イザヤ書

1001 ああ。不義のおきてを制定する者、わざわいを引き起こす判決を書いている者たち。
1002 彼らは、寄るべのない者の正しい訴えを退け、わたしの民のうちの悩む者の権利をかすめ、やもめを自分のとりこにし、みなしごたちをかすめ奪っている。
1003 刑罰の日、遠くからあらしが来るときに、あなたがたはどうするのか。だれに助けを求めて逃げ、どこに自分の栄光を残すのか。
1004 ただ、捕らわれ人の足もとにひざをつき、殺された者たちのそばに倒れるだけだ。それでも、御怒りは去らず、なおも、御手は伸ばされている。
1005 ああ。アッシリヤ、わたしの怒りの杖。彼らの手にあるわたしの憤りのむち。
1006 わたしはこれを神を敬わない国に送り、わたしの激しい怒りの民を襲えと、これに命じ、物を分捕らせ、獲物を奪わせ、ちまたの泥のように、これを踏みにじらせる。
1007 しかし、彼自身はそうとは思わず、彼の心もそうは考えない。彼の心にあるのは、滅ぼすこと、多くの国々を断ち滅ぼすことだ。
1008 なぜなら、彼はこう思っている。「私の高官たちはみな、王ではないか。
1009 カルノもカルケミシュのよう、ハマテもアルパデのようではないか。サマリヤもダマスコのようではないか。
1010 エルサレム、サマリヤにまさる刻んだ像を持つ偽りの神々の王国を私が手に入れたように、
1011 サマリヤとその偽りの神々に私がしたように、エルサレムとその多くの偶像にも私が同じようにしないだろうか」と。
1012 主はシオンの山、エルサレムで、ご自分のすべてのわざを成し遂げられるとき、アッシリヤの王の高慢の実、その誇らしげな高ぶりを罰する。
1013 それは、彼がこう言ったからである。「私は自分の手の力でやった。私の知恵でやった。私は賢いからだ。私が、国々の民の境を除き、彼らのたくわえを奪い、全能者のように、住民をおとしめた。
1014 私の手は国々の民の財宝を巣のようにつかみ、また私は、捨てられた卵を集めるように、すべての国々を集めたが、翼を動かす者も、くちばしを大きく開く者も、さえずる者もいなかった。」
1015 斧は、それを使って切る人に向かって高ぶることができようか。のこぎりは、それをひく人に向かっておごることができようか。それは棒が、それを振り上げる人を動かし、杖が、木でない人を持ち上げるようなものではないか。
1016 それゆえ、万軍の【主】、主は、その最もがんじょうな者たちのうちにやつれを送り、その栄光のもとで、火が燃えるように、それを燃やしてしまう。
1017 イスラエルの光は火となり、その聖なる方は炎となる。燃え上がって、そのおどろといばらを一日のうちになめ尽くす。
1018 主はその美しい林も、果樹園も、また、たましいも、からだも滅ぼし尽くす。それは病人がやせ衰えるようになる。
1019 その林の木の残りは数えるほどになり、子どもでもそれらを書き留められる。
1020 その日になると、イスラエルの残りの者、ヤコブの家ののがれた者は、もう再び、自分を打つ者にたよらず、イスラエルの聖なる方、【主】に、まことをもって、たよる。
1021 残りの者、ヤコブの残りの者は、力ある神に立ち返る。
1022 たとい、あなたの民イスラエルが海辺の砂のようであっても、その中の残りの者だけが立ち返る。壊滅は定められており、義があふれようとしている。
1023 すでに定められた全滅を、万軍の神、主が、全世界のただ中で行おうとしておられるからだ。
1024 それゆえ、万軍の神、主は、こう仰せられる。「シオンに住むわたしの民よ。アッシリヤを恐れるな。彼がむちであなたを打ち、エジプトがしたように杖をあなたに振り上げても。
1025 もうしばらくすれば、憤りは終わり、わたしの怒りが彼らを滅ぼしてしまうから。
1026 オレブの岩でミデヤンを打ったときのように、万軍の【主】がアッシリヤにむちを振り上げる。杖を海にかざして、エジプトにしたように、それを上げる。
1027 その日になると、彼の重荷はあなたの肩から、彼のくびきはあなたの首から除かれる。くびきはあなたの肩からもぎ取られる。」
1028 彼はアヤテに着き、ミグロンを過ぎ、ミクマスに荷を置く。
1029 彼らは渡し場を過ぎ、ゲバで野営する。ラマはおののき、サウルのギブアは逃げる。
1030 ガリムの娘よ。かん高く叫べ。よく聞け、ラユシャよ。哀れなアナトテ。
1031 マデメナは逃げ去り、ゲビムの住民は身を避ける。
1032 その日、彼はノブで立ちとどまり、シオンの娘の山、エルサレムの丘に向かって、こぶしを振り上げる。
1033 見よ。万軍の【主】、主が恐ろしい勢いで枝を切り払う。たけの高いものは切り落とされ、そびえたものは低くされる。
1034 主は林の茂みを斧で切り落とし、レバノンは力強い方によって倒される。
1101 エッサイの根株から新芽が生え、その根から若枝が出て実を結ぶ。
1102 その上に、【主】の霊がとどまる。それは知恵と悟りの霊、はかりごとと能力の霊、主を知る知識と【主】を恐れる霊である。
1103 この方は【主】を恐れることを喜び、その目の見るところによってさばかず、その耳の聞くところによって判決を下さず、
1104 正義をもって寄るべのない者をさばき、公正をもって国の貧しい者のために判決を下し、口のむちで国を打ち、くちびるの息で悪者を殺す。
1105 正義はその腰の帯となり、真実はその胴の帯となる。
1106 狼は子羊とともに宿り、ひょうは子やぎとともに伏し、子牛、若獅子、肥えた家畜が共にいて、小さい子どもがこれを追っていく。
1107 雌牛と熊とは共に草をはみ、その子らは共に伏し、獅子も牛のようにわらを食う。
1108 乳飲み子はコブラの穴の上で戯れ、乳離れした子はまむしの子に手を伸べる。
1109 わたしの聖なる山のどこにおいても、これらは害を加えず、そこなわない。【主】を知ることが、海をおおう水のように、地を満たすからである。
1110 その日、エッサイの根は、国々の民の旗として立ち、国々は彼を求め、彼のいこう所は栄光に輝く。
1111 その日、主は再び御手を伸ばし、ご自分の民の残りを買い取られる。残っている者をアッシリヤ、エジプト、パテロス、クシュ、エラム、シヌアル、ハマテ、海の島々から買い取られる。
1112 主は、国々のために旗を揚げ、イスラエルの散らされた者を取り集め、ユダの追い散らされた者を地の四隅から集められる。
1113 エフライムのねたみは去り、ユダに敵する者は断ち切られる。エフライムはユダをねたまず、ユダもエフライムを敵としない。
1114 彼らは、西の方、ペリシテ人の肩に飛びかかり、共に東の人々をかすめ奪う。彼らはエドムとモアブにも手を伸ばし、アモン人も彼らに従う。
1115 【主】はエジプトの海の入江を干上がらせ、また、その焼けつく風の中に御手を川に向かって振り動かし、それを打って、七つの水無し川とし、くつばきのままで歩けるようにする。
1116 残される御民の残りの者のためにアッシリヤからの大路が備えられる。イスラエルがエジプトの国から上って来た日に、イスラエルのために備えられたように。
1201 その日、あなたは言おう。「【主】よ。感謝します。あなたは、私を怒られたのに、あなたの怒りは去り、私を慰めてくださいました。」
1202 見よ。神は私の救い。私は信頼して恐れることはない。ヤハ、【主】は、私の力、私のほめ歌。私のために救いとなられた。
1203 あなたがたは喜びながら救いの泉から水を汲む。
1204 その日、あなたがたは言う。「主に感謝せよ。その御名を呼び求めよ。そのみわざを、国々の民の中に知らせよ。御名があがめられていることを語り告げよ。
1205 【主】をほめ歌え。主はすばらしいことをされた。これを、全世界に知らせよ。
1206 シオンに住む者。大声をあげて、喜び歌え。イスラエルの聖なる方は、あなたの中におられる、大いなる方。」

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