歴代誌 第T

1901 この後、アモン人の王ナハシュが死に、その子が代わって王となった。
1902 ダビデは、「ナハシュの子ハヌンに真実を尽くそう。彼の父が私に真実を尽くしてくれたのだから」と考えた。そこで、ダビデは使者を送って、彼の父の悔やみを言わせた。ダビデの家来たちがハヌンに悔やみを言うため、彼のもと、アモン人の地に来たとき、
1903 アモン人のつかさたちは、ハヌンに言った。「ダビデがあなたのもとに悔やみの使者をよこしたからといって、彼が父君を敬っているとでもお考えですか。この地を調べ、くつがえし、探るために、彼の家来たちがあなたのところに来たのではありませんか。」
1904 そこでハヌンはダビデの家来たちを捕らえ、彼らのひげをそり落とし、その衣を半分に切って腰のあたりまでにし、彼らを送り返した。
1905 人々が来て、ダビデにこの人たちのことを告げたので、彼は彼らを迎えに人をやった。この人たちが非常に恥じていたからである。王は言った。「あなたがたのひげが伸びるまで、エリコにとどまり、それから帰りなさい。」
1906 アモン人は、自分たちがダビデの憎しみを買ったのを見て取った。そこでハヌンおよびアモン人は、銀一千タラントを送って、アラム・ナハライムとアラム・マアカとツォバとから戦車と騎兵を雇った。
1907 彼らは自分たちのもとに、戦車三万二千台とマアカの王とその軍勢を雇った。彼らは出て来て、メデバの前に陣を敷いた。アモン人も、彼らの町々から集まり、いくさに臨もうと出て来た。
1908 ダビデはこれを聞き、ヨアブと勇士たちの全軍を送った。
1909 アモン人は出て、町の入口に戦いの備えをした。共に来た王たちは、別に野にいた。
1910 ヨアブは、彼の前とうしろに戦いの前面があるのを見て、イスラエルの精鋭全員からさらに兵を選び、アラムに立ち向かう陣ぞなえをし、
1911 民の残りの者は彼の兄弟アブシャイの手に託して、アモン人に立ち向かう陣ぞなえをした。
1912 ヨアブは言った。「もし、アラムが私より強ければ、おまえが私を救ってくれ。もし、アモン人がおまえより強かったら、私がおまえを救おう。
1913 強くあれ。われわれの民のため、われわれの神の町々のために全力を尽くそう。【主】はみこころにかなうことをされる。」
1914 ヨアブと彼の部下の兵士たちが戦おうとしてアラムの前方に近づいたとき、アラムは彼の前から逃げた。
1915 アモン人はアラムが逃げるのを見て、彼らもまた、ヨアブの兄弟アブシャイの前から逃げて、町に入り込んだ。そこでヨアブはエルサレムに帰った。
1916 アラムは、自分たちがイスラエルに打ち負かされたのを見て、使いを送り、川向こうのアラムを連れ出した。ハダデエゼルの将軍ショファクが彼らを率いていた。
1917 このことがダビデに報告された。すると、彼は全イスラエルを集結し、ヨルダン川を渡って、彼らのほうに進み、彼らに向かって陣ぞなえをした。ダビデはアラムに立ち向かうために戦いの備えをした。彼らは彼と戦った。
1918 アラムがイスラエルの前から逃げたので、ダビデはアラムの戦車兵七千と歩兵四万をほふり、将軍ショファクを殺した。
1919 ハダデエゼルのしもべたちは、彼らがイスラエルに打ち負かされたのを見て、ダビデと和を講じ、彼のしもべとなった。アラムはそれからはもう、アモン人を救おうと思わなかった。
2001 年が改まり、王たちが出陣するころ、ヨアブは軍勢を率いてアモン人の地を荒らし、さらに進んで、ラバを包囲した。ダビデはエルサレムにとどまっていた。ヨアブはラバを打ち、これを破壊した。
2002 ダビデが、彼らの王の冠をその頭から取ったとき、それは金一タラントの重さがあり、それには宝石がはめ込まれているのがわかった。その冠はダビデの頭に置かれた。彼はまた、その町から非常に多くの分捕り物を持って来た。
2003 彼はその町の人々を連れて来て、石のこぎりや、鉄のつるはしや斧を使う仕事につかせた。ダビデはアモン人のすべての町々に対して、このようにした。こうして、ダビデと民のすべてはエルサレムに帰った。
2004 その後、ゲゼルでペリシテ人との戦いが起こり、そのとき、フシャ人シベカイは、ラファの子孫のひとりシパイを打ち殺した。こうして、彼らは征服された。
2005 またペリシテ人との戦いがあったとき、ヤイルの子エルハナンは、ガテ人ゴリヤテの兄弟ラフミを打ち殺した。ラフミの槍の柄は、機織りの巻き棒のようであった。
2006 さらに、ガテで戦いがあったとき、そこに、指が六本ずつ、二十四本ある背の高い男がいた。彼もまたラファの子孫であった。
2007 彼はイスラエルをそしったが、ダビデの兄弟シムアの子ヨナタンが彼を打ち殺した。
2008 これらはガテのラファの子孫で、ダビデとその家来たちの手にかかって倒れた。
2101 ここに、サタンがイスラエルに逆らって立ち、ダビデを誘い込んで、イスラエルの人口を数えさせた。
2102 ダビデはヨアブと民のつかさたちに言った。「さあ、ベエル・シェバからダンに至るまでのイスラエルを数えなさい。そして、その人数を私に報告して、知らせてほしい。」
2103 すると、ヨアブは言った。「【主】が、御民を今より百倍も増してくださいますように。王さま。彼らはみな、わが君のもの、そのしもべではないのでしょうか。なぜ、わが君はこんなことを要求なさるのですか。なぜ、イスラエルに対し罪過ある者となられるのですか。」
2104 王はヨアブを説き伏せた。そこでヨアブは出て行って、イスラエルをあまねく行き巡り、エルサレムに帰って来た。
2105 そして、ヨアブは民の登録人数をダビデに報告した。全イスラエルには剣を使う者が百十万人、ユダには剣を使う者が四十七万人であった。
2106 彼はレビとベニヤミンとを、その中に登録しなかった。ヨアブは王の命令を忌みきらったからである。
2107 この命令で、王は神のみこころをそこなった。神はイスラエルを打たれた。
2108 そこで、ダビデは神に言った。「私は、このようなことをして、大きな罪を犯しました。今、あなたのしもべの咎を見のがしてください。私はほんとうに愚かなことをしました。」
2109 そこで、【主】はダビデの先見者ガドに告げて仰せられた。
2110 「行って、ダビデに告げて言え。『【主】はこう仰せられる。わたしがあなたに出す三つのことがある。そのうち一つを選べ。わたしはあなたのためにそれをしよう。』」
2111 ガドはダビデのもとに行き、彼に言った。「【主】はこう仰せられる。『受け入れよ。
2112 三年間のききんか。三か月間、あなたが仇の前で取り去られ、あなたに敵の剣が追い迫ることか。あるいは三日間、【主】の剣、疫病がこの地に及び、【主】の使いがイスラエルの国中を荒らすことか。』今、私を遣わされた方に何と答えたらよいかを決めてください。」
2113 ダビデはガドに言った。「それは私には非常につらいことです。私を【主】の手に陥らせてください。主のあわれみは深いからです。人の手には陥りたくありません。」
2114 すると、【主】はイスラエルに疫病を下されたので、イスラエルのうち七万の人が倒れた。
2115 神はエルサレムに御使いを遣わして、これを滅ぼそうとされた。【主】は御使いが滅ぼしているのをご覧になって、わざわいを下すことを思い直し、滅ぼしている御使いに仰せられた。「もう十分だ。あなたの手を引け。」【主】の使いは、エブス人オルナンの打ち場のかたわらに立っていた。
2116 ダビデは、目を上げたとき、【主】の使いが、抜き身の剣を手に持ち、それをエルサレムの上に差し伸べて、地と天の間に立っているのを見た。ダビデと長老たちは、荒布で身をおおい、ひれ伏した。
2117 ダビデは神に言った。「民を数えよと命じたのは私ではありませんか。罪を犯したのは、はなはだしい悪を行ったのは、この私です。この羊の群れがいったい何をしたというのでしょう。わが神、【主】よ。どうか、あなたの御手を、私と私の一家に下してください。あなたの民は、疫病に渡さないでください。」
2118 すると、【主】の使いはガドに、ダビデに言うようにと言った。「ダビデは上って行って、エブス人オルナンの打ち場に、【主】のために祭壇を築かなければならない。」
2119 そこでダビデは、ガドが【主】の御名によって語ったことばに従って上って行った。
2120 オルナンが振り返ると御使いが見えた。彼とともにいた彼の四人の子は身を隠し、オルナンは小麦の打穀をしていた。
2121 ダビデがオルナンのもとに行くと、オルナンは目を留めてダビデを見、打ち場から出て来て、地にひれ伏して、ダビデに礼をした。
2122 そこで、ダビデはオルナンに言った。「私に打ち場の地所を下さい。そこに【主】のために祭壇を建てたいのです。十分な金額で、それを私に下さい。神罰が民に及ばないようになるためです。」
2123 オルナンはダビデに言った。「王さま。どうぞ、お取りになってお気に召すようになさってください。ご覧ください。私は、全焼のいけにえのための牛、たきぎにできる打穀機、穀物のささげ物のための小麦を差し上げます。すべてを差し上げます。」
2124 しかし、ダビデ王はオルナンに言った。「いいえ、私はどうしても、十分な金額を払って買いたいのです。あなたのものを【主】にささげるわけにはいきません。費用もかけずに全焼のいけにえをささげたくないのです。」
2125 そしてダビデは、その地所代として、金のシェケルで重さ六百シェケルに当たるものを、オルナンに与えた。
2126 こうしてダビデは、そこに【主】のために祭壇を築き、全焼のいけにえと和解のいけにえとをささげて、【主】に呼ばわった。すると、主は全焼のいけにえの祭壇の上に天から火を下して、彼に答えられた。
2127 【主】が御使いに命じられたので、御使いは剣をさやに納めた。
2128 そのとき、ダビデは【主】がエブス人オルナンの打ち場で彼に答えられたのを見て、そこでいけにえをささげた。
2129 モーセが荒野で造った【主】の幕屋と全焼のいけにえの祭壇は、その時、ギブオンの高き所にあった。
2130 ダビデは神を求めて、その前に出て行くことができなかった。【主】の使いの剣を恐れたからである。

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