歴代誌 第U

0101 さて、ダビデの子ソロモンは、ますます王権を強固にした。彼の神、【主】は彼とともにおられ、彼を並みはずれて偉大な者とされた。
0102 ソロモンは全イスラエル、千人隊、百人隊の長、さばきつかさ、および一族のかしらである、全イスラエルの上に立つ者すべてに向かって語り、
0103 ソロモンおよび彼とともにいた全集団はギブオンにある高き所に行った。そこには、【主】のしもべモーセが荒野で造った神の会見の天幕があったからである。
0104 ──しかし、神の箱については、ダビデはこれをキルヤテ・エアリムから、ダビデがそのために定めておいた場所に運び上らせた。箱のために天幕をエルサレムに張っておいたからである──
0105 また、フルの子ウリの子のベツァルエルが造った青銅の祭壇を【主】の幕屋の前に置き、ソロモンと会衆は主に求めた。
0106 ソロモンはその所で【主】の前にある青銅の祭壇の上に──その壇は会見の天幕の所にあった──いけにえをささげた。すなわち、その上で一千頭の全焼のいけにえをささげた。
0107 その夜、神がソロモンに現れて、彼に仰せられた。「あなたに何を与えようか。願え。」
0108 ソロモンは神に言った。「あなたは私の父ダビデに大いなる恵みを施されましたが、今度は父に代わって私を王とされました。
0109 そこで今、神、【主】よ、私の父ダビデになさったあなたの約束を堅く守ってください。あなたは、地のちりのようにおびただしい民の上に、私を王とされたからです。
0110 今、知恵と知識を私に下さい。そうすれば、私はこの民の前に出はいりいたします。さもなければ、だれに、この大いなる、あなたの民をさばくことができましょうか。」
0111 神はソロモンに仰せられた。「そのようなことがあなたの心にあり、あなたが富をも、財宝をも、誉れをも、あなたを憎む者たちのいのちをも求めず、さらに長寿をも求めず、むしろ、わたしがあなたを立ててわたしの民の王とした、その民をさばくことができるようにと、自分のために知恵と知識を求めたので、
0112 その知恵と知識とはあなたのものとなった。そのうえ、わたしはあなたの前の、また後の王たちにもないほどの富と財宝と誉れとをあなたに与えよう。」
0113 こうして、ソロモンはギブオンにある高き所から出て行き、会見の天幕の前を去ってエルサレムに行き、イスラエルの王となった。
0114 ソロモンは戦車と騎兵を集めたが、戦車一千四百台と、騎兵一万二千人が彼のもとに集まった。そこで、彼はこれらを戦車の町々に配置し、また、エルサレムの王のもとにも置いた。
0115 王は銀と金とをエルサレムで石のように用い、杉の木を低地のいちじく桑の木のように大量に用いた。
0116 ソロモンの所有していた馬は、エジプトとケベの輸出品であった。それは王の御用達が代価を払って、ケベから手に入れたものであった。
0117 彼らはエジプトから、戦車を銀六百、馬を銀百五十で買い上げ、輸入していた。同様に、ヘテ人のすべての王も、アラムの王たちも、彼らの仲買で輸入した。
0201 さて、ソロモンは【主】の名のための宮と自分の王国のための宮殿とを建てようと考えた。
0202 ソロモンは、荷役人夫七万人、山で石を切り出す者八万人、彼らを指揮する者三千六百人の人数をそろえた。
0203 ソロモンはツロの王フラムのもとに人をやって言わせた。「あなたが私の父ダビデに行い、父の住む家を建てるための杉材を送ってくださったように、私にもしていただけないでしょうか。
0204 実は、私も、私の神、【主】の名のために宮を建てて、これを主にささげ、主の前にかおりの高い香をたき、パンを常に並べ供え、また、朝ごと夕ごとに、また安息日ごと新月の祭りごとに、私たちの神、【主】の例祭ごとに、全焼のいけにえをささげようとしています。このことは、とこしえにイスラエルに命じられているのです。
0205 私が建てる宮は壮大な宮です。私たちの神は、すべての神々にまさって偉大な神だからです。
0206 天も、天の天も主をお入れできないのに、いったいだれが主のために宮を建てる力を持っているというのでしょうか。また、主のために宮を建てるというこの私は、いったい何者でしょう。ただ主の前に香をたくためだけの者です。
0207 そこで今、私のもとに、金、銀、青銅、鉄の細工に長じ、紫、紅、青などの製造に熟練した人で、各種の彫り物の技術を心得ている人を送ってください。私の父ダビデが備えておいたユダとエルサレムにいるこちらの熟練した者たちもいっしょに働きます。
0208 それから、私のもとに、杉、もみ、びゃくだんの木材をレバノンから送ってください。私はあなたのしもべたちがレバノンの木を切ることに熟練していることを知っております。もちろん、私のしもべたちも、あなたのしもべたちといっしょに働きます。
0209 私のために、木材を多量に用意させるためです。私の建てる宮は壮大であり、みごとなものだからです。
0210 お聞きください。私は、木を切り出し、材木を切る者たちのため、あなたのしもべたちのために食糧として小麦二万コル、大麦二万コル、ぶどう酒二万バテ、油二万バテを提供します。」
0211 ツロの王フラムは文書を送ってソロモンに言った。「【主】はご自身の民を愛しておられるので、あなたを彼らの上に立てて王とされました。」
0212 さらに、フラムは言った。「天と地とをお造りになったイスラエルの神、【主】はほむべきかな。主はダビデ王に、思慮と悟りとを備えた知恵ある子を授け、【主】のための宮と、自分の王国のための宮殿とを建てさせられるのです。
0213 今、私は才知に恵まれた熟練工、職人の長フラムを遣わします。
0214 彼はダンの娘たちのうちのひとりの女から生まれた者であり、彼の父はツロの人です。彼は、あなたの熟練工と、あなたの父、私の主ダビデの熟練工とともに、金、銀、青銅、鉄、石材、木材の細工を心得、紫、青、白亜麻布、紅などの製造を心得、彼にゆだねられたあらゆる種類の彫り物を刻み、彼の創案に任されたすべてのものを巧みに設計することのできる男です。
0215 今、私の主が語られた小麦と大麦、油とぶどう酒を、そのしもべたちにお送りください。
0216 私たちのほうでは、お入用なだけレバノンから木材を切り、これをいかだに組んで、海路をヤフォまであなたのもとにお届けします。そこからあなたがこれをエルサレムに運び上ってください。」
0217 ソロモンは、彼の父ダビデが行った人口調査の後、イスラエルの地にいる在留異国人全員の人数を調べたが、十五万三千六百人いた。
0218 彼は、その中から七万人を荷役人夫に、八万人を山で石を切り出す者に、三千六百人を民の労働を指揮する者にした。
0301 こうして、ソロモンは、【主】がその父ダビデにご自身を現された所、すなわちエルサレムのモリヤ山上で【主】の家の建設に取りかかった。彼はそのため、エブス人オルナンの打ち場にある、ダビデの指定した所に、場所を定めた。
0302 彼が建設に取りかかったのは、その治世の 四年、 二の月の二日であった。
0303 神の家を建てるために、ソロモンの据えた礎は次のとおりである。長さは先代の尺度のキュビトにしたがって六十キュビト。幅は二十キュビト。
0304 前の玄関は、長さが神殿の幅と同じ二十キュビト、高さは百二十キュビトとし、その内側には純金を着せた。
0305 この大きな家はもみの木材でおおい、良質の金を着せ、さらに、その上になつめやしの木の彫刻と鎖を置き、
0306 宝石の装飾でこの神殿をおおった。ここに用いた金はパルワイムの金であった。
0307 この神殿の梁にも、敷居にも、壁にも、とびらにも金を着せ、壁にはケルビムを刻んだ。
0308 ついで、至聖所を造ったが、その長さはこの神殿の幅と同じ二十キュビト、その幅も二十キュビトとし、これに六百タラントに当たる良質の金を着せた。
0309 釘の重さは金五十シェケルであった。屋上の間にも金を着せた。
0310 至聖所の中に、鋳物のケルビムを二つ作り、これに金を着せた。
0311 そのケルビムの翼は、長さが二十キュビトあった。一方のケルブの一つの翼は五キュビトであって、神殿の壁にまで届いており、片方の翼も五キュビトであって、他方のケルブの翼にまで届いていた。
0312 もう一方のケルブの一つの翼も五キュビトであって、神殿の壁にまで届いており、片方の翼も五キュビトであって、他方のケルブの翼につながっていた。
0313 これらのケルビムの翼は、広げられており、二十キュビトあった。これらは、その足で立ち、その顔は神殿のほうに向いていた。
0314 それから彼は、青、紫、紅、および白亜麻布の垂れ幕を作り、その上にケルビムの模様を縫いつけた。
0315 彼は、神殿の前に柱を二本作った。三十五キュビトの高さのもので、その頂にある柱頭は五キュビトであった。
0316 さらに、彼は内堂に鎖を作り、これを柱の頂に取りつけ、ざくろを百作り、鎖のところに取りつけた。
0317 それから、彼はこれらの柱を本堂の前に、一つを右側に、もう一つを左側に立てた。右側の柱にヤキンという名をつけ、左側の柱にボアズという名をつけた。

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