列王記 第T

0401 こうして、ソロモン王は全イスラエルの王となった。
0402 彼の高官たちは次のとおり。ツァドクの子アザルヤは祭司。
0403 シシャの子らエリホレフとアヒヤは書記。アヒルデの子ヨシャパテは参議。
0404 エホヤダの子ベナヤは軍団長。ツァドクとエブヤタルは祭司。
0405 ナタンの子アザルヤは政務長官。ナタンの子ザブデは祭司で、王の友。
0406 アヒシャルは宮内長官。アブダの子アドニラムは役務長官。
0407 ソロモンは、イスラエルの全土に十二人の守護を置いた。彼らは王とその一族に食糧を納めていた。すなわち、一年に一か月間、おのおの食糧を納めていた。
0408 彼らの名は次のとおり。エフライムの山地にはフルの子。
0409 マカツ、シャアルビム、ベテ・シェメシュ、エロン・ベテ・ハナンにはデケルの子。
0410 アルボテにはヘセデの子。──彼にはソコとヘフェルの全地が任せられていた──
0411 ドルの全高地にはアビナダブの子。──ソロモンの娘タファテが彼の妻であった──
0412 タナク、メギド、それに、イズレエルの下ツァレタンのそばのベテ・シェアンの全土、ベテ・シェアンからアベル・メホラ、ヨクモアムの向こうまでの地には、アヒルデの子バアナ。
0413 ラモテ・ギルアデにはゲベルの子。──彼にはギルアデのマナセの子ヤイルの村々と、バシャンにあるアルゴブの地域で、城壁と青銅のかんぬきを備えた六十の大きな町々が任せられた──
0414 マハナイムにはイドの子アヒナダブ。
0415 ナフタリにはアヒマアツ。──彼もまた、ソロモンの娘バセマテをめとっていた──
0416 アシェルとベアロテにはフシャイの子バアナ。
0417 イッサカルにはパルアハの子ヨシャパテ。
0418 ベニヤミンにはエラの子シムイ。
0419 エモリ人の王シホンと、バシャンの王オグの領地であったギルアデの地にはウリの子ゲベル。その地にはもうひとりの守備隊長がいた。
0420 ユダとイスラエルの人口は、海辺の砂のように多くなり、彼らは飲み食いして楽しんでいた。
0421 ソロモンは、大河からペリシテ人の地、さらには、エジプトの国境に至るすべての王国を支配した。これらの王国は、ソロモンの一生の間みつぎものを持って来て、彼に仕えた。
0422 ソロモンの一日分の食糧は、小麦粉三十コル、大麦粉六十コル。
0423 それに、肥えた牛十頭、放牧の牛二十頭、羊百頭。そのほか、雄鹿、かもしか、のろじかと、肥えた鳥であった。
0424 これはソロモンが、大河の西側、ティフサフからガザまでの全土、すなわち、大河の西側のすべての王たちを支配し、周辺のすべての地方に平和があったからである。
0425 ユダとイスラエルは、ソロモンの治世中、ダンからベエル・シェバまで、みな、おのおの自分のぶどうの木の下や、いちじくの木の下で安心して住むことができた。
0426 ソロモンは戦車用の馬のための馬屋四万、騎兵一万二千を持っていた。
0427 守護たちは、それぞれ自分の当番月にソロモン王、およびソロモン王の食事の席に連なるすべての者たちのために、食糧を納め、不足させなかった。
0428 彼らはまた、引き馬や早馬のために、それぞれ割り当てに従って、馬のいる所に大麦とわらを持って来た。
0429 神は、ソロモンに非常に豊かな知恵と英知と、海辺の砂浜のように広い心とを与えられた。
0430 それでソロモンの知恵は、東のすべての人々の知恵と、エジプト人のすべての知恵とにまさっていた。
0431 彼は、すべての人、すなわち、エズラフ人エタンや、ヘマンや、カルコルや、マホルの子ダルダよりも知恵があった。それで、彼の名声は周辺のすべての国々に広がった。
0432 彼は三千の箴言を語り、彼の歌は一千五首もあった。
0433 彼はレバノンの杉の木から、石垣に生えるヒソプに至るまでの草木について語り、獣や鳥やはうものや魚についても語った。
0434 ソロモンの知恵を聞くために、すべての国の人々や、彼の知恵のうわさを聞いた国のすべての王たちがやって来た。
0501 さて、ツロの王ヒラムは、ソロモンが油をそそがれ、彼の父に代わって王となったことを聞いて、自分の家来たちをソロモンのところへ遣わした。ヒラムはダビデといつも友情を保っていたからである。
0502 そこで、ソロモンはヒラムのもとに人をやって言わせた。
0503 「あなたがご存じのように、私の父ダビデは、彼の回りからいつも戦いをいどまれていたため、【主】が彼らを私の足の裏の下に置かれるまで、彼の神、【主】の名のために宮を建てることができませんでした。
0504 ところが、今、私の神、【主】は、周囲の者から守って、私に安息を与えてくださり、敵対する者もなく、わざわいを起こす者もありません。
0505 今、私は、私の神、【主】の名のために宮を建てようと思っています。【主】が私の父ダビデに『わたしが、あなたの代わりに、あなたの王座に着かせるあなたの子、彼がわたしの名のために宮を建てる』と言われたとおりです。
0506 どうか、私のために、レバノンから杉の木を切り出すように命じてください。私のしもべたちも、あなたのしもべたちといっしょに働きます。私はあなたのしもべたちに、あなたが言われるとおりの賃金を払います。ご存じのように、私たちの中にはシドン人のように木を切ることに熟練した者がいないのです。」
0507 ヒラムはソロモンの申し出を聞いて、非常に喜んで言った。「きょう、【主】はほむべきかな。このおびただしい民を治める知恵ある子をダビデに授けられたとは。」
0508 そして、ヒラムはソロモンのもとに人をやって言わせた。「あなたの申し送られたことを聞きました。私は、杉の木材ともみの木材なら、何なりとあなたのお望みどおりにいたしましょう。
0509 私のしもべたちはそれをレバノンから海へ下らせます。私はそれをいかだに組んで、海路、あなたが指定される場所まで送り、そこで、それを解かせましょう。あなたはそれを受け取ってください。それから、あなたは、私の一族に食物を与え、私の願いをかなえてください。」
0510 こうしてヒラムは、ソロモンに杉の木材ともみの木材とを彼の望むだけ与えた。
0511 そこで、ソロモンはヒラムに、その一族の食糧として、小麦二万コルを与え、また、上質のオリーブ油二十コルを与えた。ソロモンはこれだけの物を毎年ヒラムに与えた。
0512 【主】は約束どおり、ソロモンに知恵を賜ったので、ヒラムとソロモンとの間には平和が保たれ、ふたりは契約を結んだ。
0513 ソロモン王は全イスラエルから役務者を徴用した。役務者は三万人であった。
0514 ソロモンは彼らを一か月交替で、一万人ずつレバノンに送った。すなわち、一か月はレバノンに、二か月は家にいるようにした。役務長官はアドニラムであった。
0515 ソロモンには荷役人夫が七万人、山で石を切り出す者が八万人あった。
0516 そのほか、ソロモンには工事の監督をする者の長が三千三百人あって、工事に携わる者を指揮していた。
0517 王は、切り石を神殿の礎に据えるために、大きな石、高価な石を切り出すように命じた。
0518 ソロモンの建築師と、ヒラムの建築師と、ゲバル人たちは石を切り、宮を建てるために木材と石材とを準備した。
0601 イスラエル人がエジプトの地を出てから四百八十年目、ソロモンがイスラエルの王となってから四年目のジブの月、すなわち 二の月に、ソロモンは【主】の家の建設に取りかかった。
0602 ソロモン王が【主】のために建設した神殿は、長さ六十キュビト、幅二十キュビト、高さ三十キュビトであった。
0603 神殿の本堂の前につく玄関は、長さが神殿の幅と同じ二十キュビト、幅が神殿の前方に十キュビトであった。
0604 神殿には格子を取りつけた窓を作った。
0605 さらに、神殿の壁の回り、つまり、本堂と内堂の回りの神殿の壁に脇屋を建て増しし、こうして階段式の脇間を造りめぐらした。
0606 脇屋の一階は幅五キュビト、二階は幅六キュビト、三階は幅七キュビトであった。それは、神殿の外側の回りの壁に段を作り、神殿の壁を梁でささえないようにするためであった。
0607 神殿は、建てるとき、石切り場で完全に仕上げられた石で建てられたので、工事中、槌や、斧、その他、鉄の道具の音は、いっさい神殿の中では聞かれなかった。
0608 二階の脇間に通ずる入口は神殿の右側にあり、らせん階段で、二階に上り、二階から三階に上るようになっていた。
0609 彼は神殿を建て、これを完成するにあたって、神殿の天井を杉材のたるきと厚板でおおった。
0610 神殿の側面に脇屋を建てめぐらし、その各階の高さは五キュビトにして、これを杉材で神殿に固着させた。
0611 そのとき、ソロモンに次のような【主】のことばがあった。
0612 「あなたが建てているこの神殿については、もし、あなたがわたしのおきてに歩み、わたしの定めを行い、わたしのすべての命令を守り、これによって歩むなら、わたしがあなたの父ダビデにあなたについて約束したことを成就しよう。
0613 わたしはイスラエルの子らのただ中に住み、わたしの民イスラエルを捨てることはしない。」
0614 こうして、ソロモンは神殿を建て、これを完成した。
0615 彼は神殿の内側の壁を杉の板で張り、神殿の床から天井の壁に至るまで、内側を板で張った。なお神殿の床はもみの木の板で張った。
0616 ついで、彼は神殿の奥の部分二十キュビトを、床から天井の壁に至るまで、杉の板で張った。このようにして、彼は神殿に内堂、すなわち、至聖所を造り上げた。
0617 神殿、すなわち、前面の本堂の長さは四十キュビトであった。
0618 神殿内部の杉の板には、ひょうたん模様と花模様が浮き彫りにされており、全部、杉の板で、石は見えなかった。
0619 それから、彼は神殿内部の奥に内堂を設け、そこに【主】の契約の箱を置くことにした。
0620 内堂の内部は、長さ二十キュビト、幅二十キュビト、高さ二十キュビトで、純金をこれに着せた。さらに杉材の祭壇にも純金を着せた。
0621 ソロモンは神殿の内側を純金でおおい、内堂の前に金の鎖を渡し、これを金でおおった。
0622 神殿全体を、隅々まで金で張り、内堂にある祭壇もすっかり金をかぶせた。
0623 内堂の中に二つのオリーブ材のケルビムを作った。その高さは十キュビトであった。
0624 そのケルブの一方の翼は五キュビト、もう一方の翼も五キュビト。一方の翼の端からもう一方の翼の端まで十キュビトあった。
0625 他のケルブも十キュビトあり、両方のケルビムは全く同じ寸法、同じ形であった。
0626 一方のケルブは高さ十キュビト、他方のケルブも同じであった。
0627 そのケルビムは奥の神殿の中に置かれた。ケルビムの翼は広がって、一つのケルブの翼は一方の壁に届き、もう一つのケルブの翼はもう一方の壁に届き、また彼らの翼は神殿の真ん中に届いて翼と翼が触れ合っていた。
0628 彼はこのケルビムに金をかぶせた。
0629 神殿の周囲の壁には、すべて、奥の間も外の間も、ケルビムの彫刻、なつめやしの木と花模様の彫り物を彫った。
0630 神殿の床には、奥の間も外の間も、金をかぶせた。
0631 彼は内堂の入口を、オリーブ材のとびらと五角形の戸口の柱で作った。
0632 二つのオリーブ材のとびらである。彼はその上に、ケルビムの彫刻と、なつめやしの木と花模様を彫り、金をかぶせた。ケルビムと、なつめやしの木の上に金を延ばしつけたのである。
0633 同じように、本堂の入口にも四角形のオリーブ材の戸口の柱を作った。
0634 もみの木の二つのとびらである。一方のとびらの二枚の戸は折りたたみ戸、片方のとびらの二枚の戸も折りたたみ戸であった。
0635 彼はケルビムと、なつめやしの木と花模様を彫りつけ、その彫り物の上に、ぴったりと金を張りつけた。
0636 それから、彼は、切り石三段、杉角材一段の仕切りで内庭を造った。
0637 四年目のジブの月に、【主】の神殿の礎を据え、
0638 十一年目のブルの月、すなわち 八の月に、神殿のすべての部分が、その明細どおりに完成した。これを建てるのに七年かかった。

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