0101 アモツの子イザヤの幻。これは彼が、ユダとエルサレムについて、ユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に見たものである。
0102 天よ、聞け。地も耳を傾けよ。【主】が語られるからだ。「子らはわたしが大きくし、育てた。しかし彼らはわたしに逆らった。
0103 牛はその飼い主を、ろばは持ち主の飼葉おけを知っている。それなのに、イスラエルは知らない。わたしの民は悟らない。」
0104 ああ。罪を犯す国、咎重き民、悪を行う者どもの子孫、堕落した子ら。彼らは【主】を捨て、イスラエルの聖なる方を侮り、背を向けて離れ去った。
0105 あなたがたは、なおもどこを打たれようというのか。反逆に反逆を重ねて。頭は残すところなく病にかかり、心臓もすっかり弱り果てている。
0106 足の裏から頭まで、健全なところはなく、傷と、打ち傷と、打たれた生傷。絞り出してももらえず、包んでももらえず、油で和らげてももらえない。
0107 あなたがたの国は荒れ果てている。あなたがたの町々は火で焼かれ、畑は、あなたがたの前で、他国人が食い荒らし、他国人の破滅にも似て荒れ果てている。
0108 しかし、シオンの娘は残された。あたかもぶどう畑の小屋のように、きゅうり畑の番小屋のように、包囲された町のように。
0109 もしも、万軍の【主】が、少しの生き残りの者を私たちに残されなかったら、私たちもソドムのようになり、ゴモラと同じようになっていた。
0110 聞け。ソドムの首領たち。【主】のことばを。耳を傾けよ。ゴモラの民。私たちの神のみおしえに。
0111 「あなたがたの多くのいけにえは、わたしに何になろう」と、【主】は仰せられる。「わたしは、雄羊の全焼のいけにえや、肥えた家畜の脂肪に飽きた。雄牛、子羊、雄やぎの血も喜ばない。
0112 あなたがたは、わたしに会いに出て来るが、だれが、わたしの庭を踏みつけよ、とあなたがたに求めたのか。
0113 もう、むなしいささげ物を携えて来るな。香の煙──それもわたしの忌みきらうもの。新月の祭りと安息日──会合の召集、不義と、きよめの集会、これにわたしは耐えられない。
0114 あなたがたの新月の祭りや例祭を、わたしの心は憎む。それはわたしの重荷となり、わたしは負うのに疲れ果てた。
0115 あなたがたが手を差し伸べて祈っても、わたしはあなたがたから目をそらす。どんなに祈りを増し加えても、聞くことはない。あなたがたの手は血まみれだ。
0116 洗え。身をきよめよ。わたしの前で、あなたがたの悪を取り除け。悪事を働くのをやめよ。
0117 善をなすことを習い、公正を求め、しいたげる者を正し、みなしごのために正しいさばきをなし、やもめのために弁護せよ。」
0118 「さあ、来たれ。論じ合おう」と【主】は仰せられる。「たとい、あなたがたの罪が緋のように赤くても、雪のように白くなる。たとい、紅のように赤くても、羊の毛のようになる。
0119 もし喜んで聞こうとするなら、あなたがたは、この国の良い物を食べることができる。
0120 しかし、もし拒み、そむくなら、あなたがたは剣にのまれる」と、【主】の御口が語られたからである。
0121 どうして、遊女になったのか、忠信な都が。公正があふれ、正義がそこに宿っていたのに。今は人殺しばかりだ。
0122 おまえの銀は、かなかすになった。おまえの良い酒も、水で割ってある。
0123 おまえのつかさたちは反逆者、盗人の仲間。みな、わいろを愛し、報酬を追い求める。みなしごのために正しいさばきをせず、やもめの訴えも彼らは取り上げない。
0124 それゆえに、──万軍の【主】、イスラエルの全能者、主の御告げ──「ああ。わたしの仇に思いを晴らし、わたしの敵に復讐しよう。
0125 しかし、おまえの上に再びわが手を伸ばし、おまえのかなかすを灰汁のように溶かし、その浮きかすをみな除こう。
0126 こうして、おまえのさばきつかさたちを初めのように、おまえの議官たちを昔のようにしよう。そうして後、おまえは正義の町、忠信な都と呼ばれよう。」
0127 シオンは公正によって贖われ、その町の悔い改める者は正義によって贖われる。
0128 そむく者は罪人とともに破滅し、【主】を捨てる者は、うせ果てる。
0129 まことに、彼らは、あなたがたの慕った樫の木で恥を見、あなたがたは、みずから選んだ園によってはずかしめを受けよう。
0130 あなたがたは葉のしぼんだ樫の木のように、水のない園のようになるからだ。
0131 つわものは麻くずに、そのわざは火花になり、その二つとも燃え立って、これを消す者がいない。
0201 アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて示された先見のことば。
0202 終わりの日に、【主】の家の山は、山々の頂に堅く立ち、丘々よりもそびえ立ち、すべての国々がそこに流れて来る。
0203 多くの民が来て言う。「さあ、【主】の山、ヤコブの神の家に上ろう。主はご自分の道を、私たちに教えてくださる。私たちはその小道を歩もう。」それは、シオンからみおしえが出、エルサレムから【主】のことばが出るからだ。
0204 主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。
0205 来たれ。ヤコブの家よ。私たちも【主】の光に歩もう。
0206 まことに、あなたは、あなたの民、ヤコブの家を捨てられた。彼らがペリシテ人のように東方からの者、卜者で満ち、外国人の子らであふれているからだ。
0207 その国は金や銀で満ち、その財宝は限りなく、その国は馬で満ち、その戦車も数限りない。
0208 その国は偽りの神々で満ち、彼らは、自分の手で造った物、指で造った物を拝んでいる。
0209 こうして人はかがめられ、人間は低くされた。──彼らをお赦しにならないように。──
0210 岩の間に入り、ちりの中に身を隠せ。【主】の恐るべき御顔を避け、そのご威光の輝きを避けて。
0211 その日には、高ぶる者の目も低くされ、高慢な者もかがめられ、【主】おひとりだけが高められる。
0212 まことに、万軍の【主】の日は、すべておごり高ぶる者、すべて誇る者に襲いかかり、これを低くする。
0213 高くそびえるレバノンのすべての杉の木と、バシャンのすべての樫の木、
0214 すべての高い山々と、すべてのそびえる峰々、
0215 すべてのそそり立つやぐらと、堅固な城壁、
0216 タルシシュのすべての船、すべての慕わしい船に襲いかかる。
0217 その日には、高ぶる者はかがめられ、高慢な者は低くされ、【主】おひとりだけが高められる。
0218 偽りの神々は消えうせる。
0219 主が立ち上がり、地をおののかせるとき、人々は【主】の恐るべき御顔を避け、ご威光の輝きを避けて、岩のほら穴や、土の穴に入る。
0220 その日、人は、拝むために造った銀の偽りの神々と金の偽りの神々を、もぐらや、こうもりに投げやる。
0221 主が立ち上がり、地をおののかせるとき、人々は【主】の恐るべき御顔を避け、ご威光の輝きを避けて、岩の割れ目、巌の裂け目に入る。
0222 鼻で息をする人間をたよりにするな。そんな者に、何の値うちがあろうか。
0301 まことに、見よ、万軍の【主】、主は、エルサレムとユダから、ささえとたよりを除かれる。──すべて頼みのパン、すべて頼みの水、
0302 勇士と戦士、さばきつかさと預言者、占い師と長老、
0303 五十人隊の長と高官、議官と賢い細工人、巧みにまじないをかける者。
0304 わたしは、若い者たちを彼らのつかさとし、気まぐれ者に彼らを治めさせる。
0305 民はおのおの、仲間同士で相しいたげ、若い者は年寄りに向かって高ぶり、身分の低い者は高貴な者に向かって高ぶる。
0306 そのとき、人が父の家で、自分の兄弟をとらえて言う。「あなたは着る物を持っている。私たちの首領になってくれ。この乱れた世を、あなたの手で治めてくれ。」
0307 その日、彼は声を張り上げて言う。「私は医者にはなれない。私の家にはパンもなく、着る物もない。私を民の首領にはしてくれるな。」
0308 これはエルサレムがつまずき、ユダが倒れたからであり、彼らの舌と行いとが【主】にそむき、主のご威光に逆らったからである。
0309 彼らの顔つきが、そのことを表している。彼らは罪を、ソドムのように現して、隠そうともしなかった。ああ、彼らにわざわいあれ。彼らは悪の報いを受けるからだ。
0310 義人は幸いだと言え。彼らは、その行いの実を食べる。
0311 悪者にはわざわいあれ。わざわいが彼にふりかかり、その手の報いがふりかかる。
0312 わが民よ。幼子が彼をしいたげ、女たちが彼を治める。わが民よ。あなたの指導者は迷わす者、あなたの歩む道をかき乱す。
0313 【主】は論争するために立ち上がり、民をさばくために立つ。
0314 【主】は民の長老たちや、民のつかさたちと、さばきの座に入る。「あなたがたは、ぶどう畑を荒れすたらせ、貧しい者からかすめた物を、あなたがたの家に置いている。
0315 なぜ、あなたがたは、わが民を砕き、貧しい者の顔をすりつぶすのか。──万軍の神、主の御告げ──」
0316 【主】は仰せられた。「シオンの娘たちは高ぶり、首を伸ばし、色目を使って歩き、足に鈴を鳴らしながら小またで歩いている。」それゆえ、
0317 主はシオンの娘たちの頭の頂をかさぶただらけにし、【主】はその額をむき出しにされる。
0318 その日、主はもろもろの飾り──足飾り、髪の輪飾り、三日月形の飾り物、
0319 耳輪、腕輪、ベール、
0320 頭飾り、くるぶしの鎖、飾り帯、香の入れ物、お守り札、
0321 指輪、鼻輪、
0322 礼服、羽織、外套、財布、
0323 手鏡、亜麻布の着物、ターバン、かぶり物を除かれる。
0324 こうして、良いかおりは腐ったにおいとなり、帯は荒なわ、結い上げた髪ははげ頭、晴れ着は荒布の腰巻きとなる。その美しさは焼け傷となる。
0325 あなたの男たちは剣に倒れ、あなたの勇士たちは戦いに倒れ、
0326 その門はみな、悲しみ嘆き、シオンはさびれ果てて地に座す。