0101 アミタイの子ヨナに次のような【主】のことばがあった。
0102 「立って、あの大きな町ニネベに行き、これに向かって叫べ。彼らの悪がわたしの前に上って来たからだ。」
0103 しかしヨナは、【主】の御顔を避けてタルシシュへのがれようとし、立って、ヨッパに下った。彼は、タルシシュ行きの船を見つけ、船賃を払ってそれに乗り、【主】の御顔を避けて、みなといっしょにタルシシュへ行こうとした。
0104 さて、【主】は大風を海に吹きつけられた。それで海に激しい暴風が起こり、船は難破しそうになった。
0105 水夫たちは恐れ、彼らはそれぞれ、自分の神に向かって叫び、船を軽くしようと船の積荷を海に投げ捨てた。しかし、ヨナは船底に降りて行って横になり、ぐっすり寝込んでいた。
0106 船長が近づいて来て彼に言った。「いったいどうしたことか。寝込んだりして。起きて、あなたの神にお願いしなさい。あるいは、神が私たちに心を留めてくださって、私たちは滅びないですむかもしれない。」
0107 みなは互いに言った。「さあ、くじを引いて、だれのせいで、このわざわいが私たちに降りかかったかを知ろう。」彼らがくじを引くと、そのくじはヨナに当たった。
0108 そこで彼らはヨナに言った。「だれのせいで、このわざわいが私たちに降りかかったのか、告げてくれ。あなたの仕事は何か。あなたはどこから来たのか。あなたの国はどこか。いったいどこの民か。」
0109 ヨナは彼らに言った。「私はヘブル人です。私は海と陸を造られた天の神、【主】を恐れています。」
0110 それで人々は非常に恐れて、彼に言った。「何でそんなことをしたのか。」人々は、彼が【主】の御顔を避けてのがれようとしていることを知っていた。ヨナが先に、これを彼らに告げていたからである。
0111 彼らはヨナに言った。「海が静まるために、私たちはあなたをどうしたらいいのか。」海がますます荒れてきたからである。
0112 ヨナは彼らに言った。「私を捕らえて、海に投げ込みなさい。そうすれば、海はあなたがたのために静かになるでしょう。わかっています。この激しい暴風は、私のためにあなたがたを襲ったのです。」
0113 その人たちは船を陸に戻そうとこいだがだめだった。海がますます、彼らに向かって荒れたからである。
0114 そこで彼らは【主】に願って言った。「ああ、【主】よ。どうか、この男のいのちのために、私たちを滅ぼさないでください。罪のない者の血を私たちに報いないでください。【主】よ。あなたはみこころにかなったことをなさるからです。」
0115 こうして、彼らはヨナをかかえて海に投げ込んだ。すると、海は激しい怒りをやめて静かになった。
0116 人々は非常に【主】を恐れ、【主】にいけにえをささげ、誓願を立てた。
0117 【主】は大きな魚を備えて、ヨナをのみこませた。ヨナは三日三晩、魚の腹の中にいた。
0201 ヨナは魚の腹の中から、彼の神、【主】に祈って、
0202 言った。「私が苦しみの中から【主】にお願いすると、主は答えてくださいました。私がよみの腹の中から叫ぶと、あなたは私の声を聞いてくださいました。
0203 あなたは私を海の真ん中の深みに投げ込まれました。潮の流れが私を囲み、あなたの波と大波がみな、私の上を越えて行きました。
0204 私は言った。『私はあなたの目の前から追われました。しかし、もう一度、私はあなたの聖なる宮を仰ぎ見たいのです』と。
0205 水は、私ののどを絞めつけ、深淵は私を取り囲み、海草は私の頭にからみつきました。
0206 私は山々の根元まで下り、地のかんぬきが、いつまでも私の上にありました。しかし、私の神、【主】よ。あなたは私のいのちを穴から引き上げてくださいました。
0207 私のたましいが私のうちに衰え果てたとき、私は【主】を思い出しました。私の祈りはあなたに、あなたの聖なる宮に届きました。
0208 むなしい偶像に心を留める者は、自分への恵みを捨てます。
0209 しかし、私は、感謝の声をあげて、あなたにいけにえをささげ、私の誓いを果たしましょう。救いは主のものです。」
0210 【主】は、魚に命じ、ヨナを陸地に吐き出させた。
0301 再びヨナに次のような【主】のことばがあった。
0302 「立って、あの大きな町ニネベに行き、わたしがあなたに告げることばを伝えよ。」
0303 ヨナは、【主】のことばのとおりに、立ってニネベに行った。ニネベは、行き巡るのに三日かかるほどの非常に大きな町であった。
0304 ヨナはその町に入って、まず一日目の道のりを歩き回って叫び、「もう四十日すると、ニネベは滅ぼされる」と言った。
0305 そこで、ニネベの人々は神を信じ、断食を呼びかけ、身分の高い者から低い者まで荒布を着た。
0306 このことがニネベの王の耳に入ると、彼は王座から立って、王服を脱ぎ、荒布をまとい、灰の中にすわった。
0307 王と大臣たちの命令によって、次のような布告がニネベに出された。「人も、獣も、牛も、羊もみな、何も味わってはならない。草をはんだり、水を飲んだりしてはならない。
0308 人も、家畜も、荒布を身にまとい、ひたすら神にお願いし、おのおの悪の道と、暴虐な行いから立ち返れ。
0309 もしかすると、神が思い直してあわれみ、その燃える怒りをおさめ、私たちは滅びないですむかもしれない。」
0310 神は、彼らが悪の道から立ち返るために努力していることをご覧になった。それで、神は彼らに下すと言っておられたわざわいを思い直し、そうされなかった。