのおのあなたの天幕に帰れ。ダビデよ。今、あなたの家を見よ。」こうして、全イスラエルは自分たちの天幕へ帰って行った。
1017 しかし、ユダの町々に住んでいるイスラエル人は、レハブアムがその王であった。
1018 レハブアム王は、役務長官ハドラムを遣わしたが、イスラエル人は、彼を石で打ち殺した。それで、レハブアム王は、ようやくの思いで戦車に乗り込み、エルサレムに逃げた。
1019 このようにして、イスラエルはダビデの家にそむいた。今日もそうである。
1101 レハブアムはエルサレムに帰り、ユダとベニヤミンの家から選抜戦闘員十八万を召集し、王国をレハブアムのもとに取り戻すため、イスラエルと戦おうとした。
1102 すると、神の人シェマヤに次のような【主】のことばがあった。
1103 「ユダの王、ソロモンの子レハブアム、および、ユダとベニヤミンに属する全イスラエルに告げて言え。
1104 『【主】はこう仰せられる。上って行ってはならない。あなたがたの兄弟たちと戦ってはならない。おのおの自分の家に帰れ。わたしがこうなるようにしむけたのだから。』」そこで、彼らは【主】のことばに聞き従い、ヤロブアムを目ざして進む行軍を中止して、引き返した。
1105 レハブアムはエルサレムに住み、ユダの中に防備の町々を建てた。
1106 すなわち、ベツレヘムとエタムとテコア、
1107 ベテ・ツルとソコとアドラム、
1108 ガテとマレシャとジフ、
1109 アドライムとラキシュとアゼカ、
1110 ツォルアとアヤロンとヘブロン。これらはユダとベニヤミンの中にあり、防備の町々であった。
1111 さらに、彼は防備を固めて、その中に隊長を置き、糧食、油、ぶどう酒をたくわえた。
1112 またすべての町ごとに大盾と槍を置き、これらの町をますます強固にした。こうして、ユダとベニヤミンは彼の側についた。
1113 イスラエル全土の祭司たち、レビ人たちは、あらゆる地域から出て来て、彼の側についた。
1114 実は、レビ人は自分たちの放牧地と所有地を捨てて、ユダとエルサレムに来たのである。ヤロブアムとその子らが、【主】の祭司としての彼らの職を解き、
1115 自分のために祭司たちを任命して、彼が造った高き所と雄やぎと子牛に仕えさせたからである。
1116 さらに、彼らのあとに続いて、イスラエルの全部族の中から、その心をささげてイスラエルの神、【主】を尋ね求める者たちが、その父祖の神、【主】にいけにえをささげるためエルサレムに出て来た。
1117 彼らは三年の間、ユダの王権を強固にし、ソロモンの子レハブアムを励ました。三年の間、彼らがダビデとソロモンの道に歩んだからである。
1118 レハブアムは、ダビデの子エリモテとエッサイの子エリアブの娘アビハイルとの間にできた娘マハラテをめとって妻とした。
1119 彼女は彼に男の子を産んだ。エウシュ、シェマルヤ、ザハムである。
1120 彼女をめとって後、彼はアブシャロムの娘マアカをめとった。彼女はアビヤとアタイとジザとシェロミテを産んだ。
1121 レハブアムは彼のすべての妻、そばめにまさってアブシャロムの娘マアカを愛した。彼は妻を十八人、そばめを六十人持っており、二十八人の息子、六十人の娘をもうけた。
1122 レハブアムはマアカの子アビヤを立ててかしらとし、彼の兄弟たちの間でつかさとした。彼を王にしようと考えたからである。
1123 彼は賢く事を行い、その子どもたちを全部、ユダとベニヤミンの全土、すなわちすべての防備の町々に分散させたうえ、彼らにたくさんの食糧を供給し、多くの妻を捜し与えた。
1201 レハブアムの王位が確立し、彼が強くなるに及んで、彼は【主】の律法を捨て去った。そして、全イスラエルが彼にならった。
1202 レハブアム王の 五年に、エジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上って来た。彼らが【主】に対して不信の罪を犯したからである。
1203 戦車一千二百台、騎兵六万がこれに従った。また、彼とともにエジプトから出陣した民、すなわちルブ人、スキ人、クシュ人の人数は数えきれないほどであった。
1204 彼はユダに属する防備の町々を攻め取り、エルサレムまで攻め寄せて来た。
1205 そのとき、預言者シェマヤが、レハブアムと、シシャクを前にしてエルサレムに集まったユダのつかさたちのもとに来て、彼らに言った。「【主】はこう仰せられる。『あなたがたがわたしを捨て去ったので、わたしもまたあなたがたを捨ててシシャクの手に渡した。』」
1206 すると、イスラエルのつかさたちと王とはへりくだり、「【主】は正しい」と言った。
1207 【主】が、彼らのへりくだった様子をご覧になると、シェマヤに次のような【主】のことばがあった。「彼らがへりくだったので、わたしは彼らを滅ぼさない。間もなく彼らに救いを与えよう。シシャクの手によって、わたしの怒りをエルサレムに注ぐことはやめよう。
1208 ただし、彼らは彼のしもべとなる。わたしに仕えることと地の諸王国に仕えることとの違いを思い知るためである。」
1209 エジプトの王シシャクはエルサレムに攻め上って来て、【主】の宮の財宝、王宮の財宝を奪い取り、何もかも奪って、ソロモンが作った金の盾をも奪い取った。
1210 それで、レハブアム王は、その代わりに青銅の盾を作り、これを王宮の門を守る近衛兵の隊長の手に託した。
1211 王が【主】の宮に入るたびごとに、近衛兵が来て、これを運んで行き、また、これを近衛兵の控え室に運び帰った。
1212 このように、彼がへりくだったとき、【主】の怒りは彼の身を離れ、彼を徹底的に滅ぼすことはされなかった。ユダにも良いことがあったからである。
1213 こうして、レハブアム王はエルサレムで勢力を増し加え、国を治めた。レハブアムは四十一歳で王となり、【主】がご自分の名を置くためにイスラエルの全部族の中から選ばれた都、エルサレムで十七年間、王であった。彼の母の名はナアマといい、アモン人であった。
1214 彼は悪事を行った。すなわち、その心を定めて常に【主】を求めることをしなかった。
1215 レハブアムの業績、それは最初から最後まで、預言者シェマヤと先見者イドの言行録にしるされて、系図に載せられているではないか。レハブアムとヤロブアムとの間には、いつまでも争いがあった。
1216 レハブアムは彼の先祖たちとともに眠り、ダビデの町に葬られた。彼の子アビヤが代わって王となった。

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