ヨエル書

0101 ペトエルの子ヨエルにあった【主】のことば。
0102 長老たちよ。これを聞け。この地に住む者もみな、耳を貸せ。このようなことがあなたがたの時代に、また、あなたがたの先祖の時代にあったろうか。
0103 これをあなたがたの子どもたちに伝え、子どもたちはその子どもたちに、その子どもたちは後の世代に伝えよ。
0104 かみつくいなごが残した物は、いなごが食い、いなごが残した物は、ばったが食い、ばったが残した物は、食い荒らすいなごが食った。
0105 酔っぱらいよ。目をさまして、泣け。すべてぶどう酒を飲む者よ。泣きわめけ。甘いぶどう酒があなたがたの口から断たれたからだ。
0106 一つの国民がわたしの国に攻め上った。力強く、数えきれない国民だ。その歯は雄獅子の歯、それには雄獅子のきばがある。
0107 それはわたしのぶどうの木を荒れすたれさせ、わたしのいちじくの木を引き裂き、これをまる裸に引きむいて投げ倒し、その枝々を白くした。
0108 若い時の夫のために、荒布をまとったおとめのように、泣き悲しめ。
0109 穀物のささげ物と注ぎのぶどう酒は【主】の宮から断たれ、【主】に仕える祭司たちは喪に服する。
0110 畑は荒らされ、地も喪に服する。これは穀物が荒らされ、新しいぶどう酒も干上がり、油もかれてしまうからだ。
0111 農夫たちよ。恥を見よ。ぶどう作りたちよ。泣きわめけ。小麦と大麦のために。畑の刈り入れがなくなったからだ。
0112 ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれ、ざくろ、なつめやし、りんご、あらゆる野の木々は枯れた。人の子らから喜びが消えうせた。
0113 祭司たちよ。荒布をまとっていたみ悲しめ。祭壇に仕える者たちよ。泣きわめけ。神に仕える者たちよ。宮に行き、荒布をまとって夜を過ごせ。穀物のささげ物も注ぎのぶどう酒もあなたがたの神の宮から退けられたからだ。
0114 断食の布告をし、きよめの集会のふれを出せ。長老たちとこの国に住むすべての者を、あなたがたの神、【主】の宮に集め、【主】に向かって叫べ。
0115 ああ、その日よ。【主】の日は近い。全能者からの破壊のように、その日が来る。
0116 私たちの目の前で食物が断たれたではないか。私たちの神の宮から喜びも楽しみも消えうせたではないか。
0117 穀物の種は土くれの下に干からび、倉は荒れすたれ、穴倉はこわされた。穀物がしなびたからだ。
0118 ああ、なんと、家畜がうめいていることよ。牛の群れはさまよう。それに牧場がないからだ。羊の群れも滅びる。
0119 【主】よ。私はあなたに呼び求めます。火が荒野の牧草地を焼き尽くし、炎が野のすべての木をなめ尽くしました。
0120 野の獣も、あなたにあえぎ求めています。水の流れがかれ、火が荒野の牧草地を焼き尽くしたからです。
0201 シオンで角笛を吹き鳴らし、わたしの聖なる山でときの声をあげよ。この地に住むすべての者は、わななけ。【主】の日が来るからだ。その日は近い。
0202 やみと、暗黒の日。雲と、暗やみの日。山々に広がる暁の光のように数多く強い民。このようなことは昔から起こったことがなく、これから後の代々の時代にも再び起こらない。
0203 彼らの前では、火が焼き尽くし、彼らのうしろでは、炎がなめ尽くす。彼らの来る前には、この国はエデンの園のようであるが、彼らの去ったあとでは、荒れ果てた荒野となる。これからのがれるものは一つもない。
0204 その有様は馬のようで、軍馬のように、駆け巡る。
0205 さながら戦車のきしるよう、彼らは山々の頂をとびはねる。それは刈り株を焼き尽くす火の炎の音のよう、戦いの備えをした強い民のようである。
0206 その前で国々の民はもだえ苦しみ、みなの顔は青ざめる。
0207 それは勇士のように走り、戦士のように城壁をよじのぼる。それぞれ自分の道を進み、進路を乱さない。
0208 互いに押し合わず、めいめい自分の大路を進んで行く。投げ槍がふりかかっても、止まらない。
0209 それは町を襲い、城壁の上を走り、家々によじのぼり、盗人のように窓から入り込む。
0210 その面前で地は震い、天は揺れる。太陽も月も暗くなり、星もその光を失う。
0211 【主】は、ご自身の軍勢の先頭に立って声をあげられる。その隊の数は非常に多く、主の命令を行う者は力強い。【主】の日は偉大で、非常に恐ろしい。だれがこの日に耐えられよう。
0212 「しかし、今、──【主】の御告げ──心を尽くし、断食と、涙と、嘆きとをもって、わたしに立ち返れ。」
0213 あなたがたの着物ではなく、あなたがたの心を引き裂け。あなたがたの神、【主】に立ち返れ。主は情け深く、あわれみ深く、怒るのにおそく、恵み豊かで、わざわいを思い直してくださるからだ。
0214 主が思い直して、あわれみ、そのあとに祝福を残し、また、あなたがたの神、【主】への穀物のささげ物と注ぎのぶどう酒とを残してくださらないとだれが知ろう。
0215 シオンで角笛を吹き鳴らせ。断食の布告をし、きよめの集会のふれを出せ。
0216 民を集め、集会を召集せよ。老人たちを集め、幼子、乳飲み子も寄せ集めよ。花婿を寝室から、花嫁を自分の部屋から呼び出せ。
0217 【主】に仕える祭司たちは、神殿の玄関の間と祭壇との間で、泣いて言え。「【主】よ。あなたの民をあわれんでください。あなたのゆずりの地を、諸国の民のそしりとしたり、物笑いの種としたりしないでください。国々の民の間に、『彼らの神はどこにいるのか』と言わせておいてよいのでしょうか。」
0218 【主】はご自分の地をねたむほど愛し、ご自分の民をあわれまれた。
0219 【主】は民に答えて仰せられた。「今、わたしは穀物と新しいぶどう酒と油とをあなたがたに送る。あなたがたは、それで満足する。わたしは、二度とあなたがたを、諸国の民の間で、そしりとしない。
0220 わたしは北から来るものを、あなたがたから遠ざけ、それを荒廃した砂漠の地へ追いやり、その前衛を東の海に、その後衛を西の海に追いやる。その悪臭が立ち上り、その腐ったにおいが立ち上る。主が大いなることをしたからだ。」
0221 地よ。恐れるな。楽しみ喜べ。【主】が大いなることをされたからだ。
0222 野の獣たちよ。恐れるな。荒野の牧草はもえ出る。木はその実をみのらせ、いちじくの木と、ぶどうの木とは豊かにみのる。
0223 シオンの子らよ。あなたがたの神、【主】にあって、楽しみ喜べ。主は、あなたがたを義とするために、初めの雨を賜り、大雨を降らせ、前のように、初めの雨と後の雨とを降らせてくださるからだ。
0224 打ち場は穀物で満ち、石がめは新しいぶどう酒と油とであふれる。
0225 いなご、ばった、食い荒らすいなご、かみつくいなご、わたしがあなたがたの間に送った大軍勢が、食い尽くした年々を、わたしはあなたがたに償おう。
0226 あなたがたは飽きるほど食べて満足し、あなたがたに不思議なことをしてくださったあなたがたの神、【主】の名をほめたたえよう。わたしの民は永遠に恥を見ることはない。
0227 あなたがたは、イスラエルの真ん中にわたしがいることを知り、わたしがあなたがたの神、【主】であり、ほかにはないことを知る。わたしの民は永遠に恥を見ることはない。
0228 その後、わたしは、わたしの霊をすべての人に注ぐ。あなたがたの息子や娘は預言し、年寄りは夢を見、若い男は幻を見る。
0229 その日、わたしは、しもべにも、はしためにも、わたしの霊を注ぐ。
0230 わたしは天と地に、不思議なしるしを現す。血と火と煙の柱である。
0231 【主】の大いなる恐るべき日が来る前に、太陽はやみとなり、月は血に変わる。
0232 しかし、【主】の名を呼ぶ者はみな救われる。【主】が仰せられたように、シオンの山、エルサレムに、のがれる者があるからだ。その生き残った者のうちに、【主】が呼ばれる者がいる。
0301 見よ。わたしがユダとエルサレムの繁栄を元どおりにする、その日、その時、
0302 わたしはすべての国民を集め、彼らをヨシャパテの谷に連れ下り、その所で、彼らがわたしの民、わたしのゆずりの地イスラエルにしたことで彼らをさばく。彼らはわたしの民を諸国の民の間に散らし、わたしの地を自分たちの間で分け取ったからだ。
0303 彼らはわたしの民をくじ引きにし、子どもを遊女のために与え、酒のために少女を売って飲んだ。
0304 ツロとシドンよ。おまえたちは、わたしに何をしようとするのか。ペリシテの全地域よ。おまえたちはわたしに報復しようとするのか。もしおまえたちがわたしに報復するなら、わたしはただちに、おまえたちの報いを、おまえたちの頭上に返す。
0305 おまえたちはわたしの銀と金とを奪い、わたしのすばらしい宝としている物をおまえたちの宮へ運んで行き、
0306 しかも、ユダの人々とエルサレムの人々を、ギリシヤ人に売って、彼らの国から遠く離れさせたからだ。
0307 見よ。わたしは、おまえたちが彼らを売ったその所から、彼らを呼び戻して、おまえたちの報いを、おまえたちの頭上に返し、
0308 おまえたちの息子、娘たちを、ユダの人々に売り渡そう。彼らはこれを、遠くの民、シェバ人に売る、と【主】は仰せられる。
0309 諸国の民の間で、こう叫べ。聖戦をふれよ。勇士たちを奮い立たせよ。すべての戦士たちを集めて上らせよ。
0310 あなたがたの鋤を剣に、あなたがたのかまを槍に、打ち直せ。弱い者に「私は勇士だ」と言わせよ。
0311 回りのすべての国々よ。急いで来て、そこに集まれ。──【主】よ。あなたの勇士たちを下してください──
0312 諸国の民は起き上がり、ヨシャパテの谷に上って来い。わたしが、そこで、回りのすべての国々をさばくために、さばきの座に着くからだ。
0313 かまを入れよ。刈り入れの時は熟した。来て、踏め。酒ぶねは満ち、石がめはあふれている。彼らの悪がひどいからだ。
0314 さばきの谷には、群集また群集。【主】の日がさばきの谷に近づくからだ。
0315 太陽も月も暗くなり、星もその光を失う。
0316 【主】はシオンから叫び、エルサレムから声を出される。天も地も震える。だが、【主】は、その民の避け所、イスラエルの子らのとりでである。
0317 あなたがたは、わたしがあなたがたの神、【主】であり、わたしの聖なる山、シオンに住むことを知ろう。エルサレムは聖地となり、他国人はもう、そこを通らない。
0318 その日、山々には甘いぶどう酒がしたたり、丘々には乳が流れ、ユダのすべての谷川には水が流れ、【主】の宮から泉がわきいで、シティムの渓流を潤す。
0319 エジプトは荒れ果てた地となり、エドムは荒れ果てた荒野となる。彼らのユダの人々への暴虐のためだ。彼らが彼らの地で、罪のない血を流したためだ。
0320 だが、ユダは永遠に人の住む所となり、エルサレムは代々にわたって人の住む所となる。
0321 わたしは彼らの血の復讐をし、罰しないではおかない。【主】はシオンに住む。

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