ヨシュア記

0401 民がすべてヨルダン川を渡り終わったとき、【主】はヨシュアに告げて仰せられた。
0402 「民の中から十二人、部族ごとにひとりずつを選び出し、
0403 彼らに命じて言え。『ヨルダン川の真ん中で、祭司たちの足が堅く立ったその所から十二の石を取り、それを持って来て、あなたがたが今夜泊まる宿営地にそれを据えよ。』」
0404 そこで、ヨシュアはイスラエルの人々の中から、部族ごとにひとりずつ、あらかじめ用意しておいた十二人の者を召し出した。
0405 ヨシュアは彼らに言った。「ヨルダン川の真ん中の、あなたがたの神、【主】の箱の前に渡って行って、イスラエルの子らの部族の数に合うように、各自、石一つずつを背負って来なさい。
0406 それがあなたがたの間で、しるしとなるためである。後になって、あなたがたの子どもたちが、『これらの石はあなたがたにとってどういうものなのですか』と聞いたなら、
0407 あなたがたは彼らに言わなければならない。『ヨルダン川の水は、【主】の契約の箱の前でせきとめられた。箱がヨルダン川を渡るとき、ヨルダン川の水がせきとめられた。これらの石は永久にイスラエル人の記念なのだ。』」
0408 イスラエルの人々は、ヨシュアが命じたとおりにした。【主】がヨシュアに告げたとおり、イスラエルの子らの部族の数に合うように、ヨルダン川の真ん中から十二の石を取り、それを宿営地に運び、そこに据えた。
0409 ──ヨシュアはヨルダン川の真ん中で、契約の箱をかつぐ祭司たちの足の立っていた場所の下にあった十二の石を、立てたのである。それが今日までそこにある──
0410 箱をかつぐ祭司たちは、【主】がヨシュアに命じて民に告げさせたことがすべて終わるまで、ヨルダン川の真ん中に立っていた。すべてモーセがヨシュアに命じたとおりである。その間に民は急いで渡った。
0411 民がすべて渡り終わったとき、【主】の箱が渡った。祭司たちは民の先頭に立ち、
0412 ルベン人と、ガド人と、マナセの半部族は、モーセが彼らに告げたように、イスラエルの人々の先頭を隊を組んで進んだ。
0413 いくさのために武装した約四万人が、エリコの草原で戦うために【主】の前を進んで行った。
0414 その日、【主】は全イスラエルの見ている前でヨシュアを大いなる者とされたので、彼らは、モーセを恐れたように、ヨシュアをその一生の間恐れた。
0415 【主】がヨシュアに、
0416 「あかしの箱をかつぐ祭司たちに命じて、ヨルダン川から上がって来させよ」と仰せられたとき、
0417 ヨシュアは祭司たちに、「ヨルダン川から上がって来なさい」と命じた。
0418 【主】の契約の箱をかつぐ祭司たちが、ヨルダン川の真ん中から上がって来て、祭司たちの足の裏が、かわいた地に上がったとき、ヨルダン川の水はもとの所に返って、以前のように、その岸いっぱいになった。
0419 民は 一の月の十日にヨルダン川から上がって、エリコの東の境にあるギルガルに宿営した。
0420 ヨシュアは、彼らがヨルダン川から取って来たあの十二の石をギルガルに立てて、
0421 イスラエルの人々に、次のように言った。「後になって、あなたがたの子どもたちがその父たちに、『これらの石はどういうものなのですか』と聞いたなら、
0422 あなたがたは、その子どもたちにこう言って教えなければならない。『イスラエルは、このヨルダン川のかわいた土の上を渡ったのだ。』
0423 あなたがたの神、【主】は、あなたがたが渡ってしまうまで、あなたがたの前からヨルダン川の水をからしてくださった。ちょうど、あなたがたの神、【主】が葦の海になさったのと同じである。それを、私たちが渡り終わってしまうまで、私たちの前からからしてくださったのである。
0424 それは、地のすべての民が、【主】の御手の強いことを知り、あなたがたがいつも、あなたがたの神、【主】を恐れるためである。」
0501 ヨルダン川のこちら側、西のほうにいたエモリ人のすべての王たちと、海辺にいるカナン人のすべての王たちとは、【主】がイスラエル人の前でヨルダン川の水をからし、ついに彼らが渡って来たことを聞いて、イスラエル人のために彼らの心がしなえ、彼らのうちに、もはや勇気がなくなってしまった。
0502 そのとき、【主】はヨシュアに仰せられた。「火打石の小刀を作り、もう一度イスラエル人に割礼をせよ。」
0503 そこで、ヨシュアは自分で火打石の小刀を作り、ギブアテ・ハアラロテで、イスラエル人に割礼を施した。
0504 ヨシュアがすべての民に割礼を施した理由はこうである。エジプトから出て来た者のうち、男子、すなわち戦士たちはすべて、エジプトを出て後、途中、荒野で死んだ。
0505 その出て来た民は、すべて割礼を受けていたが、エジプトを出て後、途中、荒野で生まれた民は、だれも割礼を受けていなかったからである。
0506 イスラエル人は、四十年間、荒野を旅していて、エジプトから出て来た民、すなわち戦士たちは、ことごとく死に絶えてしまったからである。彼らは【主】の御声に聞き従わなかったので、【主】が私たちに与えると彼らの先祖たちに誓われた地、乳と蜜の流れる地を、【主】は彼らには見せないと誓われたのであった。
0507 主は彼らに代わって、その息子たちを起こされた。ヨシュアは、彼らが無割礼の者で、途中で割礼を受けていなかったので、彼らに割礼を施した。
0508 民のすべてが割礼を完了したとき、彼らは傷が直るまで、宿営の自分たちのところにとどまった。
0509 すると、【主】はヨシュアに仰せられた。「きょう、わたしはエジプトのそしりを、あなたがたから取り除いた。」それで、その所の名は、ギルガルと呼ばれた。今日もそうである。
0510 イスラエル人が、ギルガルに宿営しているとき、その月の十四日の夕方、エリコの草原で彼らは過越のいけにえをささげた。
0511 過越のいけにえをささげた翌日、彼らはその地の産物、「種を入れないパン」と、炒り麦を食べた。その日のうちであった。
0512 彼らがその地の産物を食べた翌日から、マナの降ることはやみ、イスラエル人には、もうマナはなかった。それで、彼らはその年のうちにカナンの地で収穫した物を食べた。
0513 さて、ヨシュアがエリコの近くにいたとき、彼が目を上げて見ると、見よ、ひとりの人が抜き身の剣を手に持って、彼の前方に立っていた。ヨシュアはその人のところへ行って、言った。「あなたは、私たちの味方ですか。それとも私たちの敵なのですか。」
0514 すると彼は言った。「いや、わたしは【主】の軍の将として、今、来たのだ。」そこで、ヨシュアは顔を地につけて伏し拝み、彼に言った。「わが主は、何をそのしもべに告げられるのですか。」
0515 すると、【主】の軍の将はヨシュアに言った。「あなたの足のはきものを脱げ。あなたの立っている場所は聖なる所である。」そこで、ヨシュアはそのようにした。
0601 エリコは、イスラエル人の前に、城門を堅く閉ざして、だれひとり出入りする者がなかった。
0602 【主】はヨシュアに仰せられた。「見よ。わたしはエリコとその王、および勇士たちを、あなたの手に渡した。
0603 あなたがた戦士はすべて、町のまわりを回れ。町の周囲を一度回り、六日、そのようにせよ。
0604 七人の祭司たちが、七つの雄羊の角笛を持って、箱の前を行き、七日目には、七度町を回り、祭司たちは角笛を吹き鳴らさなければならない。
0605 祭司たちが雄羊の角笛を長く吹き鳴らし、あなたがたがその角笛の音を聞いたなら、民はみな、大声でときの声をあげなければならない。町の城壁がくずれ落ちたなら、民はおのおのまっすぐ上って行かなければならない。」
0606 そこで、ヌンの子ヨシュアは祭司たちを呼び寄せ、彼らに言った。「契約の箱をかつぎなさい。七人の祭司たちが、七つの雄羊の角笛を持って、【主】の箱の前を行かなければならない。」
0607 ついで、彼は民に言った。「進んで行き、あの町のまわりを回りなさい。武装した者たちは、【主】の箱の前を進みなさい。」
0608 ヨシュアが民に言ったとき、七人の祭司たちが、七つの雄羊の角笛を持って【主】の前を進み、角笛を吹き鳴らした。【主】の契約の箱は、そのうしろを進んだ。
0609 武装した者たちは、角笛を吹き鳴らす祭司たちの先を行き、しんがりは箱のうしろを進んだ。彼らは進みながら、角笛を吹き鳴らした。
0610 ヨシュアは民に命じて言った。「私がときの声をあげよと言って、あなたがたに叫ばせる日まで、あなたがたは叫んではいけない。あなたがたの声を聞かせてはいけない。また口からことばを出してはいけない。」
0611 こうして、彼は【主】の箱を、一度だけ町のまわりを回らせた。彼らは宿営に帰り、宿営の中で夜を過ごした。
0612 翌朝、ヨシュアは早く起き、祭司たちは【主】の箱をかついだ。
0613 七人の祭司たちが七つの雄羊の角笛を持って、【主】の箱の前を行き、角笛を吹き鳴らした。武装した者たちは彼らの先頭に立って行き、しんがりは【主】の箱のうしろを進んだ。彼らは進みながら角笛を吹き鳴らした。
0614 彼らはその次の日にも、町を一度回って宿営に帰り、六日、そのようにした。
0615 七日目になると、朝早く夜が明けかかるころ、彼らは同じしかたで町を七度回った。この日だけは七度町を回った。
0616 その七度目に祭司たちが角笛を吹いたとき、ヨシュアは民に言った。「ときの声をあげなさい。【主】がこの町をあなたがたに与えてくださったからだ。
0617 この町と町の中のすべてのものを、【主】のために聖絶しなさい。ただし遊女ラハブと、その家に共にいる者たちは、すべて生かしておかなければならない。あの女は私たちの送った使者たちをかくまってくれたからだ。
0618 ただ、あなたがたは、聖絶のものに手を出すな。聖絶のものにしないため、聖絶のものを取って、イスラエルの宿営を聖絶のものにし、これにわざわいをもたらさないためである。
0619 ただし、銀、金、および青銅の器、鉄の器はすべて、【主】のために聖別されたものだから、【主】の宝物倉に持ち込まなければならない。」
0620 そこで、民はときの声をあげ、祭司たちは角笛を吹き鳴らした。民が角笛の音を聞いて、大声でときの声をあげるや、城壁がくずれ落ちた。そこで民はひとり残らず、まっすぐ町へ上って行き、その町を攻め取った。
0621 彼らは町にあるものは、男も女も、若い者も年寄りも、また牛、羊、ろばも、すべて剣の刃で聖絶した。
0622 ヨシュアはこの地を偵察したふたりの者に言った。「あなたがたがあの遊女に誓ったとおり、あの女の家に行って、その女とその女に属するすべての者を連れ出しなさい。」
0623 斥候になったその若者たちは、行って、ラハブとその父、母、兄弟、そのほか彼女に属するすべての者を連れ出し、また、彼女の親族をみな連れ出して、イスラエルの宿営の外にとどめておいた。
0624 彼らは町とその中のすべてのものを火で焼いた。ただ銀、金、および青銅の器、鉄の器は、【主】の宮の宝物倉に納めた。
0625 しかし、遊女ラハブとその父の家族と彼女に属するすべての者とは、ヨシュアが生かしておいたので、ラハブはイスラエルの中に住んだ。今日もそうである。これは、ヨシュアがエリコを偵察させるために遣わした使者たちを、ラハブがかくまったからである。
0626 ヨシュアは、そのとき、誓って言った。「この町エリコの再建を企てる者は、【主】の前にのろわれよ。その礎を据える者は長子を失い、その門を建てる者は末の子を失う。」
0627 【主】がヨシュアとともにおられたので、そのうわさは地にあまねく広まった。

次へ
戻る
INDEX