2801 次のような【主】のことばが私にあった。
2802 「人の子よ。ツロの君主に言え。神である主はこう仰せられる。あなたは心高ぶり、『私は神だ。海の真ん中で神の座に着いている』と言った。あなたは自分の心を神のようにみなしたが、あなたは人であって、神ではない。
2803 あなたはダニエルよりも知恵があり、どんな秘密もあなたに隠されていない。
2804 あなたは自分の知恵と英知によって財宝を積み、金や銀を宝物倉にたくわえた。
2805 商いに多くの知恵を使って財宝をふやし、あなたの心は、財宝で高ぶった。
2806 それゆえ、神である主はこう仰せられる。あなたは自分の心を神の心のようにみなした。
2807 それゆえ、他国人、最も横暴な異邦の民を連れて来て、あなたを攻めさせる。彼らはあなたの美しい知恵に向かって剣を抜き、あなたの輝きを汚し、
2808 あなたを穴に投げ入れる。あなたは海の真ん中で、刺し殺される者の死を遂げる。
2809 それでもあなたは、自分を殺す者の前で、『私は神だ』と言うのか。あなたは人であって、神ではない。あなたはあなたを刺し殺す者たちの手の中にある。
2810 あなたは異邦人の手によって割礼を受けていない者の死を遂げる。わたしがこれを語ったからだ。──神である主の御告げ──」
2811 次のような【主】のことばが私にあった。
2812 「人の子よ。ツロの王について哀歌を唱えて、彼に言え。神である主はこう仰せられる。あなたは全きものの典型であった。知恵に満ち、美の極みであった。
2813 あなたは神の園、エデンにいて、あらゆる宝石があなたをおおっていた。赤めのう、トパーズ、ダイヤモンド、緑柱石、しまめのう、碧玉、サファイヤ、トルコ玉、エメラルド。あなたのタンバリンと笛とは金で作られ、これらはあなたが造られた日に整えられていた。
2814 わたしはあなたを油そそがれた守護者ケルブとともに、神の聖なる山に置いた。あなたは火の石の間を歩いていた。
2815 あなたの行いは、あなたが造られた日からあなたに不正が見いだされるまでは、完全だった。
2816 あなたの商いが繁盛すると、あなたのうちに暴虐が満ち、あなたは罪を犯した。そこで、わたしはあなたを汚れたものとして神の山から追い出し、守護者ケルブが火の石の間からあなたを消えうせさせた。
2817 あなたの心は自分の美しさに高ぶり、その輝きのために自分の知恵を腐らせた。そこで、わたしはあなたを地に投げ出し、王たちの前に見せものとした。
2818 あなたは不正な商いで不義を重ね、あなたの聖所を汚した。わたしはあなたのうちから火を出し、あなたを焼き尽くした。こうして、すべての者が見ている前で、わたしはあなたを地上の灰とした。
2819 国々の民のうちであなたを知る者はみな、あなたのことでおののいた。あなたは恐怖となり、とこしえになくなってしまう。」
2820 次のような【主】のことばが私にあった。
2821 「人の子よ。顔をシドンに向け、それに預言して、
2822 言え。神である主はこう仰せられる。シドンよ。わたしはおまえに立ち向かい、おまえのうちでわたしの栄光を現す。わたしがシドンにさばきを下し、わたしの聖なることをそこに示すとき、彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。
2823 わたしはそこに疫病を送り込む。そのちまたには血が流れ、四方から攻める剣のため、刺し殺された者がその中に倒れる。このとき、彼らはわたしが【主】であることを知ろう。
2824 イスラエルの家にとって、突き刺すいばらも、その回りから彼らに痛みを与え、侮るとげもなくなるとき、彼らは、わたしが神、主であることを知ろう。
2825 神である主はこう仰せられる。わたしがイスラエルの家を、散らされていた国々の民の中から集めるとき、わたしは諸国の民の目の前で、わたしの聖なることを示そう。彼らは、わたしがわたしのしもべヤコブに与えた土地に住みつこう。
2826 彼らはそこに安らかに住み、家々を建て、ぶどう畑を作る。彼らは安らかにそこに住みつこう。回りで彼らを侮るすべての者にわたしがさばきを下すとき、彼らは、わたしが彼らの神、【主】であることを知ろう。」
2901 十年の 十の月の十二日、私に次のような【主】のことばがあった。
2902 「人の子よ。顔をエジプトの王パロに向け、彼およびエジプト全体に預言し、
2903 こう語って言え。神である主はこう仰せられる。エジプトの王パロよ。わたしはあなたに立ち向かう。あなたは、自分の川の中に横たわる大きなわにで、『川は私のもの。私がこれを造った』と言っている。
2904 わたしはあなたのあごに鉤をかけ、あなたの川の魚をあなたのうろこにつけ、あなたと、あなたのうろこについている川のすべての魚とを川の中から引き上げる。
2905 あなたとあなたの川のすべての魚とを荒野に投げ捨てる。あなたは野原に倒れ、集められず、葬られることもない。わたしがあなたを地の獣と空の鳥のえじきとするとき、
2906 エジプトの住民はみな、わたしが【主】であることを知ろう。彼らが、イスラエルの家に対して、葦の杖にすぎなかったからだ。
2907 彼らがあなたの手をつかむと、あなたは折れ、彼らのすべての肩を砕いた。彼らがあなたに寄りかかると、あなたは折れ、彼らのすべての腰をいためた。
2908 それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしは剣を送ってあなたを攻め、人も獣も、あなたのうちから断ち滅ぼす。
2909 エジプトの地は荒れ果てて廃墟となる。このとき、彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。それは彼が、『川は私のもの。私がこれを造った』と言ったからだ。
2910 それゆえ、わたしは、あなたにもあなたの川にも立ち向かい、エジプトの地を、ミグドルからセベネ、さらにクシュの国境に至るまで、荒れ果てさせて廃墟にする。
2911 人の足もそこを通らず、獣の足もそこを通らず、四十年の間だれも住まなくなる。
2912 わたしはエジプトの地を、荒れ果てた国々の間で荒れ果てさせ、その町々も四十年の間、廃墟となった町々の間で荒れ果てる。わたしはエジプト人を諸国の民の中に散らし、国々に追い散らす。
2913 まことに、神である主はこう仰せられる。四十年の終わりになって、わたしはエジプト人を、散らされていた国々の民の中から集め、
2914 エジプトの繁栄を元どおりにする。彼らをその出身地パテロスの地に帰らせる。彼らはそこで、取るに足りない王国となる。
2915 どの王国にも劣り、二度と諸国の民の上にぬきんでることはない。彼らが諸国の民を支配しないように、わたしは彼らを小さくする。
2916 イスラエルの家は、これに助けを求めるとき、咎を思い起こして、もう、これを頼みとしなくなる。このとき、彼らは、わたしが神、主であることを知ろう。」
2917 二十七年の 一の月の一日、私に次のような【主】のことばがあった。
2918 「人の子よ。バビロンの王ネブカデレザルはツロ攻撃に自分の軍隊を大いに働かせた。それで、みなの頭ははげ、みなの肩はすりむけた。それなのに、彼にも彼の軍隊にも、ツロ攻撃に働いた報いは何もなかった。
2919 それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしはバビロンの王ネブカデレザルにエジプトの地を与えよう。彼はその富を取り上げ、物を分捕り、獲物をかすめ奪う。それが彼の軍隊への報いとなる。
2920 彼が働いた報酬として、わたしは彼にエジプトの地を与える。彼らがわたしのために働いたからだ。──神である主の御告げ──
2921 その日、わたしはイスラエルの家のために、一つの角を生えさせ、彼らの間であなたに口を開かせる。このとき彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。」
3001 次のような【主】のことばが私にあった。
3002 「人の子よ。預言して言え。神である主はこう仰せられる。泣きわめけ。ああ、その日よ。
3003 その日は近い。【主】の日は近い。その日は曇った日、諸国の民の終わりの時だ。
3004 剣がエジプトに下り、刺し殺される者がエジプトで倒れ、その富は奪われ、その基がくつがえされるとき、クシュには苦痛が起きる。
3005 クシュ、プテ、ルデ、アラビヤ全体、クブ、彼らの同盟国の人々も、彼らとともに剣に倒れる。
3006 【主】はこう仰せられる。エジプトをささえる者は倒れ、その力強い誇りは見下げられ、ミグドルからセベネに至るまでみな剣に倒れる。──神である主の御告げ──
3007 エジプトは荒れ果てた国々の間で荒れ果て、その町々も、廃墟となった町々の間にあって荒れ果てる。
3008 わたしがエジプトに火をつけ、これを助ける者たちがみな滅ぼされるとき、彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。
3009 その日、わたしのもとから使者たちが船で送り出され、安心しているクシュ人をおののかせる。エジプトの日に、彼らの間に苦痛が起きる。今、その日が来ている。
3010 神である主はこう仰せられる。わたしはバビロンの王ネブカデレザルによって、エジプトの富を取り除く。
3011 彼と、彼の民、すなわち、最も横暴な異邦の民がその地を滅ぼすために遣わされる。彼らは剣を抜いてエジプトを攻め、その地を刺し殺された者で満たす。
3012 わたしはナイル川を干上がった地とし、その国を悪人どもの手に売り、他国人の手によって、その国とそこにあるすべての物を荒れ果てさせる。【主】であるわたしがこれを語る。
3013 神である主はこう仰せられる。わたしは偶像を打ちこわし、ノフから偽りの神々を取り除く。エジプトの国には、もう君主が立たなくなる。わたしはエジプトの地に恐怖を与える。
3014 わたしはパテロスを荒らし、ツォアンに火をつけ、ノにさばきを下す。
3015 わたしはエジプトのとりでシンにわたしの憤りを注ぎ、ノの群集を断ち滅ぼす。
3016 わたしはエジプトに火をつける。シンは大いに苦しみ、ノは砕かれ、ノフは昼間、敵に襲われる。
3017 オンとピ・ベセテの若い男たちは剣に倒れ、女たちはとりことなって行く。
3018 わたしがエジプトのくびきを砕き、その力強い誇りが絶やされるとき、タフパヌヘスでは日は暗くなり、雲がそこをおおい、その娘たちはとりことなって行く。
3019 わたしがエジプトにさばきを下すとき、彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。」
3020 十一年の 一の月の七日、私に次のような【主】のことばがあった。
3021 「人の子よ。わたしはエジプトの王パロの腕を砕いた。見よ。それは包まれず、手当をされず、ほうたいを当てて包まれず、元気になって剣を取ることもできない。
3022 それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしはエジプトの王パロに立ち向かい、強いが砕かれている彼の腕を砕き、その手から剣を落とさせる。
3023 わたしはエジプト人を諸国の民の中に散らし、国々に追い散らす。
3024 しかし、わたしはバビロンの王の腕を強くし、わたしの剣を彼の手に渡し、パロの腕を砕く。彼は刺された者がうめくようにバビロンの王の前でうめく。
3025 わたしはバビロンの王の腕を強くし、パロの腕を垂れさせる。このとき、わたしがバビロンの王の手にわたしの剣を渡し、彼がそれをエジプトの地に差し向けると、彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。
3026 わたしがエジプト人を諸国の民の中に散らし、彼らを国々に追い散らすとき、彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。」