歴代誌 第U

1301 ヤロブアム王の 十八年に、アビヤはユダの王となり、
1302 エルサレムで三年間、王であった。彼の母の名はミカヤといい、ギブアの出のウリエルの娘であった。アビヤとヤロブアムとの間には争いがあった。
1303 アビヤは精鋭四十万の勇敢な戦士の部隊を率いて戦争を始めた。一方、ヤロブアムも八十万の精鋭、勇士を率いて彼に対抗し、戦いの備えをした。
1304 アビヤはエフライムの山地にあるツェマライム山の頂上に立って、言った。「ヤロブアムおよび全イスラエルよ。私の言うことを聞け。
1305 イスラエルの神、【主】が、イスラエルの王国をとこしえにダビデに与えられたこと、すなわち、塩の契約をもって、彼とその子らとに与えられたことは、あなたがたが知らないはずはあるまい。
1306 ところが、ダビデの子ソロモンのしもべであったネバテの子ヤロブアムが立ち上がって、自分の主君に反逆したが、
1307 彼のもとに、ごろつき、よこしまな者たちが集まり、ソロモンの子レハブアムより優勢となった。それに、レハブアムは若くて、おくびょうであり、彼らに対抗して自分の力を増し加えることがなかった。
1308 そこで今、あなたがたは、ダビデの子らの支配下にある【主】の王国に敵対して、力を増し加えようとしており、また、あなたがたはおびただしい群れをなしており、ヤロブアムが造ってあなたがたのために神とした金の子牛もあなたがたとともにある。
1309 あなたがたは、アロンの子らである【主】の祭司たちとレビ人を追放し、諸国の民にならって自分たちのために祭司を任命したではないか。だれでも若い雄牛一頭と雄羊七頭を携えて来て祭司職につこうとする者は、神ならぬものの祭司となったのである。
1310 しかし、私たちの場合は、【主】が私たちの神である。私たちはこの方を捨てなかった。また、アロンの子らである祭司たちが【主】に仕えており、レビ人が仕事をしている。
1311 彼らは朝ごとに夕ごとに全焼のいけにえを【主】にささげ、かおりの高い香をたき、並べ供えたパンを純金の机の上に整え、金の燭台とその上のともしび皿には、夕ごとに火をともしている。私たちは、私たちの神、【主】の戒めを守っている。それに反し、あなたがたはこの方を捨て去った
1312 見よ。神は私たちとともにいて、かしらとなっておられる。また、神の祭司たちも私たちの側におり、合図のラッパを手にして、あなたがたに対し進撃の合図を吹き鳴らそうとしている。イスラエル人よ。あなたがたの父祖の神、【主】と戦ってはならない。とうてい勝ち目はないからである。」
1313 ヤロブアムは伏兵を回して、この人々の背後から攻めるようにさせた。こうして、彼らはユダの正面におり、伏兵はその背後にいた。
1314 ユダが向き直ると、見よ、戦いは前後から迫っていた。それで、彼らは【主】に叫び求め、祭司たちはラッパを吹き鳴らした。
1315 そして、ユダの人々はときの声をあげた。ユダの人々がときの声をあげたとき、神はヤロブアムと全イスラエルを、アビヤとユダの前に打ち破られた。
1316 こうして、イスラエル人はユダの前から逃げ去り、神はこの人々を彼らの手に渡された。
1317 アビヤとその民は彼らをおびただしく打ち殺した。その結果、イスラエルのうち、精鋭五十万が殺されて倒れた。
1318 イスラエル人は、このとき征服され、ユダ人は、勝利を得た。彼らがその父祖の神、【主】に拠り頼んだからである。
1319 アビヤはヤロブアムのあとを追い、ベテルとそれに属する村落、エシャナとそれに属する村落、エフラインとそれに属する村落など、幾つかの町々を彼から取った。
1320 こうして、ヤロブアムはアビヤの時代には、もはや力をとどめておくことができなかった。【主】が彼を打たれたので、彼は死んだ。
1321 一方、アビヤは勢力を増し加えた。十四人の妻をめとり、二十二人の息子、十六人の娘をもうけた。
1322 アビヤのその他の業績、彼の行いとことばは、預言者イドの注解にしるされている。
1401 アビヤは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をダビデの町に葬った。彼の子アサが代わって王となった。彼の時代には、この地は十年の間、平安を保った。
1402 アサは、彼の神、【主】がよいと見られること、御目にかなうことを行い、
1403 異教の祭壇と高き所を取り除き、柱を砕き、アシェラ像を打ちこわした。
1404 それから、ユダに命じて、彼らの父祖の神、【主】を求めさせ、その律法と命令を行わせた。
1405 さらに、彼はユダのすべての町々から高き所と香の台を取り除いた。こうして、王国は彼の前に平安を保った。
1406 彼はユダに防備の町々を築いた。当時数年の間、その地は平安を保ち、【主】が彼に安息を与えられたので、彼に戦いをいどむ者はなかったからである。
1407 彼はユダに向かってこう言った。「さあ、これらの町々を建てようではないか。そして、その回りに城壁とやぐらと門とかんぬきを設けよう。この地はなおも私たちの前にある。私たちが私たちの神、【主】を求めたからである。私たちが求めたところ、神は、周囲の者から守って私たちに安息を下さった。」こうして、彼らは建設し、繁栄した。
1408 アサには、ユダの、大盾と槍を帯びる軍勢が三十万、ベニヤミンの、盾を持ち、弓を引く者が二十八万あって、これらすべてが勇士であった。
1409 時がたって、クシュ人ゼラフが、百万の軍勢と三百台の戦車を率いて、彼らに向かって出陣し、マレシャにまで寄せて来た。
1410 そこで、アサは彼に対抗して出陣し、マレシャにあるツェファテの谷で戦いの備えをした。
1411 アサはその神、【主】に叫び求めて言った。「【主】よ。力の強い者を助けるのも、力のない者を助けるのも、あなたにあっては変わりはありません。私たちの神、【主】よ。私たちを助けてください。私たちはあなたに拠り頼み、御名によってこの大軍に当たります。【主】よ。あなたは私たちの神です。人間にすぎない者に、あなたに並ぶようなことはできないようにしてください。」
1412 【主】はアサの前とユダの前に、クシュ人を打ち破られたので、クシュ人は逃げ去った。
1413 アサおよび彼とともにいた民は、彼らをゲラルまで追いつめた。クシュ人は倒れ、生きている者はなかった。【主】の前、その宿営の前に、打ち砕かれたからである。そこで、彼らは非常に多くの分捕り物を持ち帰った。
1414 さらに、彼らはゲラル周辺のすべての町々を攻め打った。【主】の恐れが彼らに臨んだからである。そこで、彼らはすべての町々をかすめ奪った。その中には多くの獲物があったからである。
1415 また、彼らは家畜の天幕も打ち、多くの羊とらくだを奪い去って、エルサレムに帰って来た。
1501 すると、神の霊がオデデの子アザルヤの上に臨んだ。
1502 そこで、彼はアサの前に出て行き、彼に言った。「アサおよび、すべてユダとベニヤミンの人々よ。私の言うことを聞きなさい。あなたがたが【主】とともにいる間は、主はあなたがたとともにおられます。もし、あなたがたがこの方を求めるなら、あなたがたにご自身を示してくださいます。もし、あなたがたがこの方を捨て去るなら、この方はあなたがたを捨ててしまわれます。
1503 長年の間、イスラエルにはまことの神なく、教師となる祭司もなく、律法もありませんでした。
1504 しかし、その悩みのときに、彼らがイスラエルの神、【主】に立ち返り、この方を尋ね求めたところ、彼らにご自身を示してくださいました。
1505 この時期には、出て行く者にも、入って来る者にも平安がありませんでした。国々に住むすべての人々に大きな恐慌があったからです。
1506 そして彼らは、民は民に、町は町に相逆らい、共に打ち砕かれてしまいました。神があらゆる苦しみをもって、彼らをかき乱されたからです。
1507 しかし、あなたがたこそ強くあってほしいのです。力を落としてはなりません。あなたがたの働きには報いが伴っているからです。」
1508 アサは、これらのことばと預言者オデデによって預言されたことを聞いたとき、奮い立って、ユダとベニヤミンの全地から、また彼がエフライムの山地で攻め取った町々から、忌むべき物を除いた。そして、【主】の玄関の前にあった【主】の祭壇を新しくした。
1509 さらに、彼はユダとベニヤミンのすべての人々、および、エフライム、マナセ、シメオンから来て彼らのもとに身を寄せている人々を集めた。彼の神、【主】が彼とともにおられるのを見て、イスラエルから多くの人々が彼をたよって来たからである。
1510 こうして、アサの治世の 十五年の 三の月に、彼らはエルサレムに集まった。
1511 その日、自分たちが携えて来た分捕り物の中から、牛七百頭と羊七千頭を【主】にいけにえとしてささげた。
1512 さらに、彼らは、心を尽くし、精神を尽くしてその父祖の神、【主】を求め、
1513 だれでもイスラエルの神、【主】に求めようとしない者は、小さな者も大きな者も、男も女も、殺されるという契約を結んだ。
1514 それから、彼らは、大声をあげ、喜び叫び、ラッパと角笛を吹いて、【主】に誓いを立てた。
1515 ユダの人々はみなその誓いを喜んだ。彼らは心を尽くして誓いを立て、ただ一筋に喜んで主を慕い求め、主は彼らにご自身を示されたからである。【主】は周囲の者から守って彼らに安息を与えられた。
1516 アサ王の母マアカがアシェラのために憎むべき像を造ったので、彼は王母の位から彼女を退けた。アサはその憎むべき像を切り倒し、粉々に砕いて、キデロン川で焼いた。
1517 高き所はイスラエルから取り除かれなかったが、アサの心は一生涯、完全であった。
1518 彼は、彼の父が聖別した物と、彼が聖別した物、すなわち、銀、金、器類を、神の宮に運び入れた。
1519 アサの治世の 三十五年まで、戦いは起こらなかった。

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