歴代誌 第U

2201 エルサレムの住民は、彼の末子アハズヤを彼の代わりに王とした。アラビヤ人とともに陣営に攻めて来た略奪隊が年長の子らを全部殺してしまったからである。こうして、ユダの王ヨラムの子アハズヤが王となった。
2202 アハズヤは四十二歳で王となり、エルサレムで一年間、王であった。彼の母の名はアタルヤといい、オムリの孫娘であった。
2203 彼もまた、アハブの家の道に歩んだ。彼の母が彼の助言者で、悪を行わせたからである。
2204 彼はアハブの家にならって【主】の目の前に悪を行った。その父の死後、彼らが助言者となって、彼を滅びに至らせたのである。
2205 彼はこの人々の助言を重んじて行動し、イスラエルの王アハブの子ヨラムとともに、アラムの王ハザエルと戦うため、ラモテ・ギルアデに行ったが、アラム人はヨラムに傷を負わせた。
2206 彼は、アラムの王ハザエルと戦ったときにラマで負わされた傷をいやすため、イズレエルに帰って来た。ユダの王ヨラムの子アハズヤは、アハブの子ヨラムが病気であったので、彼を見舞いにイズレエルに下って行った。
2207 ヨラムのもとに行くことによって、アハズヤが滅びたのは、神から出たことであった。彼はそこに着くと、ヨラムとともにニムシの子エフーに向かって出て行った。これは、【主】がアハブの家を断ち滅ぼすために油をそそがれた人である。
2208 エフーは、アハブの家にさばきを行ったとき、アハズヤに仕えていたユダのつかさたちと、アハズヤの兄弟たちの子らとを見つけたので、これらの人々を殺した。
2209 彼がアハズヤを捜したので、人々は彼を捕らえた。彼はサマリヤに身を隠していたのである。こうして、人々は、彼をエフーのもとに引いて来て殺したが、これは心を尽くして【主】を求めたヨシャパテの子であると言って、彼を葬った。アハズヤの家は王国を治める力を失った。
2210 アハズヤの母アタルヤは、自分の子が死んだと知ると、ただちにユダの家に属する王の一族をことごとく滅ぼした。
2211 しかし、王の娘エホシェバが、殺される王の子たちの中から、アハズヤの子ヨアシュを盗み出し、彼とそのうばとを寝具をしまう小部屋に入れた。こうして、ヨラム王の娘、祭司エホヤダの妻、エホシェバは、──彼女がアハズヤの妹であったので──ヨアシュをアタルヤから隠した。アタルヤはこの子を殺さなかった。
2212 こうして、彼はこの人々とともに、神の宮に六年の間、身を隠していた。その間、アタルヤがこの国の王であった。
2301 その 七年目に、エホヤダは奮い立って、エロハムの子アザルヤ、ヨハナンの子イシュマエル、オベデの子アザルヤ、アダヤの子マアセヤ、ジクリの子エリシャファテなど、百人隊の長たちを連れて来て、彼と契約を結ばせた。
2302 それで彼らはユダを巡回し、ユダのすべての町々からレビ人を集め、イスラエルの一族のかしらたちを集めたので、彼らはエルサレムに来た。
2303 こうして、全集団が神の宮で王と契約を結んだ。そのとき、彼はこう言った。「ご覧のとおり、【主】がダビデの子孫について約束されたように、王の子が王となるのです。
2304 あなたがたのなすべきことはこうです。あなたがた、祭司、レビ人の三分の一は安息日に勤務し、入口にいる門衛となる。
2305 三分の一は王宮におり、他の三分の一は礎の門にいる。すべての民は【主】の宮の庭にいる。
2306 祭司と、レビ人で仕えている者たちは聖であるから、入ってもよいが、それ以外の者は、【主】の宮に入ってはならない。すべての民は【主】の戒めを守らなければならない。
2307 レビ人は、おのおの武器を手にし、王の回りを取り囲みなさい。宮に入って来る者は殺されなければならない。あなたがたは、王が入るときにも、出るときにも、いつも王とともにいなさい。」
2308 レビ人およびすべてのユダの人々は、すべて祭司エホヤダが命じたとおりに行った。おのおの自分の部下、すなわち安息日に勤務する者、安息日に勤務しない者を率いていた。祭司エホヤダが各組の任を解かなかったからである。
2309 祭司エホヤダは百人隊の長たちに、神の宮にあったダビデ王の槍、盾、および丸い小盾を与えた。
2310 彼はすべての民にひとりひとり手に投げ槍を持たせて、神殿の右側から神殿の左側まで、祭壇と神殿に向かって王の回りに立たせた。
2311 こうして彼らは、王の子を連れ出し、彼に王冠をかぶらせ、さとしの書を渡して、彼を王と宣言した。そしてエホヤダとその子たちが彼に油をそそぎ、「王さま。ばんざい」と叫んだ。
2312 アタルヤは、王をほめたたえている民と近衛兵の声を聞いて、【主】の宮の民のところに行った。
2313 見ると、なんと、王が入口の柱のそばに立っていた。王のかたわらに、隊長たちやラッパ手たちがいた。一般の人々がみな喜んでラッパを吹き鳴らしており、歌うたいたちが楽器を手にし、賛美の拍子をとっていた。アタルヤは自分の衣服を引き裂き、「謀反だ。謀反だ」と言った。
2314 すると、祭司エホヤダは、部隊をゆだねられた百人隊の長たちを呼び出して、彼らに言った。「この女を列の間から連れ出せ。この女に従って来る者は剣で殺されなければならない。」祭司が「この女を【主】の宮で殺してはならない」と言ったからである。
2315 彼らは彼女を取り押さえ、彼女が馬の門の出入口を通って、王宮に着いたとき、そこで彼女を殺した。
2316 エホヤダは、彼とすべての民と王との間で、【主】の民となるという契約を結んだ。
2317 民はみなバアルの宮に行って、それを取りこわし、その祭壇とその像を打ち砕き、バアルの祭司マタンを祭壇の前で殺した。
2318 エホヤダは、【主】の宮の管理を定めて、これをレビ人の祭司の手にゆだねた。彼らは、モーセの律法にしるされているとおり、ダビデの指示に基づいて、喜びと歌とをもって【主】の全焼のいけにえをささげさせるようにと、ダビデが組分けをして【主】の宮に配属した人々である。
2319 さらに、彼は【主】の宮の門に、門衛たちを立て、どんなことで汚れた者であっても、だれひとり入り込ませないようにした。
2320 彼は百人隊の長たち、貴人たち、民の支配者たちとすべての一般の人々を率いて、王を【主】の宮から連れ下った。彼らは上の門をくぐって王宮に入り、王を王国の王座に着かせた。
2321 一般の人々はみな喜び、この町は平穏であった。彼らはアタルヤを剣にかけて殺したからである。
2401 ヨアシュは七歳で王となり、エルサレムで四十年間、王であった。彼の母の名はツィブヤといい、ベエル・シェバの出であった。
2402 ヨアシュは、祭司エホヤダの生きている間は、【主】の目にかなうことを行った。
2403 エホヤダは、彼のためにふたりの妻をめとらせた。彼は息子たちと娘たちを生んだ。
2404 その後のことであるが、ヨアシュは【主】の宮を新しくすることを志し、
2405 祭司とレビ人を集めて、彼らに言った。「ユダの町々へ出て行き、毎年あなたがたの神の宮を修理するために、全イスラエルから金を集めて来なさい。あなたがたは急いでそのことをしなければならない。」ところが、レビ人は急がなかった。
2406 それで、王はかしらエホヤダを呼んで彼に言った。「なぜ、あなたはレビ人に要求して、【主】のしもべモーセとイスラエルの集団の、あかしの天幕のための税金を、ユダとエルサレムから持って来させないのですか。」
2407 というのは、あの悪女アタルヤ、その子たちが、神の宮を打ちこわし、【主】の宮の聖なるものをもすべてバアルのために用いたからである。
2408 王は命令した。すると、彼らは一つの箱を作り、それを【主】の宮の門の外側に置いた。
2409 そして、神のしもべモーセが荒野でイスラエルに課した税金を【主】のみもとに持って来るように、ユダとエルサレムに布告した。
2410 すると、すべてのつかさたち、すべての民が喜んで、それを持って来て、箱に投げ入れ、ついにいっぱいにした。
2411 金が多くなったのを見て、レビ人たちが箱を王の役所に運んで行ったとき、王の書記と祭司のかしらに仕える管理人が来て、箱をからにし、それを持ち上げ、もとの場所に返した。彼らは毎日このように行い、多くの金を集めた。
2412 そこで、王とエホヤダは、これを【主】の宮の奉仕の仕事を行う者に渡した。彼らは、【主】の宮を新しくするために石切り工と木工を、【主】の宮を修理するために鉄と青銅の細工師を雇った。
2413 こうして、仕事をする人々は仕事をし、彼らの手によって、細工物の修復がされた。彼らは、神の宮を元のとおりに建て、これを堅固にした。
2414 彼らは、完工の際、残った金を王とエホヤダの前に持って来た。彼らは、それで、【主】の宮の器具、すなわち、ささげる務めに用いる用具、深皿、金銀の器などを作った。こうして、人々はエホヤダの生きている間、絶えず、【主】の宮で全焼のいけにえをささげた。
2415 さて、エホヤダは老年を迎え、長寿を全うして死んだ。彼は死んだとき、百三十歳であった。
2416 人々は彼をダビデの町に王たちといっしょに葬った。彼がイスラエルにあって、神とその宮とに対して良いことを行ったからである。
2417 エホヤダが死んで後、ユダのつかさたちが来て、王を伏し拝んだ。それで、王は彼らの言うことを聞き入れた。
2418 彼らはその父祖の神、【主】の宮を捨て、アシェラと偶像に仕えたので、彼らのこの罪過のため、御怒りがユダとエルサレムの上に下った。
2419 主は、彼らを【主】に立ち返らせようと預言者たちを彼らの中に遣わし、預言者たちは彼らを戒めたが、彼らは耳を貸さなかった。
2420 神の霊が祭司エホヤダの子ゼカリヤを捕らえたので、彼は民よりも高い所に立って、彼らにこう言った。「神はこう仰せられる。『あなたがたは、なぜ、【主】の命令を犯して、繁栄を取り逃がすのか。』あなたがたが【主】を捨てたので、主もあなたがたを捨てられた。」
2421 ところが、彼らは彼に対して陰謀を企て、【主】の宮の庭で、王の命令により、彼を石で打ち殺した。
2422 ヨアシュ王は、ゼカリヤの父エホヤダが自分に尽くしてくれたまことを心に留めず、かえってその子を殺した。その子は死ぬとき、「【主】がご覧になり、言い開きを求められるように」と言った。
2423 その年の改まるころ、アラムの軍勢が彼に向かって攻め上り、ユダとエルサレムに来て、民の中の、民のつかさをひとり残らず殺し、分捕り物を全部、ダマスコの王のもとに送った。
2424 アラムの軍勢は少人数で来たが、【主】が、非常に大きな軍勢を彼らの手に渡されたからである。それは、この人々がその父祖の神、【主】を捨てたからである。彼らはヨアシュを裁判にかけた。
2425 彼らが重病の状態にあるヨアシュを捨てて、離れて行ったとき、彼の家来たちは、祭司エホヤダの子たちの血のために、彼に謀反を企てた。彼らは、病床で彼を殺し、彼が死んだので、彼をダビデの町に葬ったが、王たちの墓には葬らなかった。
2426 彼に謀反を企てたのは次の者たちである。アモンの女シムアテの子ザバデ、モアブの女シムリテの子エホザバデ。
2427 彼の子たちのこと、彼について述べられた多くの預言のこと、神の宮の再建のことなどは、王たちの書の注解にまさしくしるされている。ついで彼の子アマツヤが代わって王となった。

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