歴代誌 第T

1001 ペリシテ人はイスラエルと戦った。そのときイスラエル人は、ペリシテ人の前から逃げ、ギルボア山で刺し殺されて倒れた。
1002 ペリシテ人はサウルとその息子たちに追い迫って、サウルの息子ヨナタン、アビナダブ、マルキ・シュアを打ち殺した。
1003 攻撃はサウルに集中し、射手たちが彼をねらい撃ちにしたので、彼は射手たちのために傷を負った。
1004 サウルは、道具持ちに言った。「おまえの剣を抜いて、それで私を刺し殺してくれ。あの割礼を受けていない者どもがやって来て、私をなぶり者にするといけないから。」しかし、道具持ちは、非常に恐れて、とてもその気になれなかった。そこで、サウルは剣を取り、その上にうつぶせに倒れた。
1005 道具持ちも、サウルの死んだのを見届けると、剣の上にうつぶせに倒れて死んだ。
1006 こうしてサウルは死に、彼の三人の息子も、彼の全家も、共に死んだ。
1007 谷にいたイスラエル人はみな、彼らが逃げ、サウルとその息子たちが死んだのを見て、彼らの町々を捨てて逃げた。それで、ペリシテ人がやって来て、そこに住んだ。
1008 翌日、ペリシテ人が、その殺した者たちからはぎ取ろうとしてやって来たとき、サウルとその息子たちがギルボア山で倒れているのを見つけた。
1009 彼らは、彼の衣服をはぎ取り、彼の首と彼の武具を取った。そしてペリシテ人の地にあまねく人を送って、彼らの偶像と民とに告げ知らせた。
1010 彼らはサウルの武具を彼らの神々の宮に奉納し、彼の首をダゴンの宮にさらした。
1011 全ヤベシュ・ギルアデが、ペリシテ人のサウルに対するしうちをことごとく聞いたとき、
1012 勇士たちはみな、立ち上がり、サウルのなきがらとその息子たちのなきがらとを取り上げ、これをヤベシュに運んで、彼らの骨をヤベシュにある樫の木の下に葬り、七日間、断食した。
1013 このように、サウルは【主】に逆らったみずからの不信の罪のために死んだ。【主】のことばを守らず、そのうえ、霊媒によって伺いを立て、
1014 【主】に尋ねなかった。それで、主は彼を殺し、王位をエッサイの子ダビデに回された。
1101 全イスラエルは、ヘブロンのダビデのもとに集まって来て言った。「ご覧のとおり、私たちはあなたの骨肉です。
1102 これまで、サウルが王であった時でさえ、イスラエルを動かしていたのは、あなたでした。しかもあなたの神、【主】は、あなたに言われました。『あなたがわたしの民イスラエルを牧し、あなたがわたしの民イスラエルの君主となる。』」
1103 イスラエルの全長老がヘブロンの王のもとに来たとき、ダビデは、ヘブロンで【主】の前に彼らと契約を結び、彼らは、サムエルによる【主】のことばのとおりに、ダビデに油をそそいでイスラエルの王とした。
1104 ダビデと全イスラエルがエルサレム──それはエブスのことで、そこには、この地の住民エブス人がいた──に行ったとき、
1105 エブスの住民はダビデに言った。「あなたはここに来ることはできない。」しかし、ダビデはシオンの要害を攻め取った。これがダビデの町である。
1106 そのとき、ダビデは言った。「だれでも真っ先にエブス人を打つ者をかしらとし、つかさとしよう。」ツェルヤの子ヨアブが真っ先に上って行ったので、彼がかしらとなった。
1107 こうしてダビデはこの要害を住まいとした。このため、これはダビデの町と呼ばれた。
1108 彼は、ミロから周辺に至るまで、町の周囲を建て上げ、町の他の部分はヨアブが再建した。
1109 ダビデはますます大いなる者となり、万軍の【主】が彼とともにおられた。
1110 ダビデの勇士のかしらたちは次のとおりである。彼らは、彼とともに全イスラエルに対する彼の王権を強固にし、イスラエルについての【主】のことばのとおりに、彼を王とした人々である。
1111 ダビデの勇士たちの名簿は次のとおりである。補佐官のかしら、ハクモニの子ヤショブアム。彼は槍をふるって一度に三百人を刺し殺した。
1112 彼の次は、アホアハ人ドドの子エルアザル。彼は三勇士のひとりであった。
1113 彼はダビデとともにパス・ダミムにいた。ペリシテ人はそこに集まって来て戦いをいどんだ。そこには大麦の密生した一つの畑があり、民はペリシテ人の前から逃げたが、
1114 彼らはその畑の真ん中に踏みとどまって、これを救い、ペリシテ人を打ち殺した。こうして、【主】は大勝利を収められた。
1115 三十人のうちのこの三人は、岩場にあるアドラムのほら穴にいるダビデのところに下って来た。ペリシテ人の陣営は、レファイムの谷に張られていた。
1116 そのとき、ダビデは要害におり、ペリシテ人の守備隊長はそのとき、ベツレヘムにいた。
1117 ダビデはしきりに望んで言った。「だれか、ベツレヘムの門にある井戸の水を飲ませてくれたらなあ。」
1118 すると、この三人は、ペリシテ人の陣営を突き抜けて、ベツレヘムの門にある井戸から水を汲み、それを携えてダビデのところに持って来た。ダビデはそれを飲もうとはせず、それを注いで【主】にささげて、
1119 言った。「そんなことをするなど、わが神の御前に、絶対にできません。これらいのちをかけた人たちの血が、私に飲めましょうか。彼らはいのちをかけてこれを運んで来たのです。」彼は、それを飲もうとはしなかった。三勇士は、このようなことをしたのである。
1120 ヨアブの兄弟アブシャイ、彼は三人のかしらであった。彼は槍をふるって三百人に向かい、これを刺し殺したが、あの三人の中には、その名がなかった。
1121 彼は三人の中で最も誉れが高かった。そこで彼らの長になった。しかし、あの三人には及ばなかった。
1122 エホヤダの子ベナヤは、カブツェエルの出で、多くのてがらを立てた力ある人であった。彼は、モアブのふたりの英雄を打ち殺した。また、ある雪の日に、ほら穴の中に降りて行って雄獅子を打ち殺した。
1123 彼はまた、あのエジプト人──背の高い男で、五キュビトあった──を打ち殺した。このエジプト人は、手に機織りの巻き棒に似た槍を持っていた。彼は杖を持ってその男のところに下って行き、エジプト人の手から槍をもぎ取って、その槍で彼を殺した。
1124 エホヤダの子ベナヤは、これらのことをして、三勇士とともに名をあげた。
1125 彼は、実に、あの三十人の中で最も誉れが高かったが、あの三人には及ばなかった。ダビデは彼を自分の護衛長にした。
1126 勇士たちは、ヨアブの兄弟アサエル。ベツレヘムの出のドドの子エルハナン。
1127 ハロリ人シャモテ。ペロニ人ヘレツ。
1128 テコア人イケシュの子イラ。アナトテ人アビエゼル。
1129 フシャ人シベカイ。アホアハ人イライ。
1130 ネトファ人マフライ。ネトファ人バアナの子ヘレデ。
1131 ギブアの出のベニヤミン族リバイの子イタイ。ピルアトン人ベナヤ。
1132 ガアシュの谷の出のフライ。アラバ人アビエル。
1133 バハルム人アズマベテ。シャアルビム人エルヤフバ。
1134 ギゾ人ハシェムの子ら。ハラル人シャゲの子ヨナタン。
1135 ハラル人サカルの子アヒアム。ウルの子エリファル。
1136 メケラ人ヘフェル。ペロニ人アヒヤ。
1137 カルメル人ヘツロ。エズバイの子ナアライ。
1138 ナタンの兄弟ヨエル。ハグリの子ミブハル。
1139 アモン人ツェレク。ツェルヤの子ヨアブの道具持ちベロテ人ナフライ。
1140 エテル人イラ。エテル人ガレブ。
1141 ヘテ人ウリヤ。アフライの子ザバデ。
1142 ルベン人シザの子アディナ、すなわちルベン人のかしらで、三十人の上に立つ者であった。
1143 マアカの子ハナン。ミテニ人ヨシャパテ。
1144 アシュタロテ人ウジヤ。アロエル人ホタムの子らシャマとエイエル。
1145 ティツ人シムリの子エディアエルとその兄弟ヨハ。
1146 マハビム人エリエル。エルナアムの子らエリバイとヨシャブヤ。モアブ人イテマ。
1147 エリエル、オベデ。それにメツォバヤ人ヤアシエル。
1201 ダビデがキシュの子サウルのゆえに、まだツィケラグに引きこもっていたとき、ツィケラグの彼のもとに来た人々は次のとおりである。彼らは勇士たちの中で、戦いの加勢をした人々であり、
1202 弓を持った者、石投げ、弓矢に、右手も左手も使う者で、サウルの同族、ベニヤミンの出であった。
1203 かしらはアヒエゼル、次はヨアシュ。彼らはギブア人シェマアの子。エジエル、ペレテ。彼らはアズマベテの子。次にベラカとアナトテ人エフー。
1204 ギブオン人イシュマヤ、彼は三十人の中の勇士で、三十人の長であった。次に、エレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ人エホザバデ、
1205 エルウザイ、エリモテ、ベアルヤ、シェマルヤ、ハリフ人シェファテヤ、
1206 エルカナ、イシヤ、アザルエル、ヨエゼル、ヤショブアム。これらはコラ人である。
1207 ヨエラ、ゼバデヤ。これらはゲドルから出たエロハムの子らである。
1208 また、ガド人から離れて、荒野の要害をさしてダビデのもとに来た人々は、勇士であって戦いのために従軍している人であり、大盾と槍の備えのある者であった。彼らの顔は獅子の顔で、早く走ることは、山のかもしかのようであった。
1209 そのかしらはエゼル。 二はオバデヤ。 三はエリアブ。
1210 四はミシュマナ。 五はエレミヤ。
1211 六はアタイ。 七はエリエル。
1212 八はヨハナン。 九はエルザバデ。
1213 十はエレミヤ。 十一はマクバナイ。
1214 これらはガド族から出た軍のかしらたちで、その最も小さい者もひとりが百人に匹敵し、最も大いなる者は千人に匹敵した。
1215 この人々は、 一の月、すなわちヨルダン川がどこの岸もいっぱいにあふれるとき、これを渡った者たちである。彼らは谷にいた人々を全部、東に西に追い払った。
1216 さらに、ベニヤミン族とユダ族からも、要害のダビデのもとに来た者があった。
1217 そこで、ダビデは彼らの前に出て行き、彼らに答えて言った。「もし、あなたがたが穏やかな心で、私を助けるために私のもとに来たのなら、私の心はあなたがたと一つだ。もし、私の手に暴虐がないのに、私を欺いて、私の敵に渡すためなら、私たちの父祖の神が見て、おさばきくださるように。」
1218 そのとき、御霊が補佐官の長アマサイを捕らえた。「ダビデよ。私たちはあなたの味方。エッサイの子よ。私たちはあなたとともにいる。平安があるように。あなたに平安があるように。あなたを助ける者に平安があるように。まことにあなたの神はあなたを助ける。」そこで、ダビデは彼らを受け入れ、隊のかしらとした。
1219 ダビデがペリシテ人とともに、サウルとの戦いに出たとき、マナセからも、何人かの者がダビデをたよって来た。しかし、彼らはペリシテ人を助けなかった。ペリシテ人の領主たちが、「彼はわれわれの首を持って、主君サウルのもとに下って行くのだ」と言い、わざわざ彼を送り返したからである。
1220 彼がツィケラグに行ったとき、マナセからアデナフ、エホザバデ、エディアエル、ミカエル、エホザバデ、エリフ、ツィルタイが彼をたよって来た。彼らは、マナセに属する千人隊のかしらであった。
1221 彼らはダビデを助けて、あの略奪隊に当たった。みな勇士であり、将軍であった。
1222 日に日に、人々がダビデを助けるため彼のもとに来て、ついに神の陣営のような大陣営となった。
1223 【主】のことばのとおり、サウルの支配をダビデに回そうと、ヘブロンにいるダビデのもとに来た、武装した者のかしらの数は次のとおりである。
1224 ユダ族で、大盾と槍を手にし武装した者六千八百人。
1225 シメオン族から軍務につく勇士七千百人。
1226 レビ族から四千六百人。
1227 エホヤダはアロンのつかさで、彼とともにいた者は三千七百人。
1228 ツァドクは若い勇士で、その一族には二十二人のつかさがいた。
1229 サウルの同胞、ベニヤミン族から三千人。これまで、彼らの大多数は、サウルの家の任務についていた。
1230 エフライム族から二万八百人。勇士で、その一族に名のある人々であった。
1231 マナセの半部族から、ダビデを王にしようとしてやって来た名の示された者一万八千人。
1232 イッサカル族から、時を悟り、イスラエルが何をなすべきかを知っている彼らのかしら二百人。彼らの同胞はみな、彼らの命令に従った。
1233 ゼブルンから、従軍する者で、完全に武装し、戦いの備えをした者五万人。彼らは心を一つにして集まった。
1234 ナフタリから、つかさ一千人。彼らのもとに、大盾と槍を持つ者三万七千人。
1235 ダン人から、戦いの備えをした者二万八千六百人。
1236 アシェルから、従軍する者で、戦いの備えをした者四万人。
1237 ヨルダン川の向こう側、ルベン人、ガド人、マナセの半部族から、戦いのために完全軍装をした者十二万人。
1238 誠実な心で、並び集まったこれらの戦士たちは、ヘブロンに来て、ダビデを全イスラエルの王にした。イスラエルの残りの者たちもまた、心を一つにしてダビデを王にした。
1239 彼らはそこに、ダビデとともに三日間とどまり、飲み食いした。彼らの兄弟たちが彼らのために用意したからである。
1240 彼らに近い者たちも、イッサカル、ゼブルン、ナフタリに至るまで、ろば、らくだ、騾馬、牛に載せて食べ物を運んで来た。小麦粉の菓子、干しいちじく、干しぶどう、ぶどう酒、油、牛、羊などがたくさん運ばれた。イスラエルに喜びがあったからである。

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