0101 神と主イエス・キリストのしもべヤコブが、国外に散っている十二の部族へあいさつを送ります。
0102 私の兄弟たち。さまざまな試練に会うときは、それをこの上もない喜びと思いなさい。
0103 信仰がためされると忍耐が生じるということを、あなたがたは知っているからです。
0104 その忍耐を完全に働かせなさい。そうすれば、あなたがたは、何一つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となります。
0105 あなたがたの中に知恵の欠けた人がいるなら、その人は、だれにでも惜しげなく、とがめることなくお与えになる神に願いなさい。そうすればきっと与えられます。
0106 ただし、少しも疑わずに、信じて願いなさい。疑う人は、風に吹かれて揺れ動く、海の大波のようです。
0107 そういう人は、主から何かをいただけると思ってはなりません。
0108 そういうのは、二心のある人で、その歩む道のすべてに安定を欠いた人です。
0109 貧しい境遇にある兄弟は、自分の高い身分を誇りとしなさい。
0110 富んでいる人は、自分が低くされることに誇りを持ちなさい。なぜなら、富んでいる人は、草の花のように過ぎ去って行くからです。
0111 太陽が熱風を伴って上って来ると、草を枯らしてしまいます。すると、その花は落ち、美しい姿は滅びます。同じように、富んでいる人も、働きの最中に消えて行くのです。
0112 試練に耐える人は幸いです。耐え抜いて良しと認められた人は、神を愛する者に約束された、いのちの冠を受けるからです。
0113 だれでも誘惑に会ったとき、神によって誘惑された、と言ってはいけません。神は悪に誘惑されることのない方であり、ご自分でだれを誘惑なさることもありません。
0114 人はそれぞれ自分の欲に引かれ、おびき寄せられて、誘惑されるのです。
0115 欲がはらむと罪を生み、罪が熟すると死を生みます。
0116 愛する兄弟たち。だまされないようにしなさい。
0117 すべての良い贈り物、また、すべての完全な賜物は上から来るのであって、光を造られた父から下るのです。父には移り変わりや、移り行く影はありません。
0118 父はみこころのままに、真理のことばをもって私たちをお生みになりました。私たちを、いわば被造物の初穂にするためなのです。
0119 愛する兄弟たち。あなたがたはそのことを知っているのです。しかし、だれでも、聞くには早く、語るにはおそく、怒るにはおそいようにしなさい。
0120 人の怒りは、神の義を実現するものではありません。
0121 ですから、すべての汚れやあふれる悪を捨て去り、心に植えつけられたみことばを、すなおに受け入れなさい。みことばは、あなたがたのたましいを救うことができます。
0122 また、みことばを実行する人になりなさい。自分を欺いて、ただ聞くだけの者であってはいけません。
0123 みことばを聞いても行わない人がいるなら、その人は自分の生まれつきの顔を鏡で見る人のようです。
0124 自分をながめてから立ち去ると、すぐにそれがどのようであったかを忘れてしまいます。
0125 ところが、完全な律法、すなわち自由の律法を一心に見つめて離れない人は、すぐに忘れる聞き手にはならないで、事を実行する人になります。こういう人は、その行いによって祝福されます。
0126 自分は宗教に熱心であると思っても、自分の舌にくつわをかけず、自分の心を欺いているなら、そのような人の宗教はむなしいものです。
0127 父なる神の御前できよく汚れのない宗教は、孤児や、やもめたちが困っているときに世話をし、この世から自分をきよく守ることです。
0201 私の兄弟たち。あなたがたは私たちの栄光の主イエス・キリストを信じる信仰を持っているのですから、人をえこひいきしてはいけません。
0202 あなたがたの会堂に、金の指輪をはめ、りっぱな服装をした人が入って来、またみすぼらしい服装をした貧しい人も入って来たとします。
0203 あなたがたが、りっぱな服装をした人に目を留めて、「あなたは、こちらの良い席におすわりなさい」と言い、貧しい人には、「あなたは、そこで立っていなさい。でなければ、私の足もとにすわりなさい」と言うとすれば、
0204 あなたがたは、自分たちの間で差別を設け、悪い考え方で人をさばく者になったのではありませんか。
0205 よく聞きなさい。愛する兄弟たち。神は、この世の貧しい人たちを選んで信仰に富む者とし、神を愛する者に約束されている御国を相続する者とされたではありませんか。
0206 それなのに、あなたがたは貧しい人を軽蔑したのです。あなたがたをしいたげるのは富んだ人たちではありませんか。また、あなたがたを裁判所に引いて行くのも彼らではありませんか。
0207 あなたがたがその名で呼ばれている尊い御名をけがすのも彼らではありませんか。
0208 もし、ほんとうにあなたがたが、聖書に従って、「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」という最高の律法を守るなら、あなたがたの行いはりっぱです。
0209 しかし、もし人をえこひいきするなら、あなたがたは罪を犯しており、律法によって違反者として責められます。
0210 律法全体を守っても、一つの点でつまずくなら、その人はすべてを犯した者となったのです。
0211 なぜなら、「姦淫してはならない」と言われた方は、「殺してはならない」とも言われたからです。そこで、姦淫しなくても人殺しをすれば、あなたは律法の違反者となったのです。
0212 自由の律法によってさばかれる者らしく語り、またそのように行いなさい。
0213 あわれみを示したことのない者に対するさばきは、あわれみのないさばきです。あわれみは、さばきに向かって勝ち誇るのです。
0214 私の兄弟たち。だれかが自分には信仰があると言っても、その人に行いがないなら、何の役に立ちましょう。そのような信仰がその人を救うことができるでしょうか。
0215 もし、兄弟また姉妹のだれかが、着る物がなく、また、毎日の食べ物にもこと欠いているようなときに、
0216 あなたがたのうちだれかが、その人たちに、「安心して行きなさい。暖かになり、十分に食べなさい」と言っても、もしからだに必要な物を与えないなら、何の役に立つでしょう。
0217 それと同じように、信仰も、もし行いがなかったなら、それだけでは、死んだものです。
0218 さらに、こう言う人もあるでしょう。「あなたは信仰を持っているが、私は行いを持っています。行いのないあなたの信仰を、私に見せてください。私は、行いによって、私の信仰をあなたに見せてあげます。」
0219 あなたは、神はおひとりだと信じています。りっぱなことです。ですが、悪霊どももそう信じて、身震いしています。
0220 ああ愚かな人よ。あなたは行いのない信仰がむなしいことを知りたいと思いますか。
0221 私たちの父アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげたとき、行いによって義と認められたではありませんか。
0222 あなたの見ているとおり、彼の信仰は彼の行いとともに働いたのであり、信仰は行いによって全うされ、
0223 そして、「アブラハムは神を信じ、その信仰が彼の義とみなされた」という聖書のことばが実現し、彼は神の友と呼ばれたのです。
0224 人は行いによって義と認められるのであって、信仰だけによるのではないことがわかるでしょう。
0225 同様に、遊女ラハブも、使者たちを招き入れ、別の道から送り出したため、その行いによって義と認められたではありませんか。
0226 たましいを離れたからだが、死んだものであるのと同様に、行いのない信仰は、死んでいるのです。
0301 私の兄弟たち。多くの者が教師になってはいけません。ご承知のように、私たち教師は、格別きびしいさばきを受けるのです。
0302 私たちはみな、多くの点で失敗をするものです。もし、ことばで失敗をしない人がいたら、その人は、からだ全体もりっぱに制御できる完全な人です。
0303 馬を御するために、くつわをその口にかけると、馬のからだ全体を引き回すことができます。
0304 また、船を見なさい。あのように大きな物が、強い風に押されているときでも、ごく小さなかじによって、かじを取る人の思いどおりの所へ持って行かれるのです。
0305 同様に、舌も小さな器官ですが、大きなことを言って誇るのです。ご覧なさい。あのように小さい火があのような大きい森を燃やします。
0306 舌は火であり、不義の世界です。舌は私たちの器官の一つですが、からだ全体を汚し、人生の車輪を焼き、そしてゲヘナの火によって焼かれます。
0307 どのような種類の獣も鳥も、はうものも海の生き物も、人類によって制せられるし、すでに制せられています。
0308 しかし、舌を制御することは、だれにもできません。それは少しもじっとしていない悪であり、死の毒に満ちています。
0309 私たちは、舌をもって、主であり父である方をほめたたえ、同じ舌をもって、神にかたどって造られた人をのろいます。
0310 賛美とのろいが同じ口から出て来るのです。私の兄弟たち。このようなことは、あってはなりません。
0311 泉が甘い水と苦い水を同じ穴からわき上がらせるというようなことがあるでしょうか。
0312 私の兄弟たち。いちじくの木がオリーブの実をならせたり、ぶどうの木がいちじくの実をならせたりするようなことは、できることでしょうか。塩水が甘い水を出すこともできないことです。
0313 あなたがたのうちで、知恵のある、賢い人はだれでしょうか。その人は、その知恵にふさわしい柔和な行いを、良い生き方によって示しなさい。
0314 しかし、もしあなたがたの心の中に、苦いねたみと敵対心があるならば、誇ってはいけません。真理に逆らって偽ることになります。
0315 そのような知恵は、上から来たものではなく、地に属し、肉に属し、悪霊に属するものです。
0316 ねたみや敵対心のあるところには、秩序の乱れや、あらゆる邪悪な行いがあるからです。
0317 しかし、上からの知恵は、 一に純真であり、次に平和、寛容、温順であり、また、あわれみと良い実とに満ち、えこひいきがなく、見せかけのないものです。
0318 義の実を結ばせる種は、平和をつくる人によって平和のうちに蒔かれます。