エレミヤ書

1901 【主】はこう仰せられる。「行って、土の焼き物のびんを買い、民の長老と年長の祭司のうちの数人といっしょに、
1902 『瀬戸のかけらの門』の入口にあるベン・ヒノムの谷に出かけ、そこで、わたしがあなたに語ることばを呼ばわって、
1903 言え。『ユダの王たちとエルサレムの住民よ。【主】のことばを聞け。イスラエルの神、万軍の【主】は、こう仰せられる。見よ。わたしはこの所にわざわいをもたらす。だれでも、そのことを聞く者は、耳鳴りがする。
1904 彼らがわたしを捨ててこの所を見分けがつかないほどにし、この所で、彼らも彼らの先祖も、ユダの王たちも知らなかったほかの神々にいけにえをささげ、この所を罪のない者の血で満たし、
1905 バアルのために自分の子どもたちを全焼のいけにえとして火で焼くため、バアルの高き所を築いたからである。このような事は、わたしが命じたこともなく、語ったこともなく、思いつきもしなかったことだ。
1906 それゆえ、見よ、その日が来る。──【主】の御告げ──その日には、この所はもはや、トフェテとかベン・ヒノムの谷とか呼ばれない。ただ虐殺の谷と呼ばれる。
1907 また、わたしはこの所で、ユダとエルサレムのはかりごとをこぼち、彼らを敵の前で、剣で倒し、またいのちをねらう者の手によって倒し、そのしかばねを、空の鳥や地の獣にえじきとして与える。
1908 また、わたしはこの町を恐怖とし、あざけりとする。そこを通り過ぎる者はみな、色を失い、そのすべての打ち傷を見てあざける。
1909 またわたしは、包囲と、彼らの敵、いのちをねらう者がもたらす窮乏のために、彼らに自分の息子の肉、娘の肉を食べさせる。彼らは互いにその友の肉を食べ合う。』
1910 そこであなたは、同行の人々の目の前で、そのびんを砕いて、
1911 彼らに言え。『万軍の【主】はこう仰せられる。陶器師の器が砕かれると、二度と直すことができない。このように、わたしはこの民と、この町を砕く。人々はトフェテに葬る余地がないほどに葬る。
1912 わたしはこの所と、──【主】の御告げ──その住民にこうしよう。わたしはこの町をトフェテのようにする。
1913 エルサレムの家々とユダの王の家々、すなわち、彼らが屋上で天の万象に香をたき、ほかの神々に注ぎのぶどう酒を注いだすべての家々は、トフェテの地のように汚される。』」
1914 そこでエレミヤは、【主】が預言のために遣わしたトフェテから帰って来て、【主】の宮の庭に立ち、すべての民に言った。
1915 「イスラエルの神、万軍の【主】は、こう仰せられる。『見よ。わたしはこの町と、すべての町々に、わたしが告げたすべてのわざわいをもたらす。彼らがうなじのこわい者となって、わたしのことばに聞き従おうとしなかったからである。』」
2001 祭司であり、【主】の宮のつかさ、監督者であるイメルの子パシュフルは、エレミヤがこれらのことばを預言するのを聞いた。
2002 パシュフルは、預言者エレミヤを打ち、彼を【主】の宮にある上のベニヤミンの門にある足かせにつないだ。
2003 翌日になって、パシュフルがエレミヤを足かせから解いたとき、エレミヤは彼に言った。「【主】はあなたの名をパシュフルではなくて、『恐れが回りにある』と呼ばれる。
2004 まことに【主】がこう仰せられる。『見よ。わたしはあなたを、あなた自身とあなたの愛するすべての者への恐れとする。彼らは、あなたの目の見る所で、敵の剣に倒れる。また、わたしはユダの人全部をバビロンの王の手に渡す。彼は彼らをバビロンへ引いて行き、剣で打ち殺す。
2005 また、わたしはこの町のすべての富と、すべての勤労の実と、すべての宝を渡し、またユダの王たちの財宝を敵の手に渡す。彼らはそれをかすめ奪い、略奪し、バビロンへ運ぶ。
2006 パシュフルよ。あなたとあなたの家に住むすべての者は、とりことなって、バビロンに行き、そこで死に、そこで葬られる。あなたも、あなたが偽りの預言をした相手の、あなたの愛するすべての人も。』」
2007 【主】よ。あなたが私を惑わしたので、私はあなたに惑わされました。あなたは私をつかみ、私を思いのままにしました。私は一日中、物笑いとなり、みなが私をあざけります。
2008 私は、語るごとに、わめき、「暴虐だ。暴行だ」と叫ばなければなりません。私への【主】のみことばが、一日中、そしりとなり、笑いぐさとなるのです。
2009 私は、「主のことばを宣べ伝えまい。もう主の名で語るまい」と思いましたが、主のみことばは私の心のうちで、骨の中に閉じ込められて燃えさかる火のようになり、私はうちにしまっておくのに疲れて耐えられません。
2010 私が多くの人のささやきを聞いたからです。「恐れが回りにあるぞ。訴えよ。われわれもあいつを訴えよう。」私の親しい者もみな、私のつまずくのを待ちもうけています。「たぶん、彼は惑わされるから、われわれが彼に勝って、復讐してやろう」と。
2011 しかし、【主】は私とともにあって、横暴な勇士のようです。ですから、私を追う者たちは、つまずいて、勝つことはできません。彼らは成功しないので、大いに恥をかき、それが忘れられない永久の恥となりましょう。
2012 正しい者を調べ、思いと心を見ておられる万軍の【主】よ。あなたが彼らに復讐されるのを私に見せてください。あなたに私の訴えを打ち明けたのですから。
2013 【主】に向かって歌い、【主】をほめたたえよ。主が貧しい者のいのちを、悪を行う者どもの手から救い出されたからだ。
2014 私の生まれた日は、のろわれよ。母が私を産んだその日は、祝福されるな。
2015 私の父に、「あなたに男の子が生まれた」と言って伝え、彼を大いに喜ばせた人は、のろわれよ。
2016 その人は、【主】がくつがえして悔いない町々のようになれ。朝には彼に叫びを聞かせ、真昼にはときの声を聞かせよ。
2017 彼は、私が胎内にいるとき、私を殺さず、私の母を私の墓とせず、彼女の胎を、永久にみごもったままにしておかなかったのだから。
2018 なぜ、私は労苦と苦悩に会うために胎を出たのか。私の一生は恥のうちに終わるのか。
2101 【主】からエレミヤにあったみことば。ゼデキヤ王は、マルキヤの子パシュフルと、マアセヤの子、祭司ゼパニヤをエレミヤのもとに遣わしてこう言わせた。
2102 「どうか、私たちのために【主】に尋ねてください。バビロンの王ネブカデレザルが私たちを攻めています。【主】がかつて、あらゆる奇しいみわざを行われたように、私たちにも行い、彼を私たちから離れ去らせてくださるかもしれませんから。」
2103 エレミヤは彼らに言った。「あなたがたは、ゼデキヤにこう言いなさい。
2104 イスラエルの神、【主】は、こう仰せられる。『見よ。あなたがたは、城壁の外からあなたがたを囲んでいるバビロンの王とカルデヤ人とに向かって戦っているが、わたしは、あなたがたの手にしている武具を取り返して、それをこの町の中に集め、
2105 わたし自身が、伸ばした手と強い腕と、怒りと、憤りと、激怒とをもって、あなたがたと戦い、
2106 この町に住むものは、人間も獣も打ち、彼らはひどい疫病で死ぬ。
2107 そのあとで、──【主】の御告げ──わたしはユダの王ゼデキヤと、その家来と、その民と、この町で、疫病や剣やききんからのがれて生き残った者たちとを、バビロンの王ネブカデレザルの手、敵の手、いのちをねらう者たちの手に渡す。彼は彼らを剣の刃で打ち、彼らを惜しまず、容赦せず、あわれまない。』」
2108 「あなたは、この民に言え。【主】はこう仰せられる。『見よ。わたしはあなたがたの前に、いのちの道と死の道を置く。
2109 この町にとどまる者は、剣とききんと疫病によって死ぬが、出て、あなたがたを囲んでいるカルデヤ人にくだる者は、生きて、そのいのちは彼の分捕り物となる。
2110 なぜならわたしは、幸いのためにではなく、わざわいのためにこの町から顔をそむけるからである。──【主】の御告げ──この町は、バビロンの王の手に渡され、彼はこれを火で焼くであろう。』」
2111 ユダの王家のために──「【主】のことばを聞け。
2112 ダビデの家よ。【主】はこう仰せられる。朝ごとに、正しいさばきを行い、かすめられている者を、しいたげる者の手から救い出せ。さもないと、あなたがたの悪行のために、わたしの憤りが火のように燃えて焼き尽くし、消す者はいない。」
2113 「ああ、この谷に住む者、平地の岩よ。あなたに言う。──【主】の御告げ──あなたがたは、『だれが、私たちのところに下って来よう。だれが、私たちの住まいに入れよう』と言っている。
2114 わたしはあなたがたを、その行いの実にしたがって罰する。──【主】の御告げ──また、わたしは、その林に火をつける。火はその周辺をことごとく焼き尽くす。」

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