歴代誌 第U

3401 ヨシヤは八歳で王となり、エルサレムで三十一年間、王であった。
3402 彼は【主】の目にかなうことを行って、先祖ダビデの道に歩み、右にも左にもそれなかった。
3403 彼の治世の 八年に、彼はまだ若かったが、その先祖ダビデの神に求め始め、 十二年に、ユダとエルサレムをきよめ始めて、高き所、アシェラ像、刻んだ像、および、鋳物の像を除いた。
3404 人々は彼の面前で、バアルの祭壇を取りこわした。彼は、その上にあった香の台を切り倒し、アシェラ像と刻んだ像と鋳物の像を打ちこわし、粉々に砕いて、これらのいけにえをささげた者たちの墓の上にまき散らした。
3405 彼は、祭司たちの骨を彼らの祭壇の上で焼いて、ユダとエルサレムをきよめた。
3406 彼は、マナセ、エフライム、シメオン、さらにはナフタリの町々でも、至る所で、彼らの剣を用いて同様にした。
3407 イスラエルの全地で、祭壇を取りこわし、アシェラ像と刻んだ像を粉々に砕き、すべての香の台を切り倒してから、彼はエルサレムに帰った。
3408 この地とこの宮とをきよめたのは、彼の治世の 十八年で、彼は、その神、【主】の宮を修理するため、アツァルヤの子シャファン、この町のつかさマアセヤ、エホアハズの子参議ヨアフを遣わした。
3409 彼らは、大祭司ヒルキヤのもとに来て、神の宮に納められた金を渡した。これは入口を守るレビ人が、マナセとエフライム、すべてのイスラエルの残りの者、全ユダとベニヤミンから集めたものである。それから、彼らはエルサレムに帰って、
3410 【主】の宮で工事している監督者たちの手に渡し、さらにそれを【主】の宮で行われる工事をしている者たちに渡して、宮を繕い、修理させた。
3411 彼らは、木工や建築師たちに渡して、切り石やつなぎ材を買わせ、ユダの王たちが荒らした家々に、梁を置いて、これを建てさせた。
3412 この人々は、この仕事を忠実に行った。彼らの上には、監督者、メラリ族のレビ人ヤハテとオバデヤ、ケハテ族のゼカリヤとメシュラムがいて、指揮をした。また、すべて楽器を奏するのに巧みなレビ人がいた。
3413 彼らはまた、荷をになう者たちをもつかさどり、各分野の仕事に当たるすべての職人たちの指揮をする役目についた。レビ人の中には、書記、つかさ、門衛などもいた。
3414 彼らが、【主】の宮に携え入れられた金を取り出していたとき、祭司ヒルキヤは、モーセを通して示された【主】の律法の書を発見した。
3415 そのときすぐ、ヒルキヤは書記シャファンに対してこう言った。「私は【主】の宮で律法の書を見つけました。」ヒルキヤがその書物をシャファンに渡すと、
3416 シャファンは、その書物を王のもとに携えて行き、さらに王に報告して言った。「しもべにゆだねられたことは、すべてやらせております。
3417 彼らは【主】の宮にあった金を箱からあけて、これを監督者たちの手に、工事をしている者たちの手に渡しました。」
3418 ついで、書記シャファンは王に告げて、言った。「祭司ヒルキヤが私に一つの書物を渡してくれました。」そして、シャファンは王の前でそれを朗読した。
3419 王は律法のことばを聞いたとき、自分の衣を裂いた。
3420 王はヒルキヤ、シャファンの子アヒカム、ミカの子アブドン、書記シャファン、王の家来アサヤに命じて言った。
3421 「行って、見つかった書物のことばについて、私のため、イスラエルとユダの残りの者のために、【主】のみこころを求めなさい。私たちの先祖が、【主】のことばを守らず、すべてこの書にしるされているとおりに行わなかったため、私たちの上に注がれた【主】の憤りは激しいから。」
3422 そこで、ヒルキヤ、および、王の指名した人々は、女預言者フルダのもとに行った。彼女は、ハスラの子トクハテの子、装束係シャルムの妻で、エルサレムの 二区に住んでいた。彼らがその旨を彼女に伝えると、
3423 彼女は彼らに答えた。「イスラエルの神、【主】は、こう仰せられます。『あなたがたをわたしのもとに遣わした人に告げよ。
3424 【主】はこう仰せられる。見よ。わたしは、この場所とその住民の上にわざわいをもたらす。彼らがユダの王の前で読み上げた書物にしるされているすべてののろいをもたらす。
3425 彼らはわたしを捨て、ほかの神々に香をたき、彼らのすべての手のわざで、わたしの怒りを引き起こすようにした。わたしの憤りはこの場所に注がれ、消えることがない。』
3426 【主】に尋ねるために、あなたがたを遣わしたユダの王には、こう言わなければなりません。『あなたが聞いたことばについて、イスラエルの神、【主】は、こう仰せられます。
3427 あなたが、この場所とその住民についての神のことばを聞いたとき、あなたは心を痛め、神の前にへりくだり、わたしの前にへりくだって自分の衣を裂き、わたしの前で泣いたので、わたしもまた、あなたの願いを聞き入れる。──【主】の御告げです──
3428 見よ。わたしは、あなたを先祖たちのもとに集めよう。あなたは安らかに自分の墓に集められる。それで、あなたは自分の目で、わたしがこの場所とその住民にもたらすすべてのわざわいを見ることがない。』」彼らはそれを王に報告した。
3429 すると、王は使者を遣わして、ユダとエルサレムの長老をひとり残らず集めた。
3430 王は【主】の宮へ上って行った。ユダのすべての人、エルサレムの住民、祭司とレビ人、および、上の者も下の者も、すべての民が行った。そこで彼は【主】の宮で発見された契約の書のことばをみな、彼らに読み聞かせた。
3431 それから、王はその定めの場所に立ち、【主】の前に契約を結び、【主】に従って歩み、心を尽くし、精神を尽くして、主の命令と、あかしと、おきてを守り、この書物にしるされている契約のことばを行うことを誓った。
3432 彼はエルサレムとベニヤミンにいるすべての者を堅く立たせた。エルサレムの住民は、その父祖の神である神の契約に従って行動した。
3433 ヨシヤはイスラエル人の全地から、忌みきらうべきものを除き去り、イスラエルにいるすべての者を、その神、【主】に仕えさせた。彼の生きている間、彼らはその父祖の神、【主】に従う道からはずれなかった。
3501 さて、ヨシヤはエルサレムで【主】に過越のいけにえをささげた。人々は 一の月の十四日に過越のいけにえをほふった。
3502 彼は祭司たちを任命してその任務につかせ、彼らを力づけて、【主】の宮の奉仕に当たらせた。
3503 それから、彼は、全イスラエルを教え導く者であり、【主】の聖なる者であるレビ人たちに言った。「聖なる箱を、イスラエルの王ダビデの子ソロモンが建てた宮に据えなさい。もう、あなたがたにとって肩の重荷にはなるまい。そこで今、あなたがたの神、【主】と、主の民イスラエルに仕えなさい。
3504 イスラエルの王ダビデの文書およびその子ソロモンの書きつけのとおりに、父祖の家ごとに、組分けに従って、用意をしなさい。
3505 あなたがたの同胞であるこの民の者たちが属している父祖の家の区分に従って、聖所に立ちなさい。レビ人にとって、一族の分があるようにしなさい。
3506 それから、過越のいけにえをほふり、身を聖別し、あなたがたの同胞のために用意をして、モーセを通して示された【主】のことばのとおりに行いなさい。」
3507 ヨシヤは民の者たちに羊の群れ、すなわち、子羊とやぎの子を贈った。すべては、そこにいたすべての人の過越のいけにえのためであった。その数は三万、牛は三千。これらは王の財産の中から出された。
3508 彼のつかさたちも、民および祭司たち、レビ人たちに、進んでささげるささげ物として贈り物をした。神の宮のつかさ、ヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルも、祭司たちに過越のいけにえとして羊二千六百頭、牛三百頭を与えた。
3509 さらに、レビ人のつかさたち、すなわち、カナヌヤとその兄弟シェマヤ、ネタヌエル、およびハシャブヤ、エイエル、エホザバデも、レビ人に過越のいけにえとして羊五千頭、牛五百頭を贈った。
3510 こうして、奉仕の用意ができたので、王の命令のとおりに、祭司たちはおのおのの定めの場所に立ち、レビ人はおのおのの組分けに従って立った。
3511 彼らが過越のいけにえをほふると、祭司たちは彼らの手から血を受け取って注ぎかけ、レビ人は皮をはいだ。
3512 それから、彼らは全焼のいけにえを取り除き、これを民の者たちの父祖の家の各区分に渡し、モーセの書にしるされているとおりに【主】にささげさせた。牛についても同様にした。
3513 それから、彼らは定めのとおりに、過越のいけにえに火を加えて調理し、聖別されたささげ物を、なべ、かま、平なべなどで調理して、民たち全員のもとに急いで運んだ。
3514 そのあとで、彼らは自分たちや祭司たちのための用意をした。アロンの子らである祭司たちは、夜になるまで、全焼のいけにえと脂肪をささげていたからである。そこでレビ人は、自分たちや、アロンの子らである祭司たちのための用意をした。
3515 アサフの子らである歌うたいたちは、ダビデ、アサフ、ヘマン、および、王の先見者エドトンの命令のとおりに、その役目についていた。また、門衛たちは、それぞれの門を守っていた。彼らのうちだれも、その奉仕を離れる必要がなかった。彼らの同族であるレビ人が彼らのための用意をしたからである。
3516 こうして、この日に、すべて【主】への奉仕の用意ができ、ヨシヤ王の命令のとおりに過越のいけにえをささげ、【主】の祭壇で全焼のいけにえをささげるばかりになったので、
3517 そこにいたイスラエル人は、そのとき、過越のいけにえをささげ、七日間、種を入れないパンの祭りを行った。
3518 預言者サムエルの時代からこのかた、イスラエルでこのような過越のいけにえがささげられたことはなかった。イスラエルのどの王も、ここでヨシヤが行い、祭司たちとレビ人、および、そこにいた全ユダとイスラエル、さらに、エルサレムの住民たちがささげたような過越のいけにえをささげたことはなかった。
3519 ヨシヤの治世の 十八年に、この過越のいけにえがささげられた。
3520 すべてこのように、ヨシヤが宮を整えて後、エジプトの王ネコが、ユーフラテス河畔のカルケミシュで戦うために上って来た。そこでヨシヤは、彼を迎え撃ちに出て行った。
3521 ところが、ネコは彼のもとに使者を遣わして言った。「ユダの王よ。私とあなたと何の関係があるのですか。きょうは、あなたを攻めに来たのではありません。私の戦う家へ行くところなのです。神は、早く行けと命じておられます。私とともにおられる神に逆らわずに、控えていなさい。さもなければ、神があなたを滅ぼされます。」
3522 しかし、ヨシヤは身を引かず、かえって、彼と戦おうとして変装し、神の御口から出たネコのことばを聞かなかった。そして、メギドの平地で戦うために行った。
3523 射手たちがヨシヤ王を射たとき、王は家来たちに言った。「私を降ろしてくれ。傷を負ったのだ。」
3524 そこで、家来たちは彼を戦車から降ろし、彼の持っていた 二の車に乗せた。そして、彼をエルサレムに連れ帰った。彼は死んだので、その先祖たちの墓に葬られた。全ユダとエルサレムはヨシヤのために喪に服した。
3525 エレミヤはヨシヤのために哀歌を作った。そして、男女の歌うたいはみな、今日に至るまで、彼らの哀歌の中でヨシヤのことを語り、これをイスラエルのために慣例としている。これらは哀歌にまさしくしるされている。
3526 ヨシヤのその他の業績、すなわち、【主】の律法にしるされているところに従った彼の忠実な行為、
3527 彼の業績は、最初から最後まで、イスラエルとユダの王たちの書にまさしくしるされている。
3601 さて、この国の民は、ヨシヤの子エホアハズを選んで、彼の父に代えて、エルサレムで彼を王とした。
3602 エホアハズは二十三歳で王となり、エルサレムで三か月間、王であった。
3603 しかし、エジプトの王は、エルサレムで彼を退け、この国に、銀百タラントと金一タラントの科料を課した。
3604 ついで、エジプトの王は、彼の兄弟エルヤキムをユダとエルサレムの王とし、その名をエホヤキムと改めさせた。ネコは、その兄弟エホアハズを捕らえて、エジプトへ連れて行った。
3605 エホヤキムは二十五歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。彼は、その神、【主】の目の前に悪を行った。
3606 この彼のもとに、バビロンの王ネブカデネザルが攻め上って来て、彼を青銅の足かせにつなぎ、バビロンへ引いて行った。
3607 ネブカデネザルは、【主】の宮の器具をバビロンに持ち去り、バビロンにある彼の宮殿に置いた。
3608 エホヤキムのその他の業績、彼の行った忌みきらうべきしわざ、彼について露見したことは、イスラエルとユダの王たちの書にまさしくしるされている。彼の子エホヤキンが代わって王となった。
3609 エホヤキンは十八歳で王となり、エルサレムで三か月と十日の間、王であった。彼は【主】の目の前に悪を行った。
3610 年が改まるに及んで、ネブカデネザル王は使者を遣わし、彼を【主】の宮にあった尊い器とともにバビロンに連れて行った。そして、エホヤキンの兄弟ゼデキヤをユダとエルサレムの王とした。
3611 ゼデキヤは二十一歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。
3612 彼はその神、【主】の目の前に悪を行い、【主】のことばを告げた預言者エレミヤの前にへりくだらなかった。
3613 彼はまた、ネブカデネザルが、彼に、神にかけて誓わせたにもかかわらず、この王に反逆した。このように、彼はうなじのこわい者となり、心を閉ざして、イスラエルの神、【主】に立ち返らなかった。
3614 そのうえ、祭司長全員と民も、異邦の民の、忌みきらうべきすべてのならわしをまねて、不信に不信を重ね、主がエルサレムで聖別された【主】の宮を汚した。
3615 彼らの父祖の神、【主】は、彼らのもとに、使者たちを遣わし、早くからしきりに使いを遣わされた。それは、ご自分の民と、ご自分の御住まいをあわれまれたからである。
3616 ところが、彼らは神の使者たちを笑いものにし、そのみことばを侮り、その預言者たちをばかにしたので、ついに、【主】の激しい憤りが、その民に対して積み重ねられ、もはや、いやされることがないまでになった。
3617 そこで、主は、彼らのもとにカルデヤ人の王を攻め上らせた。彼は、剣で、彼らのうちの若い男たちを、その聖所の家の中で殺した。若い男も若い女も、年寄りも老衰の者も容赦しなかった。主は、すべての者を彼の手に渡された。
3618 彼は、神の宮のすべての大小の器具、【主】の宮の財宝と、王とそのつかさたちの財宝、これらすべてをバビロンへ持ち去った。
3619 彼らは神の宮を焼き、エルサレムの城壁を取りこわした。その高殿を全部火で燃やし、その中の宝としていた器具を一つ残らず破壊した。
3620 彼は、剣をのがれた残りの者たちをバビロンへ捕らえ移した。こうして、彼らは、ペルシヤ王国が支配権を握るまで、彼とその子たちの奴隷となった。
3621 これは、エレミヤにより告げられた【主】のことばが成就して、この地が安息を取り戻すためであった。この荒れ果てた時代を通じて、この地は七十年が満ちるまで安息を得た。
3622 ペルシヤの王クロスの 一年に、エレミヤにより告げられた【主】のことばを実現するために、【主】はペルシヤの王クロスの霊を奮い立たせたので、王は王国中におふれを出し、文書にして言った。
3623 「ペルシヤの王クロスは言う。『天の神、【主】は、地のすべての王国を私に賜った。この方はユダにあるエルサレムに、ご自分のために宮を建てることを私にゆだねられた。あなたがた、すべて主の民に属する者はだれでも、その神、【主】がその者とともにおられるように。その者は上って行くようにせよ。』」

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