哀歌

0401 ああ、金は曇り、美しい黄金は色を変え、聖なる石は、あらゆる道ばたに投げ出されている。
0402 純金で値踏みされる高価なシオンの子らは、ああ、陶器師の手で作られた土のつぼのようにみなされている。
0403 ジャッカルさえも乳房をあらわし、その子に乳を飲ませるのに、私の民の娘は、荒野のだちょうのように無慈悲になった。
0404 乳飲み子の舌は渇いて上あごにつき、幼子たちがパンを求めても、それを裂いて彼らにやる者もない。
0405 ごちそうを食べていた者は道ばたでしおれ、紅の衣で育てられた者は、堆肥をかき集めるようになった。
0406 私の民の娘の咎は、人手によらず、たちまちくつがえされたソドムの罪より大きい。
0407 そのナジル人は雪よりもきよく、乳よりも白かった。そのからだは、紅真珠より赤く、その姿はサファイヤのようであった。
0408 しかし、彼らの顔は、すすよりも黒くなり、道ばたでも見分けがつかない。彼らの皮膚は干からびて骨につき、かわいて枯れ木のようになった。
0409 剣で殺される者は、飢え死にする者よりも、しあわせであった。彼らは、畑の実りがないので、やせ衰えて死んで行く。
0410 私の民の娘の破滅のとき、あわれみ深い女たちさえ、自分の手で自分の子どもを煮て、自分たちの食物とした。
0411 【主】は憤りを尽くして燃える怒りを注ぎ出し、シオンに火をつけられたので、火はその礎までも焼き尽くした。
0412 地の王たちも、世に住むすべての者も、仇や敵がエルサレムの門に、入って来ようとは信じなかった。
0413 これはその預言者たちの罪、祭司たちの咎のためである。彼らがその町のただ中で、正しい人の血を流したからだ。
0414 彼らは血に汚れ、盲人のようにちまたをさまよい、だれも彼らの着物に触れようとしなかった。
0415 「あっちへ行け。汚れた者」と人々は彼らに叫ぶ。「あっちへ行け。あっちへ行け。さわるな。」彼らは、立ち去って、なおもさまよい歩く。諸国の民の中で人々は言う。「彼らはもう立ち寄ってはならない。」
0416 【主】ご自身も彼らを散らし、もう彼らに目を留めなかった。祭司たちも尊ばれず、長老たちも敬われなかった。
0417 それに、私たちの目は、衰え果てた。助けを求めたが、むなしかった。私たちは見張り所で、見張った。救いをもたらさない国の来るのを。
0418 私たちの歩みはつけねらわれて、私たちは広場を歩くことができなかった。私たちの終わりは近づいた。私たちの日は満ちた。私たちの終わりが来たからだ。
0419 私たちを追う者は、大空の鷲よりも速く、山々の上まで追い迫り、荒野で私たちを待ち伏せた。
0420 私たちの鼻の息である者、【主】に油そそがれた者までも、彼らの落とし穴で捕らえられた。「この者のおかげで、諸国の民の中でも私たちは生きのびる」と私たちが言った者なのに。
0421 ウツの地に住むエドムの娘よ。楽しみ喜べ。だが、あなたにも杯は巡って来る。あなたも酔って裸になる。
0422 シオンの娘。あなたの刑罰は果たされた。主はもう、あなたを捕らえ移さない。エドムの娘。主はあなたの咎を罰する。主はあなたの不義をあばく。
0501 【主】よ。私たちに起こったことを思い出してください。私たちのそしりに目を留めてください。顧みてください。
0502 私たちの相続地は他国人の手に渡り、私たちの家もよそ者の手に渡りました。
0503 私たちは父親のないみなしごとなり、私たちの母はやもめになりました。
0504 私たちは自分たちの水を、金を払って飲み、自分たちのたきぎも、代価を払って手に入れなければなりません。
0505 私たちはくびきを負って、追い立てられ、疲れ果てても、休むことができません。
0506 私たちは足りるだけの食物を得ようと、エジプトやアッシリヤに手を伸ばしました。
0507 私たちの先祖は罪を犯しました。彼らはもういません。彼らの咎を私たちが背負いました。
0508 奴隷たちが私たちを支配し、だれも彼らの手から私たちを救い出してくれません。
0509 私たちは、荒野に剣があるために、いのちがけで自分の食物を得なければなりません。
0510 私たちの皮膚は、飢えの苦痛のために、かまどのように熱くなりました。
0511 女たちはシオンで、おとめたちはユダの町々で、はずかしめられました。
0512 首長たちは彼らの手でつるされ、長老たちも尊ばれませんでした。
0513 若い男たちはひき臼をひかされ、幼い者たちはたきぎを背負ってよろめき、
0514 年寄りたちは、城門に集まるのをやめ、若い男たちは、楽器を鳴らすのをやめました。
0515 私たちの心から、喜びは消え、踊りは喪に変わり、
0516 私たちの頭から冠も落ちました。ああ、私たちにわざわいあれ。私たちが罪を犯したからです。
0517 私たちの心が病んでいるのはこのためです。私たちの目が暗くなったのもこのためです。
0518 シオンの山は荒れ果て、狐がそこを歩き回っているからです。
0519 しかし、【主】よ。あなたはとこしえに御座に着き、あなたの御座は代々に続きます。
0520 なぜ、いつまでも、私たちを忘れておられるのですか。私たちを長い間、捨てられるのですか。
0521 【主】よ。あなたのみもとに帰らせてください。私たちは帰りたいのです。私たちの日を昔のように新しくしてください。
0522 それとも、あなたはほんとうに、私たちを退けられるのですか。きわみまで私たちを怒られるのですか。

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