イザヤ書

3101 ああ。助けを求めてエジプトに下る者たち。彼らは馬にたより、多数の戦車と、非常に強い騎兵隊とに拠り頼み、イスラエルの聖なる方に目を向けず、【主】を求めない。
3102 しかし主は、知恵ある方、わざわいをもたらし、みことばを取り消さない。主は、悪を行う者の家と、不法を行う者を助ける者とを攻めたてられる。
3103 エジプト人は人間であって神ではなく、彼らの馬も、肉であって霊ではない。【主】が御手を伸ばすと、助ける者はつまずき、助けられる者は倒れて、みな共に滅び果てる。
3104 まことに【主】は、私にこう仰せられる。「獅子、あるいは若獅子が獲物に向かってほえるとき、牧者がみなそのところに集められても、それは、彼らの声に脅かされず、彼らの騒ぎにも動じない。そのように、万軍の【主】は下って来て、シオンの山とその丘を攻める。
3105 万軍の【主】は飛びかける鳥のように、エルサレムを守り、これを守って救い出し、これを助けて解放する。」
3106 イスラエルの子らよ。あなたがたが反逆を深めているその方のもとに帰れ。
3107 その日、イスラエルの子らは、おのおの自分のために自分の手で造って罪を犯した銀の偽りの神々や金の偽りの神々を退けるからだ。
3108 アッシリヤは人間のものでない剣に倒れ、人間のものでない剣が彼らを食い尽くす。アッシリヤは剣の前から逃げ、若い男たちは苦役につく。
3109 岩も恐れのために過ぎ去り、首長たちも旗を捨てておののき逃げる。──シオンに火を持ち、エルサレムにかまどを持つ【主】の御告げ──
3201 見よ。ひとりの王が正義によって治め、首長たちは公義によってつかさどる。
3202 彼らはみな、風を避ける避け所、あらしを避ける隠れ場のようになり、砂漠にある水の流れ、かわききった地にある大きな岩の陰のようになる。
3203 見る者は目を堅く閉ざさず、聞く者は耳を傾ける。
3204 気短な者の心も知識を悟り、どもりの舌も、はっきりと早口で語ることができる。
3205 もはや、しれ者が高貴な人と呼ばれることがなく、ならず者が上流の人と言われることもない。
3206 なぜなら、しれ者は恥ずべきことを語り、その心は不法をたくらんで、神を敬わず、【主】に向かって迷いごとを語り、飢えている者を飢えさせ、渇いている者に飲み物を飲ませないからだ。
3207 ならず者、そのやり方は悪い。彼はみだらなことをたくらみ、貧しい者が正しいことを申し立てても、偽りを語って身分の低い者を滅ぼす。
3208 しかし、高貴な人は高貴なことを計画し、高貴なことを、いつもする。
3209 のんきな女たちよ。立ち上がって、わたしの声を聞け。うぬぼれている娘たちよ。わたしの言うことに耳を傾けよ。
3210 うぬぼれている女たちよ。一年と少しの日がたつと、あなたがたはわななく。ぶどうの収穫がなくなり、その取り入れもできなくなるからだ。
3211 のんきな女たちよ。おののけ。うぬぼれている女たちよ。わななけ。着物を脱ぎ、裸になり、腰に荒布をまとえ。
3212 胸を打って嘆け。麗しい畑、実りの多いぶどうの木のために。
3213 いばらやおどろの生い茂るわたしの民の土地のために。そして、すべての楽しい家々、おごる都のために。
3214 なぜなら、宮殿は見捨てられ、町の騒ぎもさびれ、オフェルと見張りの塔は、いつまでも荒地となり、野ろばの喜ぶ所、羊の群れの牧場となるからだ。
3215 しかし、ついには、上から霊が私たちに注がれ、荒野が果樹園となり、果樹園が森とみなされるようになる。
3216 公正は荒野に宿り、義は果樹園に住む。
3217 義は平和をつくり出し、義はとこしえの平穏と信頼をもたらす。
3218 わたしの民は、平和な住まい、安全な家、安らかないこいの場に住む。
3219 ──雹が降ってあの森を倒し、あの町は全く卑しめられる。──
3220 ああ、幸いなことよ。すべての水のほとりに種を蒔き、牛とろばとを放し飼いするあなたがたは。
3301 ああ。自分は踏みにじられなかったのに、人を踏みにじり、自分は裏切られなかったのに、人を裏切るあなたは。あなたが踏みにじることを終えるとき、あなたは踏みにじられ、あなたが裏切りをやめるとき、あなたは裏切られる。
3302 【主】よ。私たちをあわれんでください。私たちはあなたを待ち望みます。朝ごとに、私たちの腕となり、苦難の時の私たちの救いとなってください。
3303 騒ぎの声に国々の民は逃げ、あなたが立ち上がると、国は散らされます。
3304 あなたがたの分捕り物は、油虫が物を集めるように集められ、いなごの群れが飛びつくように飛びつかれる。
3305 【主】はいと高き方で、高い所に住み、シオンを公正と正義で満たされる。
3306 あなたの時代は堅く立つ。知恵と知識とが、救いの富である。【主】を恐れることが、その財宝である。
3307 見よ。彼らの勇士はちまたで叫び、平和の使者たちは激しく泣く。
3308 大路は荒れ果て、道行く者はとだえ、契約は破られ、町々は捨てられ、人は顧みられない。
3309 国は喪に服し、しおれ、レバノンははずかしめを受けて、しなび、シャロンは荒地のようになり、バシャンもカルメルも葉を振り落とす。
3310 「今、わたしは立ち上がる」と【主】は仰せられる。「今、わたしは自分を高め、今、あがめられるようにしよう。
3311 あなたがたは枯れ草をはらみ、わらを産む。あなたがたの息は、あなたがたを食い尽くす火だ。
3312 国々の民は焼かれて石灰となり、刈り取られて火をつけられるいばらとなる。
3313 遠くの者よ。わたしのしたことを聞け。近くの者よ。わたしの力を知れ。」
3314 罪人たちはシオンでわななき、神を敬わない者は恐怖に取りつかれる。「私たちのうち、だれが焼き尽くす火に耐えられよう。私たちのうち、だれがとこしえに燃える炉に耐えられよう。」
3315 正義を行う者、まっすぐに語る者、強奪による利得を退ける者、手を振ってわいろを取らない者、耳を閉じて血なまぐさいことを聞かない者、目を閉じて悪いことを見ない者、
3316 このような人は、高い所に住み、そのとりでは岩の上の要害である。彼のパンは与えられ、その水は確保される。
3317 あなたの目は、麗しい王を見、遠く広がった国を見る。
3318 あなたの心は、恐ろしかった事どもを思い起こす。「数えた者はどこへ行ったのか。測った者はどこへ行ったのか。やぐらを数えた者はどこへ行ったのか。」
3319 あなたは、もう横柄な民を見ない。この民のことばはわかりにくく、その舌はどもって、わけがわからない。
3320 私たちの祝祭の都、シオンを見よ。あなたの目は、安らかな住まい、取り払われることのない天幕、エルサレムを見る。その鉄のくいはとこしえに抜かれず、その綱は一つも切られない。
3321 しかも、そこには威厳のある【主】が私たちとともにおられる。そこには多くの川があり、広々とした川がある。櫓をこぐ船もそこを通わず、大船もそこを通らない。
3322 まことに、【主】は私たちをさばく方、【主】は私たちの立法者、【主】は私たちの王、この方が私たちを救われる。
3323 あなたの帆の綱は解け、帆柱の基は、結びつけることができず、帆は、張ることもできない。そのとき、おびただしい分捕り物や獲物は分け取られ、足のなえた者も獲物をかすめる。
3324 そこに住む者は、だれも「私は病気だ」とは言わず、そこに住む民の罪は赦される。

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